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キヴォトス  作者: ととこなつ
第四部 〜ZOO・コンペ篇〜
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150話 夢 Ⅴ


 ルナは、夜の遊園地をてくてく歩いていた。ひとりで。

 遠くの観覧車を見上げながら。


「そこの、ウサギさん」

 ルナは声をかけられた。優しそうな老羊が、ルナに向かって微笑んでいる。

「見ていかれませんか。すばらしい絵がそろっていますよ」


 老羊は、スタッフのパスカード――アムレトを首から下げていた。彼が示すのは、メリーゴーランドの絵が壁面に描かれた、小ぢんまりとした建物。


 ルナは「はい!」と元気よく返事をして、ポケットから銀のビジェーテを一枚、取り出した。

 老羊は笑顔でそれを受け取り、ルナを館内へ(うなが)した。


 小さい建物だと思ったのに、中は宮殿のように広い。キラキラと輝くシャンデリアの高い天井。綺麗な模様の壁に、絵画がずらりと並べられていた。


「ここは、美術館なんですか」

「そうです。遊園地の中でも、ずいぶん長くやっていたんですよ」


 老羊は、目に涙を浮かべて言った。


「残念なことに、今日で閉館なんです」


 彼は目を潤ませていたが、悲しげではない。むしろ、目的をやっと達成できたかのように、じつに晴れ晴れとした顔だった。


「ここは、リニューアルして、あたらしい美術館ができます。最後のお客様がウサギさんです。記念に、お好きな絵を差し上げましょう。どうか、お選び下さい」

「えっ!? いいんですか?」

「ええ。いいんですよ。いいですとも」


 老羊は実に嬉しそうにそう言って、ルナに絵の説明をしながら、ふたりで長い長い回廊を歩いた。


 やがてルナは、一つの絵の前で、足を止めた。

 たくましい二人の男が、枯れ枝を抱いて嘆いている絵。


 ルナが絵の前で立ちすくんでいるのを見、老羊は優しく言った。


「……この絵は、あなたにとっては痛みを覚えるばかりでしょう」


「……ええ」

 ルナは絵を見つめながら、微笑んだ。

「でも、もういいんです」


 これをください、とルナは老羊にお願いした。老羊は合掌(がっしょう)し、「お優しい女神さまに、マ・アース・ジャ・ハーナの神の祝福を」と微笑んで告げ、掻き消えた。


 ルナはいつのまにか、遊園地の、もといた場所に立っていた。めのまえに観覧車がそびえたっている。メリーゴーランドの絵のついた建物はもうない。ルナのポケットには、リボンのついた、キラキラ輝くシャンデリアのミニチュアが入っていた。


 ルナがそれに見惚(みと)れていると、しくしくと泣く、だれかの声。

 だれだろうと思って顔を上げ――ルナは仰天(ぎょうてん)した。

 観覧車かと思った大きな建物は、大きな、それは大きな龍だったのだ。八つも頭がある。しかも、全部の頭に冷えピタを貼っているので、ルナは思わず笑ってしまった。


「いったい、どうしたの。八つ頭の龍さん」

 ルナは聞いた。


 八つ頭の龍? ルナは知らないのだが、ルナの身体を借りて、だれかが勝手にしゃべっているようだった。


「私の宝物が、燃やされてしまったのだ」


 龍はオイオイと泣いた。その泣き声は台風のようで、遊具が片っ端から吹き飛ばされそうだった。


「ウサギさん、どうしよう」

「宝物って?」

「船大工の兄弟の絵さ」


 ルナは、さっきそれを、老羊からもらう約束をしたのだ。だが美術館も老羊も跡形もなく消えてしまい、ルナの手に残されたのは絵ではなく、シャンデリアのミニチュア。


「これをあげるよ」


 ルナはシャンデリアを龍に差し出した。龍はキョトンとしたが、やがて、大きな前足で、そっとそれを受け取った。


「ありがとう」

 龍はぐずりながら、嵐のような小声で言った。

「あんたには、世話になってばかりだ」


「いいの」

 ルナウサギは、龍の冷えピタをひとつもらった。


「あんたも熱があるの」

「いいえ」

 ルナは冷えピタを額に貼って、こう言った。

「八日間も寝込んだら、みんなが困っちゃうわ。あたしが一日分引き受けてあげる。はやく、元気になってね」





「――ルナ!」

「ルゥ、平気か?」


 ルナが目覚めると、アズラエルとグレンの顔があった。時刻は午前三時。周囲は真っ暗だった。額には冷えピタ。とても暑くて、息苦しい。二人の顔も、あつくるしい。

 ふたりが起きて、自分を覗き込んでいるということは、うなされでもしていたのだろうか。


「……だいじょうぶです」

 ルナはぜえぜえ、息をしながら言った。

「熱は下がるのです。あたしがもらったのは一日分だけ。明日の午後には下がるのです」


 そういって、ウサギはまたこてっと寝た。


「……なんだと?」


 アズラエルとグレンは顔を見合わせたが、すでにウサギはすぴすぴと夢の世界へ旅立っていた。


「……下がるんだとよ」

「……下がるのか」


 もらったのは一日分? また理解できねえこと、言ってやがる。

 猛獣二頭は首を傾げたが、ウサギのカオスにいちいち悩んでいても始まらない。

 熱を出したルナを抱えて病院に着いたらすでに閉院、医者も、だれもおらず、中央区の病院に直行するだのK27区へもどるだの、すったもんだした挙句(あげく)、アズラエルたちは椿の宿へ駆け込んだのだった。そうしたら、(くだん)の町医者が椿の宿へ食事をしに来ていて、ルナを見てもらえた。

 蒼白顔のアズラエルとグレンに、医者はあっさり、「知恵熱ですね」と告げ、解熱剤を置いていった。


「お父さんですか? そんなに心配せんでも、一晩寝りゃあ治りますよ」と言った中年医者にアズラエルはつかみかかるところだった。


 お父さんじゃねえよ。じゃあ、あんたがお父さんですかと聞かれた銀色頭の激怒っぷりをご想像下さい。


 パパじゃないです恋人です。


 二人でそう思っているのだから始末に負えず、クラウドがふたりの襟首を引っつかんで廊下に引きずるまで、醜い争いは続いた。


 あの心配はなんだったのか。

 ルナはすうすうと気持ちよさそうに寝ている。風邪でもなくただの知恵熱。


 二人の狼狽(ろうばい)っぷりは後々までクラウドに語り継がれそうだった。クラウドのいらぬ記憶力を侮ってはいけない。


「……人の心配も知らねえで」

「……いつものことだろ。俺は寝る」


 そう言って、ルナを挟んで左側の布団に横たわったグレンだったが、朝、アズラエルがふたたび目覚めたときにはすでに彼はいなかった。帰ったのか。布団はすでに畳まれていた――というか、ぐっしゃぐしゃになって脇に寄せられていた。


 アズラエルは、念願かなって、やっとルナと二人きりになったわけである。

 




「……下がってる」


 ララは、豪奢な寝台から起き上がり、額に手を当ててみた。熱はすっかり下がり、額の冷えピタはもはや用無しだった。まさか本当に、夢の中のピンク色ウサギが、ララの熱を一晩分、引き受けてくれたのだろうか。


「ララ様、おはようございます――」

 入ってきたメイドが目を見開いた。

「起き上がって、よろしいんですか?」


「アンジェリカを呼んどくれ!」


 冷たい飲み物や追加の冷えピタをワゴンに乗せて運んできたメイドは、すっかり元気そうなララに仰天し――それから、久しぶりの主の命令に、ワゴンを置いたまますっ飛んで行った。

 アンジェリカを呼ぶために。


 一時間後、アンジェリカがララの部屋に顔を出したその時には、ララはいつも通り、仕事着である真っ黒なサテン生地のドレスに身を包み、果物とコーヒーの朝食を取っていた。


「熱、下がったの」


 顔色はよさそうだねと、向かいのソファにアンジェリカが座ると、すぐにメイドが、コーヒーと茶菓子をアンジェリカの前に置いた。それが済むと、ララが手を払って、出て行けと命ずる。

 メイドが部屋から出たとたんに、ララは猛然としゃべり出した。


「ヘンな夢を見たんだよ」

「ヘンな夢?」

「あたしゃ、夢の類は滅多に見ない。――夢を見るほど、長いこと寝ないからね、あたしは。久しぶりに寝てばっかりいたから、おかしな夢を見たよ」

「でもそれが、なにか意味があると感じたから、あたしを呼んだんでしょ」


 アンジェリカがクッキーを口に運ぶと、ララは大げさにうなずき、ソファにふんぞり返った。


「そのとおり! あたしのZOOカードは、たしか、八つ頭の龍――頭が八つある龍だったよね?」

「うん」

「夢の中で、なぜかあたしは、その龍なんだ」


 アンジェリカが、クッキーを齧るのをピタリとやめて、身を乗り出してきた。

 ララが話を続ける。 


「八つの頭ぜんぶに冷えピタ貼っててさあ――笑うんじゃないよ。ちっちゃなピンク色のウサギと、なにか話してるんだ」


「ピンク色のウサギ!?」

 アンジェリカが絶叫した。「そのウサギ、月を眺める子ウサギ!?」


「さあ。名前は覚えてない」

 ララは首を振る。


「だけどね、あたしはなんだか、そのウサギと顔見知りみたいでね。――なに話してたかなんて、ほとんど忘れちまったけど。あたしは夢の中でも、船大工の絵が燃えちまったことが悔しくて、泣いてるんだ――彼女が――たぶん、あのウサギは女の子だとおもうんだけどねえ――彼女が、あたしに、ちっちゃなシャンデリアのミニチュアをくれて、熱を一日分引き受けてやるって言って、冷えピタを持ってったのさ」


「シャンデリア、だって?」


「今朝起きたら、熱は下がってるだろ? このとおり。まさか、本当にあの子ウサギちゃんがあたしの熱を持ってってくれたのかと思ってねえ……」


 アンジェリカが興味を持ったところと、ララが気になったところは、まったく別のようだった。


「ピンクの子ウサギ。それが、月を眺める子ウサギだとしたなら、ララ、出会ったことに意味があるよ」

「そうかい? さっぱり、意味が分からないけどね、あたしには」

「だから、あたしを呼んだんでしょ」


 アンジェリカは、彼女の仕事カバンである、いつも持ち歩いている大きな茶色の肩掛けカバンから、ノートを数冊取り出す。ZOOカードの占いの、記録帳だ。


「月を眺める子ウサギは、このところ、姿を消してるんだ。ZOOの支配者たるあたしが呼んでも、姿を現さない。なにをしているのか、あたしは分からないし、見つけられないけど――そこここで姿を現して、なにかしているらしい。カードたちのうわさではね」


「あんたはZOOの支配者だろ? そのあんたがカードを呼び出せないなんてこと、あるのかい」


「あるよ。あたしは、ZOOカードの支配者ではあるけれど、ZOOカードは真砂名の神があたしにくれたものだ。あたしは、真砂名の神に、一時的に『支配者』として認められているだけ。月を眺める子ウサギは、いまは真砂名の神のご意志で動いているんだ。だから、あたしがどう探しても、見つからないことだってある」


「へえ」


 アンジェリカはノートをペラペラとめくり、「シャンデリア……の持つ夢の象意は」と独り言をつぶやいている。

 ララが口をはさんだ。


「どうして、そのピンクのうさこちゃんが、あたしの熱を持って行ってくれたんだい? あたしと、その月を眺める子ウサギとは、なにか関わりがあるの」


 アンジェリカはニヤリと笑い――「あるよ」と意味深な口調で言った。


「もっとも」

 アンジェリカは、ノートから目を離して、コーヒーを口に含む。

「ララは月を眺める子ウサギに会いたくないかもしれない――なぜなら、あんたが、この世で一番頭が上がらない人間だからさ」


「なんだって?」


 宇宙船の株主であり、世界遺産保護団体の理事であり、真砂名神社修復の責任者も務めているララが、頭の上がらない相手? 


 ララは首を傾げた。よほどの大物だろう。美術関係の大家か、政治家か。


 政治家だって、ララに頭が上がらないやつがいるのだ。では、ララよりもっと上役の、宇宙船の株主や、E.S.Cの理事? 取締役とか――だが、ララの見知った顔の中には、とてもではないが、あの可愛らしいピンクの子ウサギと一致するようなイメージの人間はいなかった。


「いったい、だれなんだい? 月を眺める子ウサギってのは」

「前も言ったよ。高僧のトラか、月を眺める子ウサギが、ララ、あんたの“運命の相手”を連れてくるって」


 ララは、美人が台無しになるほど大口を開けて、手を打った。


 それは、この宇宙船に乗ったころ、アンジェリカに言われていたことだったが、高僧のトラがアントニオだと知っているララは、彼が連れてくると決めつけてしまい、片方の、月を眺める子ウサギのことはすっかり忘れてしまっていたのだった。


「あたしは――夢で――やっと、あたしのキューピッドに出会えたのかい」

「ええと……シャンデリア……、」

「だれ!? 月を眺める子ウサギって、だれだい!?」


 何者なんだと詰め寄るララに、アンジェリカはうわの空で言った。


「ララ、あんたの前世のひとつに、この宇宙船の美術館を創設した、責任者の前世があっただろ」


 ララは、深くうなずいた。あの前世があったから、今のララがあると言っていいと、ララは、自分でもそう思っている。


「月を眺める子ウサギは、そのときの、あんたがいた会社の女社長――つまり、あんたに多額の融資(ゆうし)をしてくれた、あの大恩人だよ」


 ララはそれを聞いて、へたりとソファに倒れ込んだ。


 前世の記憶など、当然ない。けれど、アンジェリカにその前世の話を聞いた時から、もし出会えるなら、かの社長にもう一度会いたいと――礼を言いたいと、心の奥が、叫んだのだった。


 彼女は、自分が望むままに金を工面(くめん)してくれ、応援してくれた。大仕事が終わって、燃え尽きた自分に、長い有給休暇さえ与えて、面倒を見てくれた。彼女が亡くなったあと、会社を立て直すのは大変だったが、彼女の夫が支援してくれたので、自分の苦労は大したことはなかった。


 彼女がいたから、今の自分がいる。その彼女が、今度は、自分のために熱を引き受けてくれ、運命の相手まで連れて来ようとしているのか。


「――世話になってばかりだ、彼女には」


 ふと、デジャヴュのような気がした。夢の中でも、そう言っていたような。


「会いたいよ、アンジェ」

 ララは、そうつぶやいた。

「運命の相手もそうだけど、彼女にも、もう一度会いたい」


 今度こそ、自分が彼女の助けになりたい。ララは、そう思っていた。


「うん、だからさ、……多分、シャンデリアがキーワードなんだ。彼女があんたに渡したっていうシャンデリア。――ああ、わかんない。シャンデリアっていう、夢の象意ははじめてなのかも……ララ、」

「なんだい。なんでも聞いて」

「そのシャンデリアって、どんなシャンデリア? ほんとうにシャンデリアだった?」


 ララは、必死で頭をひねって思い出そうとした。


「シャンデリア――だったよ。すごく、小さなね。ちっちゃなうさこちゃんの手に納まるくらいの奴だったから、相当小さい――あ、でも、あのシャンデリア、見たことあるかも――」


「え!? どこで?」


「ほんとにシャンデリアなんだけど、――そう、変わった形でね。――ああ、――あれ?」


 ララは、脳裏に(ひらめ)いた形に、またしても手を打った。


「あれ、アンジェラがデザインしたヤツだ――そうだ」


「マジで!?」


「そう。ムスタファの屋敷の、大広間のシャンデリア――そうだ! あの大広間はぜんぶ、デザイナーたちの設計で、シャンデリアのデザインも、アンジェラがしたんだ。そのとき、アンジェラが見本のためにって作った小さなシャンデリアが、あれだよ!」


「ムスタファの――大広間の――」


 アンジェリカがはっと気づいたように、叫んだ。


「わーかったー!!」

「なにが分かったんだい」

「ぜんぶ謎が解けた! なんでアンジェラとあんたが、クラウドとアズラエルに声をかけたかも、なんで月を眺める子ウサギが、こぐまを助けるのかも!」

「あたしには、さっぱりわからないね」


 ララの呆れ声に、アンジェリカは大興奮で言った。


「ララ! ムスタファに頼めるのはあんただけだ! ムスタファの屋敷で、あのシャンデリアがある大広間で、盛大なパーティーを開くんだ」

「なんだって?」

「ララ、あんたじゃなく、ムスタファに招待状を出してもらって。あんたからじゃ、クラウドもアズラエルも用心しちゃって、来ないかもしれない。だからムスタファに出してもらうの。パートナー必須って条件でね」

「クラウド?」


 最近、彼女ができてからと言うもの、ずいぶんと冷たくなったもとカレに、ララは顔をしかめた。嫌われているのが分かっているのに、なぜ呼ばなきゃならない。アズラエルもそう。恋人が可愛いのは分かるが、まったくこちらに顔を見せなくなったのは、薄情というほかない。


「あいつらにはかなり良くしてやったってのにさ! 薄情なもんだよ」

「ちがうよ」


 拗ねたように言うララに、アンジェリカは笑った。


「ララ、あんたがクラウドに声をかけたのは、彼があんたの運命の相手の近くにいるからさ。でなければ、あんたはクラウドには声をかけなかったはずだ。無意識に、気づいていたから、彼と親しくなろうとしたのさ――無意識下の、八つ頭の龍がね」


「ええ?」

 ララは、仰天した。


「あたしは、運命の相手の名も、月を眺める子ウサギの名も教えないよ。それが真砂名の神のご意志だ。ララ、あんたが、先入観なしに直接彼女らと会って、気づかなきゃいけない」

「つまりは――クラウドとアズラエルが連れてくるパートナーが、そのどっちかだってことだね?」

「――あ」


 あわてて口を押えたアンジェリカだが、もう遅かった。しかしララの方は、すっかりご機嫌が直って、キセルを吹かしながら、満足そうに笑った。


「やっと――やっと、会えるのかい」


 ……あたしの、運命の相手に。


 ララはウキウキをかくそうともせず、そこらじゅうを歩き回った。


 アンジェリカは、それを見ながら、ちいさく肩をすくめた。


 どうやら、ララは、ルナとすでに会っていることをすっかり忘れているらしい。しかも、何度もアンジェラが問題行動を起こしたのが、「その」アズラエルのパートナーが原因だと――そのことも、気づいていそうになかった。


(さて、どう転ぶか)


 アンジェリカにはすこし悩みの種だった。


 ララがルナの正体を知ったとき、どう出るか。アンジェラがふたたび、どんな行動を起こすか。


 それもまだ、未知なのだった。



第四部 完

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