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第44話



「くそ!!」


 優一はイライラしながら、足下の石ころを蹴飛ばした。

 高志に何かあったのは間違いないだろうが、それを当の本人が話そうとしない。

 聞き出そうとしても頑なに言おうともしない。

 相当な何かがあったのだろうと、優一は予想していた。


「……っち……あいつ……本気で殴ってみろよ……」


 優一には高志が本気で自分を殴っていない事が分かっていた。

 

「あの時の方が……痛かったっつの……」


 優一は昔の事を思い出していた。

 始めて高志と会い、喧嘩をした事……それは何年経っても忘れられなかった。

 

「俺でダメなら……あとは宮岡だな……」


 優一はそう呟いた後、急いで芹那に電話を掛ける。


『もしもし? 優一さんどうしました?』


「お前、今どこに居る?」


『え? 私の家に紗弥先輩と今ついたところで……』


「直ぐに俺も行く、あの馬鹿のところに宮岡を連れていくぞ!」


『え? 紗弥先輩をどこに?』


「良いから、そこで待ってろ! 協力したら、年明けに温泉旅行に連れてってやる!」


『え! 本当ですか!! 協力します! 私の事は雌犬とお呼び下さ……』


 優一は芹那が言い終える前に電話を切り、別の番号に電話を掛け始めた。


『もしもし?』


「泉か!」


『うん、そうだけど、ごめん今ちょっと忙しくて……』


「どうした?」


『いや、それが……』


『ひゃっはぁぁぁ!! まつりじゃぁぁぁ!!』


「おい、お前の後ろから世紀末みたいな声が聞こえてくるんだが?」


『あぁ、ちょっと繁村君が……』


「なるほど……丁度良い、それなら繁村も連れて今から言う場所に来い!」


『え!? でも、後二時間くらいでクリスマスパーティーが……』


「頼む!」


 優一はただその一言を泉に言った。

 泉は何かただならぬ雰囲気を感じ、優一に言う。


『……分かった。どこに行けば良い?』


 優一は泉に場所を伝え、電話を切った。

 芹那の家に到着した優一は、電話で芹那と紗弥を外に呼び出す。


「優一さん!? その顔どうしたんですか!」


「事情は後だ、宮岡……」


「……何……」


 紗弥の瞳は真っ赤に腫れていた。

 高志に振られた後、紗弥は涙を流し声を上げて泣いていた。

 そんな紗弥に優一は真剣な表情で話す。


「お前……本当にこれで良いのか?」


「え……」


「振られて、簡単に引き下がって良いのかって聞いてるんだ!」


「……そんなの……でも……高志は……」


「高志がどうこうって話しじゃねー! お前自身がどうしたいかだ!」


「私……自身が?」


「あぁ……このまま振られて簡単に終わるほど、お前の高志に対する気持ちは安っぽいのか!?」


「そ、そんな事!」


「じゃあ! お前がどうしたいかを高志に全部ぶつけろ! 諦めるのはそれからだ!」


「……私が……どうしたいか……」


 優一はそう言うと、紗弥の手を掴んで引っ張る。


「行くぞ、あの馬鹿の頬を一発殴りにな!」


「え……ちょ、ちょっと……」


「あぁぁぁ!! 優一さん! 彼女の前で他の女と手を!!」


「お前は黙ってろ! 今は緊急だ! 高志を探しに行くぞ!」


「うぅ~……クリスマスなのに……」


「あぁ! 面倒くさい! これが終わったらなんでも言うこと聞いてやる! だから今は手伝え!」


「ほ、本当ですか!? じゃ、じゃあ朝まで一緒とかも……」


「してやる! だから今は手伝え!」


「はい! 分かりました! それと私の事は雌犬と……」


「よし! じゃあ行くぞ!!」


 優一は芹那が言い終える前に行動に出た。

 まずは泉達と合流する為に、優一はは学校に向かった。


「高志……待ってろよ……」


 優一はそう呟きながら、あるところに電話を掛け始めた。

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