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第24話

「あ、もうこんな時間か……じゃあ、俺はこの辺で」


「あ……そう……ですか……お気を付けて」


 高志は時計を確認し、もう一時間も瑞稀と話しをしていることに気がついた。

 流石にこれ以上は迷惑だろうと思い、高志は帰ろうとする。


「あ、あの!!」


「ん?」


 瑞稀に呼び止められ、高志は瑞稀の方を振り返る。


「また……来ていただけますか?」


 不安そうな、悲しそうな表情で高志を見つめる瑞稀。 そんな瑞稀に高志は笑顔で答える。


「あぁ、近いうちにまた来るよ」


 高志がそう言うと、瑞稀は嬉しそうに笑みを浮かべた。



*



 高志が帰った後、瑞稀は自分の部屋で机に座って高志が話してくれた話しを思い出していた。


「あんなに笑ったのは……いつ以来でしょうか?」


 瑞稀にとって高志との時間はあっという間だった。

 高志の話しが瑞稀にとっては新鮮で、聞いているだけ楽しい気分になった。


「……また……早く来てくれないでしょうか……」


 瑞稀はそんな事を呟きながら、窓から見える夕焼けを眺める。

 こんなに一人になるのが寂しいと感じたのは、瑞稀にとって始めての事だった。



*



「ただいま」


「あら、おかえり。おそかったわね」


「ん? まぁね……あ、俺明日も朝から居ないから」


 帰宅した高志を迎えたのは、高志の母だった。

 料理をしていた様子で、エプロン付けて右手にはお玉を持っていた。


「私たちは別にそんなの良いわよ……でも、紗弥たyんがねぇ……」


「紗弥がどうかした?」


「ずっと待ってたわよ、あんたの部屋で……」


「え!? ま、マジで……」


「きっと寂しかったんじゃない? まだ居るから、言って上げなさい」


 高志は母から話しを聞き、急いで二階への階段を駆け上がる。

 

「紗弥!」


 高志は紗弥の名前を呼んで部屋のドアを開ける。

 紗弥は高志のベッドの上で吐息を漏らしながら寝ていた。

 隣にはチャコが丸まっており、高志は可愛そうな事をしてしまったと思いながら、紗弥の側に寄る。


「……ごめんな……もう少しだけだから……」


 高志はそんな事を呟きながら、紗弥の頭を撫でる。

 

「ん……高志ぃ……」


 寝言で自分の名前を呼ばれ、高志はドキッとしながら、紗弥に布団を掛ける。


「風邪引くよ……」


 高志は荷物を置き、紗弥が起きるまでの間、部屋で勉強をしていた。

 なんとしても紗弥にクリスマスは喜んで欲しい、そのために赤点を取る訳にもいかない。


「ん……高志……」


「あ、起きた?」


 高志が勉強始めて一時間が経過したところで、紗弥が目を覚ました。

 目を擦りながら、トロンとした目で高志の方を見つめる。

 チャコも紗弥が起きたのを感じて起き上がる。

 

「お前も起きたか」


 チャコは起きて体を伸ばし、高志の足下に近づいて両足で高志の足にしがみつく。


「にゃー」


「あぁ、飯な……ちょっと待ってろ」


 高志はチャコを抱き上げ、紗弥が座っているベッドの方に向かう。


「私、寝ちゃってたね……」


「うん、気持ち良さそうにチャコとお昼寝してたよ」


「用事は終わった?」


「うん、今日はもうどこにも行かないから」


「そう……今日も少し遅くまで一緒に居ても良い?」


「あぁ、良いよ」


 高志がそう言うと、紗弥は頬を赤く染めて嬉しそうに笑う。

 そんな良い雰囲気の二人を他所にチャコは、お腹が減ったと鳴き声を上げる。


「にゃーにゃー!!」


「はいはい、わかったわかった」


「私、お母さんの手伝いしてくるね」


 紗弥はそう言って、高志の母の手伝いをしに一階に下りていった。

 高志も遅れて一階に下りていき、チャコに餌をやる。

「ほらよ」


「にゃう……」


「ありがとな……紗弥が一人で寂しくないように、一緒にいてくれて……」


「……にゃうにゃ……」


「聞いてねーか……」


 チャコは夢中で餌に食らいついていた。

 高志も今日は動いてお腹が減っており、チャコを置いてリビングに向かう。

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