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能力演習

ユニークアクセス(この小説を読んで下さった方の人数)がそろそろ3桁に行きます。

有難う御座います。

モーニが話を始める。


「さて、僕はこれから能力について教えるんだけど・・・御堂君は優秀なのかい?」

「まぁ優秀な部類だろうな。俺はこいつが手駒に居たからこそ今まで生き延びた。」

「いやいや、若の言った仕事を完璧にこなしただけでさぁ。」


賞賛する政亜と謙遜する御堂。

だがモーニはこう言う。


「ああ、それだよ御堂君。君の能力を思い出してごらん。」

「確か、『完璧にする程度の能力』で・・・・・あ。つまり若の割り振った仕事をこなせて居たのは能力のお陰なんですかい?」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。でも君の役に立っていたのは確かだろうね。ああ、それと『能力』は君の一部だから『お陰』と言う言い方は正しくないね。」


そこで政亜が興味が尽きないとばかりにモーニに疑問をぶつける。


「ふむ、では俺の場合は?『ありとあらゆるものを操る程度の能力』とやらだ。」

「さあ?さっきと同じだよ。君は能力を使えていたかもしれないし、そうじゃないかもしれない。でも無意識下で君の役に立っていたのは確かだろうね。」

「ふむ、そうか。・・・しかし、『ありとあらゆるものを操る』とは中々に大層な話だ。何か代償があるのだろう?」

「いや、だから『教える』とは言ったけど。あーもうめんどくさいな。能力なんてのは人それぞれなんだから試すしかないの!」


ヤケクソと言った様子でそう叫んだモーニは懐から一本のナイフを取り出す。

勿論、銀製では無く鉄製だ。


「このナイフを操れるかい?ダメなら温度は?投げられたナイフの速度は?そして御堂君の場合ならこれを投げて完璧に的に当てられる?完璧に破壊出来る?そう言うことだよ。」


しばしの沈黙。

やがて、得心いった、と政亜が口を開く。


「成る程。大体読めた。取り敢えず試用と検証を繰り返すしか無いのだな?」

「うん、まあそう言うことだね。」




一方、絶は何か、床にガリガリと魔法陣を描き、ああでもないこうでもないとブツブツ言っていた。


「あー面倒臭イ。真名を改メないといケないじャエか。この魔法陣ヲここに、あノ魔法陣をこの場所ニ・・・、あとアれは何処だっタか。」

「絶さん何してるんですか?」

「こぁカ。お前にバラさレた真名を改めテいる所ダ。まぁ、俺ノ次の真名を知りたケれば聞イているト良イ。」

「ええ・・・相変わらず理不尽ですね、絶さんの黒魔術は。普通悪魔は一つしか真名を持てないんですけどね。」

「別に複数真名ヲ持つ訳でハ無イが。兎モ角こレで良シ。・・・代償黒魔術発動。代償指定・我ガ真名『ゼリエル・ツァペーシュグ』。我ハ今此処ニ()イテ新ナル名ヲタマワラントス。サア、我ガ真名ヲニエトシテ足リヌ事有リヤ?無シヤ?」


魔法陣から血文字が浮き上がって来る。

書かれているのは

『旧名:ゼリエル・ツァペーシュグは今此処にいて真名:ゼルエル・ツヴァイと成る。

魔界管理人・個人判別用番号ZL-2vai』

と言う文章。


「ふム、我が名ハ『ゼルエル・ツヴァイ』。今回ノ名は中々悪ク無い。『ツァペーシュグ』なンて噛みソうだっタからナ。」

「絶さん自分の名前噛みそうだったんですか・・・。」

「何ダ、悪いカ?む、待テよ?何故お前ハあの噛みそウな名をスラスラと口ニ出せタ?・・・まサか。俺の真名ヲ言いふラしテいたンじゃ無イだろウな?」


途端、絶から放たれる殺気。

指向性があるのか、他の誰にも気付かれて居ない。

だがソレを向けられる方はただでは済まない。

怯えて早口に弁明する小悪魔。


「そそそ、そんな訳無いじゃないですか!私私が絶さんの名前を他の人に言う訳が!ただ一人の時に呼んで見た・・・だ・・・・け・・・・・あっ!?」


失言、かつ大恥、と言った様子で小悪魔が赤面し、慌て出す。少し期待する様な目で絶を恐る恐る見ているが・・・。


「ハ?一人で俺ノ名を、しかモ態々(わざワざ)真名を呼んデどうしヨうと言ウんだ?」

「ッ・・・!こ、この、鈍感!!」


小悪魔は赤い顔のままで絶にビンタをして、早足で去って行った。


「何ダ今のハ・・・解セン。」


殴られ、置き去られた絶はそう独り言ちた。




そしてこの図書館の主人たる七曜の魔女は・・・唖然としていた。

何故なら、絶の描いている魔法陣が異常に高度かつ斬新であったからである。


「(しかも悪魔が自分で真名を変えるですって?そんなの契約破棄し放題じゃない。信じられないものを見たわ・・・小悪魔のあんな顔もだけど。)」


七曜の魔女の驚愕も知らず絶は魔法陣を描かずに「代償・魔力、効果・治癒」とだけ呟く。

すると、絶の魔力が注意して観察しても見落とす程にほんの少しだけ減り、小悪魔に叩かれて赤くなっていた頰がすぐさま元の比較的不健康そうな少しばかり白過ぎる肌に戻る。


「(あの悪魔って見かけによらず相当な化物なんじゃ・・・。あんなのに目を付けられたら死ねるわね・・・。)」


七曜の魔女は動揺を顔に出す事無く、ただし内心で少々冷や汗をかいた。

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