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第52話

「いや、何言ってんだよ……大体、お前には聞きたい事が色々あるんだよ!」


「帰ってくれ……俺の事は気にすんな……」


 冷たくそう言い放つ高志に繁村は必死に尋ねる。


「お前一体何があった! 絶対おかしいぞ!」


「何も……ねーよ……」


「嘘つくなよ! 優一はお前の為にここまで俺たち連れてきたんだぞ! あのプライドの塊みたいなあいつが、俺たちに頭を下げたんだぞ!」


「………」


「なんとか言えよ!!」


 繁村は怒鳴りながら、高志の胸ぐらを掴む。

「繁村、落ち着けって!」


「黙ってろ! 俺は馬鹿だよ……でも分かるんだよ! お前が何かを抱え込んでることも! 強がってるけど、優一がお前の為にこんなことしてる事も!」


「………」


「友達だろ……相談くらいしろよ……」


「繁村………お前」


 いつになく感情的になる繁村。

 そんな繁村に土井は驚いたような、心配そうな表情で見ていた。


「この野郎!!」


「ぐっ……」


 何も言わない高志に、繁村はしびれを切らして高志の頬を殴った。


「繁村!!」


 土井は繁村の突然の行動に驚き、止めに入る。


「痛ぇかよ……それ以上に……宮岡は痛ぇんだよ……」


「………」


「何か言えよ……なんでも何も言わねーんだよ……今日はクリスマスだろ!!」


「………」


「お前は宮岡といちゃいちゃしてりゃあそれで良いんだよ! なのに……お前はこんなところで今! 何をしてるんだよ!!」


 そんな事は高志が一番分かっていた。

 繁村に言われなくても、今すぐにでも紗弥の元に駆けて行きたかった。

 でも、それは出来ないと心のどこかで高志は諦めていた。

 相手は権力も財力も持っている。

 そんな相手に勝てるなんて、高志はさらさら思って居ない。

 だから、高志はこうして黙っているしかなかった。

 自分が黙って居れば、今より最悪の状況は訪れない。

 高志はそう思っていた。


「もう……帰れよ……」


「っ!! そうかよ!! 行くぞ土井、こいつに何を言っても無駄だ!」


「あ、おい繁村!!」


 繁村はそう言うと、誠実に背を向ける。


「これだからカップルは……彼氏がこんなろくでなしだから、彼女のもあんなあばずれなんだろうな!」


「……なに」


「お、おい繁村……一体何を」


「だって、こんな馬鹿を好きになるような馬鹿な女だぜ? 宮岡なんてどうせあばずれだろ?」


「………」


「宮岡なんて顔が良いだけで、性格なんかは最悪なんだろうな!」


「……やめろ」


「こんな馬鹿に惚れるんだ! 男を見る目の無いアホ女なんだろうな!」


「やめろ!」


 繁村の言葉を聞き、高志はどんどん胸の奥から怒りが込みあげて来るのを感じる。


「おい! 何言ってんだ! なんで宮岡を……」


「どうせ宮岡なんて、そこら辺の男とやりまくって……」


「やめろって言ってんだろ!!」


 土井が繁村を止める中、繁村は言葉を止めることは無かった。

 そんな繁村に対して我慢の限界だった高志は、繁村に駆け寄り顔を思いっきり殴る。

 そして、殴った後に高志はハッと気がついた。


「くっ………痛ぇ……でも、これでおあいこだぞ……」


「……繁村……お前……」


「高志……お前まだ……好きなんだろ? 宮岡のこと……」


「………」


 咄嗟に反応してしまった自分を高志は恨んだ。


「何があった?」


「………」


 そう尋ねて来る繁村に、高志の心は揺らいでいた。

 誰にも迷惑を駆けたくなかった。

 しかし、現に繁村達はこんなところまでやってきて高志を助けに来た。

 最初は突き返そうと思っていた高志だったが、繁村の言葉を聞いてイライラする自分に気がつき、そして自分がまだ紗弥を好きな事に気づかされ、高志は紗弥と付き合っていたあの頃に戻りたいと考え始めていた。

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