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キヴォトス  作者: ととこなつ
第四部 ~記憶の扉篇~
295/943

127話 ツキヨおばあちゃん Ⅰ 2


「あたしもアリスの夢なんて久しぶりだよ。しかもあたし、青いにゃんこなの」


 ZOOカードにあった、あのイラストとおんなじ。ミシェルは言った。


「八つ頭の龍って、だれだと思う?」

「う~ん、わっかんないなあ……」


 ミシェルは腕を組んで、宙を見上げた。


「で、あの黒いネコはエレナさんだってクラウドは言うんだけど……」

「うん。エレナさんは”色町の黒いネコ“だよ」

「ほかに黒ネコのカードの人っていないのかな? だってエレナさんが、あたしに子ども、くれるんだよ? あたしあの人と、そんなに親しいってわけでもないし。悪い人じゃないのは分かるけど、――あの人、その、ルナを一度は殺そうとした人でしょ?」


 ルナはミルクティーをのどに詰まらせるところだった。


「そ、それはそうだけど……。でも、あのときは理由があって。本当はいい人なんだよ?」

「それは分かってるって。だけどさ、あたしが、あの人苦手なだけだからかな? う~ん、やっぱいまいち、実感わかないよ。エレナさんがあたしに?」


 ルナはめずらしいと思った。ミシェルはあまり、ひとの好き嫌いがない。ミシェルから、だれかれが苦手という言葉は、いままで聞いたことがないのだ。


「エ、エレナさんのこと、苦手なの?」

「……悪い人じゃないのは、分かってるんだよ」


 ミシェルは困ったように、言った。


「でも、なんだかね、ほんとに、いいたくないけど、あたし、あの人にあまり近づきたくない。アンジェリカさんに言われたせいもあるのかもしれないけど、どうしてだか、あの人に近づくと、あたしが貧乏くじ引くような気がするの」


 ルナは驚いて目を見開いた。「貧乏くじ?」


「うん。まあ、変だよね。気にしないで。普通にしゃべってる分には、いい人だもんね。ごめん。……なんか不思議。ほんとにヘンな夢だったなあ」


 ふたりは、しばし沈黙した。二人ともまだ、夢の内容を消化しかねているのだ。

 でも、互いに、この夢のことを違和感なく話せる相手がいて、とてもよかったと思っている。なかなか、ほかでは口にできない話題だ。リサやキラには、到底言えない。


「で、話はもとにもどるけど、ルナのお兄さんも、ZOOカードがウサギだったんだね。傭兵の黒ウサギかあ……」

「うん。あたし、びっくりしちゃった。なんていうか、確定しちゃったよ。あたしのなかで。やっぱりパパとママは、軍事惑星の出なんだって」


 おにいちゃんが、空挺師団の事件で死んだっていうのも、ほんとうなんだ。

 あの夢は、それを確定づけてしまった。


 ルナが深刻な顔でうつむいたところで、ミシェルが内緒話でもするように、小声になった。


「……。あのさ、ルナ」

「うん?」

「あたしらが住んでたあの辺って、新興住宅街だったじゃない」

「うん」


 ルナたちが通っていた学校がある町区内は、新興住宅地が多かった。


「だからさ、町内会っていうのもほとんどなくて、あたしらが小学校入ったくらいにやっとできたじゃん?」

「うん? そうか? そうだったかも」

「あたし、あの町内って、なかなか町内会できなかったわけ、分かったんだよね」

「えー!? なんでなんで?」

「あたしらの町内って、よその星から越してきた人間がほとんどだったんだよ」


「ほんとに!!」


「それさ、あたし、高校くらいンとき自覚したんだな。クラスのともだちと話してて。その子の町内は、町内会があってさ、夏祭りとか、親同士飲み会とかあったでしょ? 子どもだけのイベントだとか。町内会の人同士、家族ぐるみで仲いいみたいで。なんでだろうって。うちの町内ってそういうのなくって、近所も交流あるトコはあるけど、どっかよそよそしい町内っていうか。それで気になって、ちょっと調べたんだ。そうしたらわかったの。少なくとも、あたしの家の周り、みーんなよその星からきた家ばっかだった。初めて話すけどさ、うちの親、L53出身なの。事業に失敗して、L77に逃げてきたんだよ」


「そ、そうだったの……」


 これは内緒ね、とミシェルが人差し指を立てる。ルナはこくこくうなずいた。


「だから、もとからL77に住んでる人間とは、あわないとこ多くて。あそこ田舎だから、プライベートも根掘り葉掘り聞きたがるじゃん? で、事情があって話せないとよそ者扱いされたりとかさ。うちの親も、L5系からきたひとは都会人だからー、とか、最初さんざん嫌味に言われたらしいよ」


「あー。なんか、その辺分かる。かも。うちの親もね、表立っては言わないけど、リサのうちが苦手だった」


 リサの家族は、両親とも生まれたときからL77。リサの両親も、リサ同様ひと懐こくて、ルナも可愛がってもらった。だから、嫌いではないのだが、むかし、リサの母親がルナのうちにきて話し込んでいたとき、母が、「出身地はどこ?」「ご両親は?」などと質問攻めにあって、困惑していたことを覚えていた。


 ちなみに、ルナのうちは、L64から引っ越してきたことになっていた。なっていた、というより、ルナはずっとそう思っていた。


 ――このあいだ、椿の宿で夢を見るまでは。

 まるきり嘘ではない。ルナの母方の祖父母は、そこに住んでいる。


「よその星から来た人間で、言えないことがある同士って、なんか、その辺察することができるじゃない。聞けない部分があるっていうか。だから、うちの親と、ルナんちの親、仲良かったでしょ」

「そうだね」


 実際、親の出身星や前歴など、家族であるルナでさえ知らない事実が多かったというのに。


「ルナのパパさあ、あたし最初怖かったもん」

「え!?」

「うん。ルナは自分のパパだからあまり気になんないかもしれないけど、怖い感じがするよ。悪い感じでなくて――迫力あるっていうか。あたしね、この宇宙船に乗って、はじめてアズラエルとか、軍事惑星のひとに会ってあの感じが分かったの。うちのパパがさ、もしかしたらルナのパパは、軍事惑星にいたひとじゃないかって、言ってたことある。うちの近所の警察星からきたひとも、多分ドローレスさんは軍事惑星の人だって言ってた。そっちの人だって。――やっぱさ、分かっちゃうんだよ。そういうの。見る人が見ると」


 見る人が見れば分かる――。

 知らないでいたのは、ルナだけか。

 はじめのころ、アズラエルが怖いと思ったのは事実だ。同じ軍事惑星出身者で威圧感があっても、パパはパパだった。ルナにとって、パパは甘くて優しいパパ。

 傭兵だなんて、思いもしなかった。


「だからさ、ルナたちの親が軍事惑星から来たって言っても、あまり違和感ないんだよね、あたし。キラのママも軍事惑星の出で、ツキヨばーちゃんも、もしかしたら、ルナの話によると、地球生まれだったりするわけじゃん」

「……」


 ツキヨおばあちゃんもオシャレであか抜けていたし、周りに身内の影がないことから、L5系から引っ越してきたのだと周りでは言われていた。


 ――地球で生まれて、どんな形でユキトおじいちゃんと出会って――おばあちゃんは、L77に来たんだろう。


 ルナがツキヨおばあちゃんのことを考えていると。


「ね、ルナ、やっぱまだ、親にアズラエルのこと、話してないんだ」


 ミシェルに真剣な顔で言われ、ルナは戸惑った。


「ツキヨおばーちゃんにも?」

「う、うん……」

「親には言えなくても、ツキヨばーちゃんには言いなよ! ルナの夢の通り、もしアズラエルがツキヨばーちゃんの孫だったら、孫に会いたいかもしれないじゃん!」

「う、うん……」


 でも――もし、会いたくなかったら?


 バブロスカ革命で処刑されてしまったユキトおじいちゃんのこともあって、ツキヨおばあちゃんは、隠れて生活しているのではないか。ルナが思っているよりずっと、バブロスカ革命の話は、軍事惑星に住んでいたアズラエルたちにとっては、タブー視された話題だった。革命が終わって何十年もたった今もなお。


 グレンやアズラエルの怖い顔を、ルナは忘れてはいない。

 だから、エマル――アズラエルのママと別れて暮らしているのは、おばあちゃんなりの事情があって……、


「ルナは考え過ぎだよ」

 ミシェルは言った。

「夢のことなんて言わなくていいんだよ。彼氏ができたーってツキヨばーちゃんに報告すればいいだけ。あっそっかつきあってないんだった。でも、知り合いだから、でもいいじゃん。ともだちになったとか! で、アズラエルって分かったら、それはそれでいいじゃん」


「……」

 ルナが無言なので、ミシェルは、はたと気づいた。


「――なに、ルナ」

「……」

「なにそのウサギ口」

「……」

「もしかして、アズラエルにも……、言ってない、とか……?」


 伊達に、十年来の友人をやってはいない。ミシェルには分かった。


「なっ!? なんで!? 言わなきゃ!! なんでその肝心なことを言わないの!!」


 ルナのあまりの口のかたさには、ミシェルも呆れた。口がかたいのはいいことだが、言わなければいけないことも言わないのでは、せっかく夢を見ても意味がないではないか。


「だ、だって、なかなか言いにくくって。ただでさえ、あたし、勝手にひとの過去見たような気がして……。ツキヨおばあちゃんの古傷とかに触れたら、嫌じゃん……」


 まして、自分の親は、まだおにいちゃんの死が癒えない傷となって残っているのだ。

 そういう傷に触れざるを得ない事実である。なかなか、ルナには言えなかった。


「……それは分かるけどっ! でも……!」


 ミシェルはいきおい、席を立ちかけ――すとんと椅子に腰を下ろした。


「……でもさ、よく考えて、ルナ。自分の親はともかく、ツキヨばーちゃん、いくつだと思う? もう八十近いんだよ?」


 ルナがゆっくり、顔を上げた。


「あたし、高校のとき自分のばーちゃん亡くなったからわかるけどさ。ばーちゃんには時間がないと思う。あたしさ、」


 ミシェルは、コーヒーを見つめて言った。


「ばーちゃん死んだとき、どうしてもっといっぱいお話できなかったかなあって、後悔したもん。ツキヨばーちゃんは、ルナのホントのばーちゃんじゃないだろうけど、ツキヨばーちゃんは、ルナのことほんとの孫みたいに思ってると思うよ? ルナが宇宙船に乗るときだって、口にはださないけど、すっごい寂しかったんじゃないかって、思う。ルナが、本屋でバイトするって言った時も、ほんとにうちでいいのかい? そんなにいっぱい給料でないよ? とか言いながら、すごい喜んでたじゃない」


「……」


「おばあちゃんはさ、まだ健康だし、しゃきしゃき歩けるし、だからみんな心配しないけど、……七十七歳でひとり暮らしは、けっこうさみしいと思うよ?」


 そういわれると、返す言葉はなかった。ルナだってそうだ。何年も前に一度会ったきりの実のおばあちゃんたちより、仲がいいおばあちゃんなのはたしかだった。


 いつでもルナの悩みを嫌な顔せず聞いてくれて、一緒にごはんを食べたり、お料理を作ったり、遊びにいったりした。親や、ミシェルやキラをのぞいたら、L77にいたころ、一番一緒にいることが多かったかもしれない。


 ルナは、ツキヨおばあちゃんに会いたくてたまらなくなってきた。

 どうして、あんまり手紙もメールも出さなかったんだろう。


「だから、もしかしてツキヨおばーちゃんの古傷に触れちゃうことになるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。でもさ、おばあちゃんはきっとなにがあってもルナのことは責めないよ。……もしかしたら、おばあちゃんは、アズラエルにも、アズラエルのお母さんにも会いたいかもしれないじゃない。そういう可能性もあるんだよ? ルナが言うことで、おばあちゃんの孤独な生活がなくなるかもしれない。家族に出会えて」


「……うん」


「こんな大切なこと、内緒にしてちゃダメだよ」


 ルナは、眉をへの字にして、泣くのを我慢していた。

 これは、アズラエルが悪い。ミシェルは思った。

 ルナはたぶん、話そうとしたけれど、さっきの夢の時みたいに、怒られるかと思って言えないでいたのだ。

 ミシェルはそう考えた。

 ルナとしては、話すタイミングをことごとく逃していただけだったのだが。


「ルナ!!!!!」

「ひゃい!」


 ミシェルはゴゴゴと音をさせて、アイスコーヒーを飲み干した。ルナもつられて、ぬるくなったロイヤルミルクティーを飲み干す。


「帰ろう!!」

「え? うん?」


 あわただしく会計をし、ミシェルは家に向かってダッシュした。ウサギは、にゃんこをあわてて追いかける。


「アズラエルっ!!!!!!!!」

 

 唸り声も荒いネコが帰ってきた。


「ミシェル、おかえり」


 ここは、クラウドとミシェルの部屋ではなく、アズラエルとルナの部屋だ。なのに主はおらず、クラウドが眼鏡をかけて、ソファに座っていた。膝に分厚い辞書を乗せて。


「アズならでかけたよ。ジムで汗流してくるって」

「ええっ!?」


 ミシェルは怒りの投げやり場がなくなって、しゅうぅとしぼんだ。

 そこへ、やっと追いついたウサギがへふへふ、ふーふーと息を喘がせ、到着した。


「はやいよお、ミシェル~、」

「ルナが遅すぎんの」

「アズになにか用なの?」


 クラウドが聞くと、ミシェルは鼻息も荒く、怒鳴った。


「アズラエルのバカにね、説教しようと思って!!」

「アズがルナちゃんの話、聞かないからだろ」

「え? なんでわかんの」


 ミシェルが拍子抜けした声で言い、ルナはぽかんと口を開けるマヌケ面をした。クラウドは、読んでいた本をパタンと閉じた。そしてソファの上で、にっこりと笑って両腕を広げ、言った。


「おいで、子ネコちゃん、ウサギちゃん。俺がアズの代わりに話を聞いてあげる」





 アズラエルは、クラウドがいったとおりジムにいた。K07区のスポーツセンターにある、トレーニング・ルーム。


 コンピューターの格闘マシーンで、アズラエルは戦っていた。手にはボクシングのグローブ、足に脛当てをつけ、頭はヘルメットの様なもので防護し、架空の敵と殴り合う。ゲームのようなものだが、殴れば手ごたえはあるし、殴り返されれば多少の衝撃はある。


 一応、軍人の格闘演習用に作られたマシーンだ。


 アズラエルは初めて、この機械をつかっていた。軍人用に用意されたこのマシーンに近づくやつはだれもいない。くだらなすぎるからだ。こんな機械を相手にしているより、だれか仲間を誘って本物の格闘演習をし、汗を流したほうがいいに決まっている。


 つかってみたやつの感想は、「クソだ」の一言に尽きた。


 アズラエルも、くだらない、のひとことで済ませていたこの機械に、厄介になる日が来るとは思わなかった。とにかくイライラが頂点に達して、だれかれ構わず殴りたくなっていたのだ。


 アズラエルは、もとから辛抱強い性格ではない。メフラー商社に入ったときも、メフラー親父に、「おまえはまず、その短気を治せ」と言われたくらいなのだ。

 ムカついたら人を殴る、その悪癖を改めろ、と。


 アダムのように、なにがあっても大きくかまえられるようになってこそ、ひとり前の傭兵だと言われたから、それなりに努力はしてきた。だが、時折、歯止めがきかなくなるときがある。さすがに女子どもを殴ったことはないが、その八つ当たりがよそへ行くのはたしかだった。


(クッソ……!)


 アズラエルは、難易度MAXのミッションもクリアしてしまった。この機械はまさにクズだ。二、三発殴り返されただけで、こちらにダメージはほとんどなく、システムも簡単すぎる。ほんとうにくだらないマシンだった。


 軍人用ならもう少し難しくしろとアズラエルは吐き捨て、防具を放り投げて、サンドバッグのほうへ行った。だれもつかっていない。グローブをつけたまま思い切り殴ったら、ものすごい音がして、周囲の人間が怯えた顔でアズラエルのほうを見た。


(……クソ!)


 もう一度、殴る。尋常でない音がした。

 アズラエルは、もう一度、すさまじい勢いでサンドバッグを殴った。


 ルナは、クラウドをさらいに来た傭兵のお蔭で怖い思いもしたし、しばらく落ち着くまでそっとしておこうと思った。カザマに呼ばれて、花見に行くと言ったから、まあ、サルーディーバにさえ会わなきゃいい。楽しんでこいと送り出した。


 なのに、どうして泣いて帰ってくるんだ。

 ひとりで。


 ぐずぐず泣きながらソファで寝てしまい、次の日も「なにがあった」と聞いても泣きはらした変な笑顔でごまかして、答えようともしない。素直でないのにも、慣れてきた。傭兵に襲われたときも素直に怖いと言えばいいのに、言わない強がりもルナらしいと言えばルナらしい。だが、なにがあったか言わないというのは別だ。


 カザマは、次の日しっかり電話を寄越した。カザマから話を聞いて、頭に血が上ったが、俺は噴火するのをギリギリで堪えて、ルナに聞いた。


「……サルーディーバがおまえにくだらんことを言ったって?」


 ルナはとたんにうりゅうりゅと泣きだして、アズラエルは、なだめるのに一苦労だった。

 

 イライラする。

 こんなにイライラするのもヒマだからか。


 もう一度殴ったら、ギャリッと鈍い音がして、サンドバッグを支えていた鎖がちぎれた。ドスーンと、サンドバッグが倒れる。周囲がざわついて、こっちを見ている。


「あ……ヤベ」

 さすがに、我に返った。



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