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第32話

*



 テストが最終日の放課後、高志は紗弥へのプレゼントを買いに走っていた。

 金銭的な問題もクリアし、デートのコースも大体決まりつつあった。

 

「はぁ……無事買えた」


 高志は大事そうに購入したプレゼントを持って店を出た。

 これで一安心なんて思いながら、高志は家に帰ろうとする。

 しかし、このまま帰っては紗弥にプレゼントの存在がバレてしまう恐れがある。


「鞄に入れて行けば……まぁ大丈夫か」


 高志は鞄にプレゼンを仕舞い、家に真っ直ぐ帰ることにした。

 しかし……またしても高志の目の前に見覚えのある黒い車が止まる。


「またか……」


 高志は思わずそんな言葉を漏らし、下りてきた相手に尋ねる。


「今日は何の用ですか?」


「っち………」


「え、なんで舌打ち……」


 下りてきた伊吹に挨拶よりも先に舌打ちをされ高志は驚く。

 

「突然申し訳ありませんごm……八重様」


「今ゴミって言いかけました? 俺の気のせいですよね、気のせいであって欲しいんですけど」


「いえ、そんな事は……ところで本日はこれからお時間ありますでしょうか? ゴミクz……八重様」


「クズがプラスされた!? いや……まぁ時間はありますけど……なんで俺の呼び方が変わ……」


「それでは行きましょう」


「え? っちょ! またこのパターン!?」


 高志は言い終える前に伊吹に車の中に放り込まれ、そのままどこかに連れて行かれる。

 

「あの、今度はどこにつれて行くんですか?」


「良いから黙って乗ってろ、クソガキ」


「え?」


「こほん……失礼致しました。もう少々で到着致します」


「なんか今……素が出ませんでした?」


「いえ、そのような事はございません」


「そ、そうですか」


 ちょくちょく高志に厳しい言葉をぶつけて来る伊吹。

 高志はそんな伊吹に疑問を浮かべながら、車が目的地に到着するのを待った。


「到着しました」


「またこのビルか……」


 高志が連れてこられたのは、瑞稀の父親と始めてあったビルだった。

 また瑞稀の父親から何か話しがあるのだろうと思いながら、高志は伊吹と共にビルの中に入っていく。

 ビルの最上階、その部屋には前回と同様、瑞稀の父親が椅子に座って待っていた。


「お連れしました」


「あぁ、ご苦労。待っていたよ八重君」


「は、はぁ……また、一体何のご用で?」


 俺は瑞稀の父親にそんな質問をする。

 すると、瑞稀の父親は高志の事をじーっと観察するように見てきた。


「な、なんでしょうか?」


「あぁ、すまない……気分を害したのなら謝罪しよう……本題に入ろうか」


「本題?」


 ガチャリ。

 背後で鍵の閉まる音が聞こえた。

 高志が背後を向くと、伊吹が何故かドアの鍵を締め、ドアの前に立っていた。

 高志はなんだか急に怖くなってきてしまった。


「君は……最近瑞稀とは仲良くやってくれているようだね……」


「あぁ……はい、仲良くさせてもらってますけど……」


「あぁ……その点に関しては瑞稀の父として感謝しているよ……娘も始めて出来た友人が嬉しいようでね……夕食の時は毎回君の名前が瑞稀の口から出て来るよ」


「そ、そうですか、それは良かったです」


「それでだ……君は瑞稀をどう思っているんだい?」


「へ?」


「どう思っているんだい?」


「いや……あの……友人だと思っていますが……」


 質問の意味が良く分からず、高志は困惑する。

 なんでそんな事を聞くのだろうか?

 高志がそんな事を考えていると、背後から強い圧を感じる。

 恐る恐る高志が後ろを見てみると、ドアの前の伊吹が鬼のような形相で高志を見ていた。 自分は何かまずい事を言っただろうかと、高志は自分の言った事を改めて考える。


「そうか……君は瑞稀に好意を抱いてはいないという事で良いのかな?」


「えっと……まぁ、そうなりますね」


(まぁ、紗弥が居るし……瑞稀に好意なんていだいてたら二股だしな……)

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