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第37話

 芹那にそんな事を言いながら、優一は高志の事を考えていた。

 話しを聞いた後、優一は高志が便利屋でバイトをする前に行ったと思われる、バイト先の詳細を調べ、そのバイトの詳細を知った。


「あいつ……金額だけで変なバイトを選びやがって……」


 優一はそのバイト先で高志に何かあったのだろうと考えていた。

 

「……秀清か……かなり大きな会社みたいだけど……あいつはそのお屋敷で何をしたんだ……」


 スマホで高志がバイトに行ったお屋敷の社長について調べていた。

 若くしてIT系の会社を立ち上げ、成功を収めた上場企業の社長、秀清忠次。


「一体どんな仕事を……」


「優一さん! 何見てるんですか?」


「そもそもなんだこの募集内容は……」


「あ、無視した……そう言うことするとちゅーしちゃいますよー」


「金に物を言わせて一体……」


「イダダダ!! 頭を掴まないで下さいぃ~」


 優一は片手でスマホを持ち、もう片方の手で芹那の頭を鷲掴みにする。

 

「悩んでても仕方ないか……」


「ゆ、優一さん……」


「ん? あぁすまんすまん」


 優一は掴んでいた手を芹那の頭からどかす。 芹那は頭を抑えてうずくまり、優一に文句を言う。


「うぅ~割れるかと思った……でも……なんか興奮した……」


「……度し難い変態だな」


「もう、そんなに褒めないで下さいよ~」


「褒めてねぇよ……はぁ……」


 優一はため息を一つ吐くと芹那の頭を撫でて立ち上がり、部屋を出た。


「ちょっと電話してくる」


「浮気ですか?」


「あほか、高志に電話すんだよ」


 優一はそう言って部屋を出て、リビングで高志に電話を掛ける。

 しかし、高志は電話に出なかった。

 時間的には起きているはずなのだが、いくら待っても高志は出なかった。


「……あいつ……本番は明日だろ……大丈夫なんだろうな……」


 優一はそんな独り言を呟きながら、スマホをポケットに仕舞い自室に戻った。





 クリスマス当日、高志は目を覚ましてため息を吐いた。

 少し前までは待ち遠しかったこの日が、今は憂鬱で仕方が無い。

 早くに着替えを済ませ、高志は家を後にする。

 すると、家の前には見慣れた黒塗りの車が停車していた。


「お待ちしておりました」


「………こっちは待って無くても良かったよ」


「無理を言ったとは思っています、しかしお嬢様は来年もクリスマスを迎えられるとは限らない。なのでこの日は一日、お嬢様の為に使っていただきたい」


「……ホント、人の事を考えない人たちだよ……あんたらは」


 高志は伊吹にそう言うと、車に乗った。


「それでは出発します」


「……一つ確認したい」


「はい?」


「一時間、今日は俺に時間をくれるんだよな?」


「はい、構いません」


「そうか………」


 高志は窓から紗弥の家に目を向ける。

 そして、高志はスマホで紗弥に久しぶりのメッセージを送る。


【紗弥、大事な話がある。今日の17時に駅前の公園で待っている】


 高志はメッセージを打ち終えると、スマホを下ろして強く握りしめる。


「……紗弥」


 高志は紗弥の名前を呟きながら、スマホの中の紗弥との写真を消去した。

 

「俺……最低だな……」





 クリスマス当日の朝、紗弥は起き上がり外を見てため息を吐く。

 今日はクリスマスだというのに、紗弥の心は落ち込んでいた。


「高志……どうしちゃったんだろ……」


 紗弥はそんな独り言を呟きながら、スマホの画面を見る。

 

「え……高志から?」


 紗弥はそこで久しぶりの高志からのメッセージに気がついた。

 一体何を送ってきたのだろうかと紗弥は早速メッセージの内容を確認する。


「大事な……話し?」


 紗弥はそのメッセージの内容を見て、嫌な予感がしてしまった。

 紗弥は更に気分を落とし、珍しく二度寝をした。

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