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人類が増えすぎたので減らしてほしいと頼まれました【本編完結済】  作者: にゃんきち
人類が増えすぎたので減らして欲しいと頼まれました
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第七十七話:成層圏の天才


「影山さん、月末まであと12日はあるとはいえ、僕らは何をやってんでしょうね?」


 服部は俺に泣きついてきてからずっと自宅に帰らず俺の家に詰めていた。別に外を歩くと危険だからという訳ではない。俺の手伝いをさせているだけだ。俺を巻き込んで危険な目にあわせているのだから当然協力くらいはしてもらう。


 服部が朝から晩までやっているのは、ニュース番組のアーカイブ映像を入手して、俺が言った条件のところを切り出す作業だ。服部にとってははじめての作業だそうだが、ブチブチ言いながらもノンリニア編集ツールを小器用に使って良くやってくれている。


 俺はというと日本橋三越で手品の道具を買ってきてひたすら手品の練習をしたり、探偵事務所を20箇所も廻ったり、沖縄やら代々木公園やらにとんぼ返りで遊びに行ってビデオを回してきたり、タコや貝やオコゼを育てたり……とまあ、取り留めのないことをしていた。

 実際には全て必要な事なのだが、それが分かってくれる人はいない。いつもの通り説明していないからな。遊んでいるようにしか見えないだろうがそれでいい。それがカモフラージュになる。


「まあな、お前は俺を木更津に連れていけば上級信徒の仲間入りなんだろ? でも俺はどうなるのかわからんからそれなりに準備は必要なんだよ」


「それを言われると辛いんですが……」


 そんな会話に興じていると、玄関のチャイムが鳴った。


「おいでなすったな、守護神が」


 インターフォンのカメラ映像では体が大きすぎて顔が良く解らない男が写っている。ドアを開けて男を迎え入れると男は笑顔満面で俺の背中ををバンバン叩いて挨拶した。


「よぉ、ブラザー。元気か? こっちは暑いな……」


「悪かったな。本当は成田まで迎えに行きたかったんだがこっちもいろいろあってな……」


「いいってことよ」


 逞しい体と野太い声を引っさげてやって来たのはデルフィノさんだ。俺とデルフィノさんが笑顔を交わす傍らで、はじめてデルフィノさんに会った服部は緊張と畏怖の色を隠せない。

 今の服部はまるで、北区の路上で向こうから怖いお兄さんが歩いてきたときのサラリーマンのようだ。北区がわからない人は戸畑でも西成でも栄でも川崎でも好きに置き換えてくれ。


「か……影山さん、彼が頼りになるって言ってた友達?」


「そうだ。デルフィノさんといって、アンゴラ国境警備隊の勇士だぞ。当日まで自宅近辺の警備と当日の俺のボディガードをしてもらうつもりだ」


「よろしくな、リトルブラザー。ところで銃はどうする? どこで調達できるんだ?」


「ブラザー……この国じゃ銃は諦めてくれ。違法なんだ。悪いが今回は徒手格闘か刃物で頼みたい。おい服部、お前んちの近くに肉弾系の武器売ってる店がいくつかあるだろ? デルフィノさんを連れて行ってやってくれ」


 服部は幾分持ち直したようで、必死で英単語を繋げながらデルフィノさんと話し始めた。なるほど、手伝ってくれる気はあるらしい。


「ふん……銃器(チャカ)なしか……まあしょうがないな」


 服部とデルフィノさんが秋葉原の武器屋に出かけるのを見送ると、俺はオフィスの役員室にディゾルブで移動した。もうすぐ来客がある予定なのだ。


 しばらくして相田に連れられて応接室にやって来たのは白人男性にしては少し背が小さい、金髪のおかっぱ頭で無精髭を生やし、メガネをかけた童顔の男だった。カジュアルな格好で背には擦り切れたゼロ・ハリバートンの重そうなリュックを背負っている。いかにも西海岸の天才プログラマーという感じだ。


「紹介しときます。彼がダグ=クラーク。機械学習プラットフォームとミドルウェアの 『ML4Vp』 の開発者にして第一人者です」


「コニチワー。ハジメマシテー」


 クラーク氏はサンフランシスコで 「ストラトマインド」という会社を設立し、自らはCTOとして大手企業とのプロジェクトを幾つも抱えて大活躍している。数年前に来日した時に神田のラーメン屋がえらく気に入ったらしく、日本支社を神田に設立してアジアを中心に活躍している機械学習界隈のレジェンドだ。


 クラーク氏は俺より少し年上くらいだが、渡ってきたビジネスの修羅場の数は大したものらしく、襲い来る数々の困難を乗り切った自信が全身から溢れている。相田とは研究室の先輩後輩らしい。


「ミスタ・クラーク。はじめまして、影山です。実はちょっと困ったことになってましてね、貴方のお力を借りたいんです……少々無茶なスケジュールで、1週間ほどでやっていただきたいんですがこんな特急仕事を受けてくれるのはストラトマインドくらいだって聞きまして……」


「ダグと呼んでくれて結構だよ、影山さん。僕を呼んだということは機械学習のソリューションがご希望なんだろうけど、どんな案件かな?」


 ダグの英語は中部訛りの聞き取りにくい英語だが、勢いと声の大きさは凄い。よく聞き取れていないのになんとなく「もう一回言ってくれ」と言えない何かを感じる。


「オーケー、ダグ……実は、人物の特定プラットフォームの作成を頼みたいんです。カメラの動画像から、『こいつはどこの誰か』を可能な限り正確に判断したいんですよ」


「それは今ならOpenCVに組み込まれたYOLOを使えばあっという間に出来るのでは……?」


「いやはや、そうなんですが、人間の顔を100通り以上も教師データとして入れてしまうとどうしても似た顔に高いスコアを出しがちで……もう少し別の要素も取り入れて精度を上げたいんです。クラウドプラットフォームで演算をして、クライアントはスマホにしたい。それを1週間で。できますか?」


「ああ、昨年のCEATECで似たようなものを作ったことがあるからそれでいけそうだね。おそらく新規開発の必要はないよ、ご心配なく。

 こちらはYOLO以外のニューラルネットワークも使っているから精度もかなりマシだと思うよ。学習対象は20万人くらいなら行ける筈だ。

 ただ、闇夜に真っ黒に日焼けした人を判定したりは出来ないけど、それはいいよね?」


 お、1から作らなくてもいいのならそれに越したことはない。正直これに1週取られるのは厳しかったんだ。一気にスケジュールが縮まるぞ。


「アノテーションツールは何を? 教師データがプライバシー的に面倒なものが多くて、作業を外注出来ないんです。アノテーションは手元でやりたいんですが……」


「心配ない、そっちも稼働可能な形で渡せるよ。あとでgithubのアドレスとアクセス権を送ろう。

 ドキュメントは整備してあるつもりだがわからないことがあったら聞いてくれ。クラウドはウチにGPUつきのがあるからそっちを使うと良いよ。面倒な設定が全部はぶけるからね。話は今日はこれだけかな?」


「ええ、ダグ。これだけです。あまり面白い案件でなくてすいません。今度はもっと時間のある時にこれよりマシな案件を相談させて下さい。ストラトマインドに力を借りたいことは他にも沢山あります」


「了解だ。頭のいい人とビジネスの話をすると速攻即決ができて気持ちがいいね。じゃあ次を楽しみにしているよ。

 さて、使用料と支払い条件についてだけれど今回は前に作ったものの流用だからかなりお安くなってしまうな……また経理に怒られてしまう」


「ははは。特急料金込みで500から600万円くらいかなと思ってましたよ。2人月(にんげつ)くらいかなと」


 俺は業界で天才と言われた彼に終始気圧されながら発注を終え、ダグは相田と一緒にそのままオフィスを出て行った。しばらくぶりだったせいか、積もる話があるらしい。


 一週間の開発とその後のアノテーション作業を覚悟していたのに、アノテーションだけで良いことになって大幅にスケジュールが短縮されたのは大きなゲインだ。しかもストラトマインドのコードは素晴らしく、一つのエラーも吐くことがなくコンパイルでき、実行速度と認識精度は驚愕すべきものだった。


 やっぱ天才すげえわ。


◆◆◆◆◆


「影山さん、ホント俺達何やってんスか? 教えてくださいよ。遊んでるわけじゃないのは真剣さを見ればわかりますけどぉ……」


 俺の家でひたすらアノテーション作業をしていた服部だったが、自分のやっている作業の意味を知りたい欲求が溜まりすぎて我慢の限界が来たらしい。


「うーん、服部、お前そう言うけどな……『救世聖杯信教』についてどれくらい知ってる? もしかしたらお前の代わりに俺が殺されるかも知れないわけだが、殺す側の連中のことをお前俺に少しでも教えてくれたか?」


 そう、服部は俺に丸投げしている。反省はしているが自発的な行動は何らしていない。デルフィノさんを呼んだのもダグを呼んだのもカメラを持ってあちこち廻っているのも手品の練習をしているのも全部俺。あいつは秋葉原の武器屋で厨ニっぽい武器をデルフィノさんと一緒に買ってきただけだ。


「う……確かに…… ウィキペディア見たら書いてるんじゃないですか?」


「お前、これ見て何か分かるか?」


救世聖杯信教

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救世聖杯信教きゅうせいせいはいしんきょうは岡野伸之が1979年に日本で立教した「聖杯の光」の系譜にある宗教団体である。1988年に岡野の死後「聖杯の光」が分裂し立教した。既存宗教との共通教義が見られず、キリスト教、仏教との関係を岡野自身も否定している。


 教団は、国内に約100ヵ所 海外に約20ヵ所の拠点があり、世界45ヶ国に約六十万人の信者がいるとしている。国内信者数は機関誌の購読数より29万人と公表している(2013年)


 近年の信者拡大や数々の異常行動が原因でセクトと見られることもあるが、教徒の財産の接収や排他的な教義といった項目がセクト指定の判断基準から外れているため、非セクト・非カルトであるとの見方もある。海外では「アラン・ジュスト報告書」の「セクト構成要件の10項目」において6項目が該当するとの見方からセクト扱いされることが多い。


 1990年後半より、米・仏・独においてカルト教団と指定されている。


=====================================


「……カルトとかセクトとか言われてるってくらいしか分かりませんね」


「だろう? だけどこっちの資料を見てみろ」


 俺は服部に218頁もある分厚い資料を渡した。壬生さんから渡された壬生戦略研究所謹製の資料だ。


「うわ! これ何スか? 教義、組織、歴史、主要メンバー、資金源、こっちは木更津のあの建物の見取り図まで……?

 うわ。これ、信者のうち、行方不明者になった人と不審死した人のリストじゃないですか……うっわー……」


 服部に見せても良い資料だったかどうかは疑問だが、今は服部も当事者だし、問題ないことにしてしまおう。ただし、持ち出し不可な。


「よし、解説してやろう。まず教義だが、こいつらは『のに教』だな」


「『のに教』?」


「俺が勝手に作った言葉だ。いい大学に入った『のに』モテない。就職できない。いい会社に入った『のに』花形部署に行けない。脚光を浴びれない。せっかく医者や弁護士になれた『のに』誰も自分に注目してくれないという、ハイスペックな割に不遇かつ残念な奴らが引っかかる宗教だ」


「それはどこにでもありそうな話ですけどねえ……」


「そう、実にありふれた話なんだな、だが『のに』って言葉の裏には『本当は自分はもっと輝ける』って思いがあるんだよ」


「まあ、そうでしょうね」


「ところが実際は輝けない。技能を磨いても上には上がいるし、要領のいいやつが頭のいい自分より先に出世するし、花形部署の席は待っていても誰も譲ってくれない。そうすると、凝り固まった怨念は分りやすい答えを求め始めるんだ」


「答え?」


「『この世の中は一部の権力者に支配されていて、そいつらの巧妙な陰謀のせいで自分は輝けない』ってところに落ち着くんだそうだ。新興宗教やセクトが巧いのはそれを『迷える子羊が自分自身で見つけた』(てい)にしてやるところだな。それで、この世の中の隠された秘密を知ってしまった、気がついてしまったと思ったら闇雲にそっちの方向に突っ走る子羊ってのが連中のお客様だ」


「よく言う陰謀史観とかいうやつですね。それが自分を取り巻いていて、自分は陰謀の犠牲になっていると……」


「そう。アホみたいな話だ。だけどそこにしか心の拠り所がない連中は必死だよ。散々やらかしまくって帰るところを失って、もうふり返れなくなってしまう。ちょうど会社に来なくなった時のお前みたいにな」


「うう……耳が痛い……激痛が……」


「と、行き場がなくなれば後は、同じ陰謀史観を持った仲間と一緒に傷を舐め合いながら生きていくしか無いだろ? 周囲から孤立してどんどんやらかして、また孤立してどんどんドツボに入っていくんだよ」


「すでに宗教じゃないですね、それ。宗教は生き方を示すものだと思ってましたが、どう考えても行き方を踏み外すための罠としてしか機能してない。神様は何をしてるんすか?」


「最近は特定の神様を拝まない宗教とか、教祖のいない宗教とか、特定の教義を持たない宗教ってのも結構あるんだ。『空飛ぶスパゲティモンスター教』とか『Google教』とかも、あれはあれで真面目にやってる連中もいるらしい。人がどういう思考に囚われて出てこれなくなってしまうのかは正直、いろいろありすぎてわからんが、逆に分りやすいロジックはないんだと思ったほうが良さそうだな」


「うーん……聞けば聞くほど恐ろしい……」


「そして収入源だ。お前が見てきた立派な大神殿とやら、総工費だけで500億円以上かかってるらしいがそれがどこから来てるかだな」


「信者からは年に1万円しか取ってないって聞いてますよ」


「うーん。そうなんだがな……ヒントをやろう。最近の新興宗教はどこも『陰謀に騙されないように、皆で世界の仕組みについて勉強しましょう』って言うんだよ。『神様に祈りを捧げましょう』じゃなくてな。そうすると何が必要になる?」


「えーと……わかりません」


「教科書が必要になるんだよ。年20回発行、1冊3500円。印刷はお前が見た建造物群の中にある印刷所がしてるらしいぞ。一人年間7万円、信者29万人。さあいくらだ?」


「203億円……」


「そうだな。まあ原価3割だったとしても140億円ほどは儲かってるわけだ。土日のファミレスで一生懸命この本を開いて勉強してるやつらが居るから見に行くといい。なんでもテストがあって、何度か合格すると教団の中で位階が上がるそうだ。で、収益に話を戻すとだな、他にも彼等は儲かる事業をやってるぞ」


「事業? 駐車場とか保育園とか?」


「俺が見てきたのはちょっと違う。沖縄とか代々木公園とか行って来てわかったんだけどな、これ見ろよ」


 俺は沖縄で撮ってきた動画をテレビに映して見せた。画面には沖縄の基地の周りで国道を塞ぎながら喚き散らしている無法者の団体が写っている。服部もニュース番組でこの手の映像のソフトな方は見たことがあるだろうが、俺が撮ってきたのは本当に目を背けたくなるほど酷い映像なのだ。


 警官や基地職員に暴行を加え、少しでも手を払いのけようとしたら大げさに倒れて喚きたて泣き叫ぶ。その様子をずっとカメラで録画しながら大声で囃し立てる。皆、正義感が生み出すエンドルフィンで恍惚としており、とてもマトモな人間には見えない。

 案の定、服部は目を背けて「もういいです」と言い出した。

 

「お前今、こいつらをマトモな人間じゃないって思っただろ?」


「ええ」


「じゃ、次に半年前の国会議事堂前のデモの映像だ。見てみろ」


 俺は国会議事堂前のデモの映像や、代々木公園で集会をやっているプロ市民の映像をPCのモニタに映し出した。


「気づいたことはあるか?」


「ええと、中心になって大声を上げている政治団体の人はともかく、モブというか、後ろの方の人達がみんな似たようなうつろな顔をしてますね。どれも似たような感じに見えます」


「そうだな。似ている。それどころか……」


 俺は沖縄の動画を一時停止したものと、代々木公園で集会をしている人達の動画を一時停止したものを服部に見せた。


「こいつとこいつな、多分同一人物だ。ストラトマインドのエンジンは導入してないけど、俺が作った同一人物検出エンジンでは同一人物って出てるんだわ。この手の同一人物が今の所46人検出できてる。お前に切り出してもらった反原発とか原子力空母寄港反対デモとかオスプレイ配備反対デモとかの映像見ても同じ奴が映ってるぞ」


「今一つわからないなあ…… デモをハシゴしてる人達がいるってことでしょ?」


「このデモな、出席すると政党やマスコミ、組合なんかの団体から日当と弁当が出るんだよ。沖縄だと一日3000円、首相官邸前だと5000円だってさ。沖縄では俺が日中公園で佇んでると『デモいかんか?』って募集かけてきたぞ。

 で、救世聖杯信教はそれをダンピング価格の2500円とか4500円とかで一括して受けてるんだよ。2000人分とかをまとめてな。

 そうするとマスコミや団体は『怒りの県民七万人大集合』とかって絵面が作れるわけだ。これで教団は一日で数百万の売上だよ。デモや座り込みがあるたびに売り込みに行ってカネをガバっと稼いで、信者には弁当と交通費しか渡さない。すげえだろ?」


「頭いいスね……」


「さらに性質(たち)が悪いのはこれだ。外国人が政治活動するといろいろ問題があるってんで、自分達の代わりに参加してきてくれって依頼が結構あるらしいんだな。

 今の政権や防衛政策に批判的な、というか、ぶっちゃけ政権や基地整備を続けられちゃ困る他国の組織や団体からカネで依頼されて出動してるらしいんだよ、デモに。

 行く人達は『現政権の陰謀を暴く』なんてのが大好きだから、何も考えずに喜んで行くんだ」


「知らないところで知らないお金がとんでもないことに使われてるんですねえ……」


「俺が最近読んだ新書に書いてあったことなんだが、なんでも人間の脳は正義を行う時、セックスやギャンブルと同じ快楽物質、ドーパミンが分泌されるんだそうだ。あそこにいる連中の顔が虚ろなのは案外、アヘ顔なんだよ……」


 アヘ顔に関しては俺も一家言ある身だが今は何も言うまい。


「以上が俺達の敵の正体だな。これと、動画をさらに詳しく検証して考えられるだけの手を打っておくのがこれから10日の俺達の仕事だ。安心しろ。月末にはちゃんと木更津に行ってやるから」


 俺の下調べと啖呵に声を失った服部は、とりあえず首を縦に振るしか無かった。


「そうそう服部。明日はデルフィノさんと3人で富士吉田にいくからな」


「え?」


「救世聖杯信教が目の敵にしている『聖杯の光』の大神殿があるところだ。そこの近くまで行ってうどん食ってこようぜ。名物らしいんだよ」


「は、はあ……?」


 最初、この家に来た時の服部は溢れかえる情報の中でただ翻弄されている自分と、上手に情報の海を泳ぎきって状況を把握している俺との力の差に愕然としているようだった。


「それにしても影山さん、めっちゃ楽しそうスね……」


 服部がボソッと言ったが、そうかな? 俺そんなに楽しそうか?




 もしかしたらこれから殺されるかも知れないのに?

 





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― 新着の感想 ―
[一言] だからだよねぇ〜
[良い点] 「どんなものにも裏側がある」この言葉を 痛感させられますな。
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