八雲家の人々
それで、紫と天夜はかれこれ二時間は話し続けていた。(主に紫が、だが。)
「それで、そろそろスペルカードルールの実験稼働という訳だね。」
「そうよ!うちの霊夢が勝つでしょうけど!」
「ハハ、あの子が博麗の巫女としてしっかりやってる様でなによりだよ。」
と、そこに紫の式神の藍が現れる。
藍は金毛九尾の妖狐で、紫に地力で勝つ程の大妖怪の一人である。まあ紫が能力を使えば藍の負けが確定するが・・・。
「紫様、天夜様、お茶をお持ちしました。遅くなって申し訳ありません。」
「ああ、藍かい?・・・ふむ、随分と腕を上げた様だね。話は聞いているよ、橙って言う式神を使ってるんだって?」
この問いかけに、藍は少し顔を歪ませ、しばし考えてからこう言った。
「・・・式神ゆえ、『使う』と言う表現になるのは仕方ないのでしょうが、橙は、妹、いえ、娘の様に、想っております。それを、『使う』と言うのは・・・。」
その答えに目を丸くする天夜。
だが数秒後、ふっ、と微笑み、謝罪した。
「成る程、それは気に障った様だね。すまない。」
「いえ、これは私の「良いから良いから。君は何も悪くない。良いね?」
藍が謝罪しようとするのを遮る天夜。
紫は穏やかに微笑んでいる。
「・・・天夜様には敵いませんね。気付けば懐に飛び込んでおられる。」
「それは買い被りすぎだよ。」
そこで、会話が途切れ、気まずい雰囲気になる寸前、紫が口を開く。
「・・・天夜、兎に角今日はゆっくり休んで。明日は色々案内してあげるから。」
「うん、よろしく頼むよ、紫。」
八雲亭の廊下を勝手知ったる様子でスタスタと歩いていた天夜は、言い忘れたとばかりに曲がり角で足を止め、振り返らぬままに言う。
「あ、そうそう、藍。」
「何でしょうか、天夜様。」
「あの子、そろそろ帰ってきそうだよ。」
「!?」




