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キヴォトス  作者: ととこなつ
第四部 〜覚醒篇〜
273/943

117話 策略 1


「――ダメです!! 無理です! これでは……!!」

「ええい!! 止めるんだ、早く!!」


 ユージィンの怒号に、部下はすさまじい勢いでENTERキーを叩くが、画面は止まらない。


「止めろと言っているだろう!!」

「止めています!! 止まらないんです!!」


 悲鳴のような部下の声。どのキーを押しても止まらない。広いモニタールームに掲げられた大画面を、文章が流れていく。人の視力では到底追えない速度で。


「――だから、言ったではありませんか」


 ざらりとした、ユージィンの機嫌を悪化させる、低い声が後ろから届いた。


「止めることができるのは、三回が限度。しかも、その都度IDを入力しなければならない」


 シェハザールの言葉に、汗と涙が一体化した部下は、あわててIDを打ち込む。ふたたびENTERキーを押すと、やっと、流れる画面が止まった。


 部下は、安堵(あんど)して、大きな息を吐き、背もたれに身を預けた。汗が、軍服をべったりと皮膚に張り付かせていた。


 部下のわずかな休息すら許さず、ユージィンは怒鳴った。


「最初の部分はどうなった! 消えたのか!?」


 あわてて身を起こした部下は、ディスクの内容をチェックし、「……消えました」と強張った声で答えた。


 ユージィンの血走った目が、こちらへ襲いかかってくるような印象を受けて、部下は席を立った。


 ユージィンが彼を突き飛ばすようにして、ディスクの中身が表示された手元のブラウザを見ると、たしかにディスクの内容が減っている。わずかなものだが。


 ユージィンは、部下を怯えさせた鋭い目で、今度はシェハザールのほうへずかずかと歩み寄った。


 シェハザールは後方の壁に寄りかかって、大画面と、ことの顛末(てんまつ)を眺めていた。


 彼は今、L03の民族衣装は来ていない。その上背のある体をL18のグレーの軍服に包み、軍帽を目深くかぶっていた。三つ編みができるほど長かった髪も、短く切りそろえられ、見かけだけならば、どこからどう見ても軍事惑星の将校である。


 彼の装束(しょうぞく)に違和感があるのは一ヶ所だけ。彼の腰には、L03特有の、柄に宝石がたくさん埋め込まれた豪奢(ごうしゃ)な長刀が下がっている。短銃のホルダーの代わりに。


 ユージィンは彼と距離を置き、銃口を向けた。


 L03の、指名手配中の革命家の側近だというこの男は、怪しい術をつかう。しかもこの長刀を抜けば、戦場慣れした軍人すら一刀のもとに切り捨てる腕前の持ち主だ。不用意に近づけない。

 ユージィンは、用心深く彼の動向を探りながら、睨みつけた。


「パスワードを教えろ」


 シェハザールが、突然ユージィンのまえに現れたのは去年の十月だ。


 L03の革命家、メルーヴァ・S・デヌーヴの側近だと名乗り、マリアンヌのディスクを持っているかと、開口一番に聞いた。ユージィンは、奪い返しにきたのかと用心したが、そうではないと彼は言った。


 シェハザールは、マリアンヌの日記を自分も読みたいのだと告げ、それを解読するのに必要なら、手助けをしようと言ってきたのだ。


 そして、こうも言った。

 そのなかには、あなたが知りたがっているL18の予言はひとつもないと――。


 シェハザールは、マリアンヌが子どものころから日記をつけていたと言い、それをディスクに焼いたものがそれだと言った。メルーヴァは内容を知っているが、自分は知らない。だからその内容が知りたい、と。


 最初は断ったユージィンだったが、彼はそのディスクのIDを教えてくれた。IDさえあれば、読めるということも。だが、普通の人間には読めない。これを読むには、特別な才能を持った人間が必要だということも。


 ユージィンは、シェハザールを監視下に置き、心理作戦部A班への出入りを許した。だが、気を許したわけではない。


「いいか。パスワードを吐くまで、ここから出ていけると思うなよ」


 シェハザールは肩を揺らして笑った。


「知りません」

「ウソをつくな」

「何度も言ったようにパスワードは知りません。IDだけでも中身は見られる。よいではありませんか」

「貴様は、今の顛末を見ていなかったようだな。あれを読める人間がどこにいるというのだ」


 文字面が黒い点にしか見えないほどのスピードで流れていく。目で追うこともできない。


「――クラウドという男は、読めると言ったでしょう。彼はどうしたんです」


 クラウド奪回は失敗した。


 あれを――普通の人間は字を追うこともできないこの文面を読むのには、クラウド軍曹の特殊能力が必要だった。

 クラウドの持つ、尋常でない速読の力と、いったん読んだら絶対忘れない、恐るべき記憶力が。


 クラウドほどの速読と記憶力を持つ人間は、世界を探せばほかにもいるだろう。だが、そこからL18の滅びの予言を解読できるかは不明だった。


 なにしろディスク内の文章は、一度読んだら消えてしまう。


 クラウドと同じ能力の者に読ませて、ふたたび書き起こすか。それにはあまりに膨大な時間が必要だった。そんなに待つ時間はない。


 このディスクを読むのに、クラウドが必要だと言ったのは、シェハザールだった。

 同じ能力を持つ者でなく、「クラウド」と名指しがあるということは、彼にしか分からないなにかが隠されているのだろう。


 彼のいうとおり、ユージィンはクラウドを連れもどそうとした。グレンを連れもどすと見せかけ、クラウドを捕獲する。月日と金ばかりかかって、それは失敗した。


 クラウドの身内もどうやら雲隠れしたようだ。クラウドが手を回したのか、それとも彼の上司だったエーリヒか。どちらにしろ、彼らを人質にして、クラウドに帰還を迫るわけにもいかない。


 仕方がないから、強引に中身を見ようとしたところで、これだ。ユージィンの苛立ちも、無理もない。


「マリアンヌ様の日記は、パスワードがあっても、あのスピードで流れるのは変わりません」

「言い逃れか」

「いいえ」


 否定したのは、シェハザールではない。L31のシステム・エンジニアだ。

 マリアンヌに頼まれ、この日記を編集した男。

 彼は恐る恐る言った。


「彼のいうとおりです。この日記は、パスワードがあれば、IDを入力しなくても途中で一時停止ができる。それだけです。一時停止できる回数は三回。それは私が編集したのですから、間違いはありません」


 心理作戦部A班は、ずっと、この「マリアンヌの日記」の解読に努めていた。


 マリアンヌが所持していた、一枚のディスク――。


 マリアンヌの手紙とともに、ダグラスが、ドーソン一族が隠したマリアンヌの所持品。


 日記、と書かれていたそれは、たかが日記のくせに、IDとパスワードがなければ中身が閲覧(えつらん)できないよう厳重にロックがかけられた、秘密のディスクだった。


 マリアンヌの予言が書かれた手紙、L18の滅びについて書かれたあの手紙と、このディスク。


 マリアンヌはこれらを残して、世を去った。


 ディスクは、何としても中身を確認しなければならない。あの手紙に書いていた内容の詳しい事実が書いてあるのかもしれないからだ。


 L18の、ドーソン一族の、滅びの予言。

 なにか手がかりが書いてあるのかもしれない――。


 ユージィンは、躍起(やっき)になってそれを調査した。


 L03という惑星は、科学技術を放棄した惑星であり、その文明は原始に近く、近代文明などというものからは程遠い。そんな惑星で育った下級予言師が、これほど精密なロックを施したディスクを作成できるわけがない。そう思った。その予想は当たっていた。


 日記をディスクに焼きこんだのは、L31のシステム・エンジニアだった。

 彼は、大金を積まれて、日記をディスクに焼く仕事をしたのだという。


 彼の話は、こうだ。


 マリアンヌというL03の女性が、唐突にL31の書庫保管センターをたずねてきた。その紹介で、自分はマリアンヌに会った。


 彼女は、自分の所持した十数冊にも及ぶ日記を、一枚のディスクに焼き込み、IDとパスワードでロックしてほしいと依頼した。


 そのほかに要求されたシステムも、奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)で、彼は戸惑った。たしかに要求されたロックをディスクに施すことはできるが、相手はパソコンを見たこともないはずのL03の田舎娘だ。どうしてそんな方法を思いついたのか。


 さらに、紙媒体をコンピュータに入力するのだ。文字量の多さに彼はうんざりした。分厚い百科事典のような日記が十冊以上ある。


「……日記をディスクに焼きこむには、私たちがその日記を読まなくてはならないですけど、いいですか?」と聞いた。

 日記というのは、プライバシーの結集だ。そういえば、やっぱりやめるというかもしれないと思ったのだ。


 だが彼女は迷わず首を縦に振ったので、しかたなく彼は引き受けた。パソコンも知らないくせに、ディスクに焼きこんでどうするのか。


 そう思ったが、支払われた金額が、破格の金額だった。彼が作業のために五人の人手を雇っても、まだ十二分に釣りがくるほど。彼の半年分の給料と同じ額だ。

 彼は金額に見合う仕事をした。

 二週間で仕事を終え、ディスクを彼女に渡した。


「……内容は、なんといいますか、子どものかく物語のような、……うまく言えないのですが、日記、とはちがう気がしました。そうですね、童話ですね。――動物が出てくる童話ですよ」


 心理作戦部の調査でL18に呼び寄せられた、そのシステム・エンジニアと五人の作業員は、それぞれ同じ返答をした。


「六人で分担作業したもんですからね、……あんまりいろんな話があって、内容などいちいち覚えてないです。L18? L18の話なんぞあったかなあ」

「ああ、あったよ。あった。ウサギさんのお話だ」

「ウサギさんって、でも、みんなウサギさんが主人公だったろ」


 彼らの証言はみなバラバラで、とにかくウサギが主人公の、童話の羅列ということは分かった。


「――L18の予言? そんなものは書いてませんでしたがね」


 彼らが嘘をついているようには思えなかった。彼らは、聞かれるままなんでも素直に吐いた。覚えていないというのも無理もない。一年以上前のことであり、たしかに依頼自体は奇妙なものだったが、内容はウサギがどうの、ライオンがどうのという童話だ。


 彼らは、山ほどそういう仕事をしているのだ。


 書類の保管、古くなったディスクを新しいものに書き込んだり、ディスクを修復する作業。内容など片っ端から忘れていくし、ひとのプライバシーに関わることは、よけい早く忘れるようにしているのだ。


「はい。そうです。IDだけでも中身は見られるようになっています。IDは、彼女の希望で、「『船大工の兄』、『船大工の弟』、『夜の神』、『月の女神』にしました。順番に打ち込みます。四重のロックですね。パスワードは、『はじまりの神話』でしたが、パスワードは彼女でも簡単に変えられるようにセットしましたので、もしかしたら変えられていることもあります」


 彼らがディスクに施したマジック、それは。

 今、心理作戦部A班を悩ませている、あの文章が流れる速度だ。

 IDを入れ、文章を読もうとすると、最初に警告音とともに画面が現れる。

 それは、このディスクを読むときの注意事項だ。


「このディスクは、たった三回しか、停止ボタンは押せません。そして、読んだページはすぐ消えます」


 このディスクは、恐ろしい速度で文章が流れていくだけではない。再生されたページは、片っ端から消えていくのだ。消えれば、もう再生はできない。巻き戻しも、一時停止もできず、すさまじい速度で文章が流れていく。これでは、普通の人間は読めない。


 事実、さっき心理作戦部が流した部分は、すでに消えていた。

 リカバリーも、ダビングも、複製も不可能。

 絶対に復元できないようなつくりにしたのも、彼女の依頼のひとつだった。


 これを読むことができるのは、この文字の流れるスピードについていける動体視力を持ち、速読できる力があり、しかも、読んだそばから暗記できる人物だけだ。


 この――膨大な量を。

 

「マリアンヌ様は、とてもかしこい方でした」

 シェハザールが言った。

「たしかに、L03にコンピュータは普及していませんが、それでも、外部の星との通信手段のために最低限は設置されています。彼女はメルーヴァの双子の姉であり、L03でも位の高い貴族出身ですので、彼女は長老会――軍事惑星で言えば政府の高官といったところでしょうか――の書記を務めていました。長老会の秘書室に入るにはコンピュータが扱えないといけません。ですから、マリアンヌ様はまったくコンピュータが素人(しろうと)というわけではありません」


「そうだったのか」

 L31のシステム・エンジニアは納得したようにうなずいた。

「L03のひとのわりに、けっこう知っていたからね」


「それから、マリアンヌ様は下級予言師です。星に関する、大きな予言はできません」


 下級予言師というのは、明日の天気がわかるぐらいの予知力しかない、とシェハザールは言った。

 へえ、と興味深げにうなずいているのはシステム・エンジニアの彼だけだった。

 

「では、あの手紙の予言はどうなる」


 ユージィンは、シェハザールから銃口を外さず、聞いた。


「あれは、あの女が予言したのだろう」

「ですから、マリアンヌ様は、とても賢いお方と申し上げました」


 シェハザールは、腕を組んだ姿勢を、少しもぶらせてはいない。


「彼女が見たのは、未来の予言ではない。――過去の、物語です」

「過去の物語だと?」


「そうです。……おそらく、その物語から、そして現状から推察した結果が、あの予言の中身だったのでしょう。あれは予言ではない。彼女の推察だ」


「貴様はディスクを見ていないと言ったな。なぜそれが分かるのだ」


「私は、読んではいません。しかしメルーヴァ様は読みました。マ・アース・ジャ・ハーナの神に、見せられたと言ったほうが正しい。彼がそう言っていた。――マリアンヌ様のあれは、正確には予言ではない、マ・アース・ジャ・ハーナの神から教わった、過去の物語を知った上での推察だと」


「あの手紙には、予言、と書いていたが」


「予言、と言ったほうが長老会は信じると思ったからでしょう。逆に言えば、あれらは、予言は信じるが、ひとの頭脳は信じない。何度も言ったように、彼女は、予言がほとんどできない。だが――とても賢かった」


 シェハザールは言った。


「われわれL03の予言師たちは、予知夢を見たり、神に祈って未来の予言を見る。だが、そんな予知力がなくても、鋭い洞察力(どうさつりょく)と情報の咀嚼力(そしゃくりょく)()けた人間は、まるで予知力のあるもののように先を見通せる――あなたがた軍人は、そういう方法で軍略を立てる。数々の歴史が証明してきたことではありませんか」


 ユージィンは、暗記するほど読んだあの文面を、思い返していた。


 ――長老会様、マリアンヌです。


 しつこくお手紙を差し上げて申し訳ありません。ですが、どうかもう一度考え直していただきたいのです。マリアンヌの予言が信じられぬというならば、どうかサルーディーバさまに申し上げて、高位の予言師様たちに伺ってください。


 あのサルーディーバ様を――私たちの若き姉であるサルーディーバ様を、地球行き宇宙船に乗せることは決してしないでください。あれだけお止めしたのに、皆さまはお姉さまを宇宙船に乗せておしまいになられました。


 それは、メルーヴァの改革の、もうひとつの道なのです。


 サルーディーバ様がL03に残れば、三年後、とある若者がL03を訪れます。そうすれば、イシュメルが生誕し、革命はL03内で収束し、たった三年で終わるのです。たくさんの血が流れることもありません。


 しかし、サルーディーバ様を宇宙船に乗せれば、もうひとつの改革の道――L系惑星群が戦禍に巻き込まれることとなります。それはL4系から戦争の火種が発し、いずれ全土におよびます。L18でも異変が起こります。ドーソン一族は完全なる滅びを迎えるでしょう。L18を支配するドーソン一族の力がなくなるということは、L系惑星群の軍事惑星の要ともなるL18の体制が揺らぐことになります。多かれ少なかれ、そうなります。そうなれば、L4系の反乱を、抑えきれなくなる。それによって、L系惑星群に戦火が広がるのです。


 L03とL18の異変は、同時に起こってはならぬのです。


 どうかいま一度、お考え直しくださいませ。マリアンヌの言葉を、お聞きくださいませ。

 サルーディーバ様を、宇宙船からL03に呼び戻してください。


 どうか、マリアンヌを信じてください。

 お願いします。


 わたしは、L03のために、この小さな命を投げ出しましょう。わたしの不出来な弟のしでかした、たった一度の過ちを許してもらうためにも。


 長老会様、どうか、すべての民の幸せをお守りください。

 たくさんの血が、流されるようなことがあってはならぬのです。


 どうか、どうか、このマリアンヌの祈りをお受け取りください――。




 ――過去の物語だと?


 このディスクには、いったい、なにが書かれているのだ。

 いったい、どういった内容から、L18の滅びを、ドーソンの滅びを推察したというのだ。


 ユージィンは、軍人である。


 厳然とした現実主義者で、神や予言を信じる人間ではない。だがL03の予言は別だ。あれは当たる。シェハザールがいうように、いままでの歴史がそれを証明してきた。


 さらに、マリアンヌのそれが、予言と言われるより、事実に基づく深い推察だと言われた方が、心に突き刺さった。

 現実味を増した。


「童話だの、ウサギだの!」

 ユージィンは吐き捨て、銃口を下ろした。

「私が必要なのはそんなものではない! ドーソンの運命だ!」


「……」


「拘束しろ! そこのエンジニアと――、そうだ! 六人ともだ! それから、マリアンヌが宿泊したという農家の主もL31に行って捕まえてこい!!」


 システム・エンジニアと、五人の代筆者は蒼白になった。


「ま、待ってください! 知っていることはみんなしゃべりました! 私たちは、ディスクをつくっただけで――!」


「自分たちがつくったものなのに、どうにもできないのか? 死にたくなければ内容を思い出せ! それができんのなら普通に読めるようにディスクを書き直せ! それができるまでL18からは出さん!」


「……そんな、無茶な、」


 マリアンヌが持ってきた日記の本体があれば、もう一度ディスクをつくることはできるが、あれは、マリアンヌに返してしまった。もう、日記の本体はない。


「勘弁してください! 私たちはなにも――!」


 哀れな六人のエンジニアたちは、心理作戦部の隊員たちに引きずられていく。シェハザールは、それを哀れなものを見る目で見送った。


 ユージィンが、シェハザールの視線を感じて、鼻を鳴らした。


「ずいぶんと、同情的だな」

「――彼らに、マ・アース・ジャ・ハーナの神の救いがありますように」

「あやつらに同情している余裕があったら、自分の心配をしろ。あれの中身が分かるまでは、貴様もこの星から出られんぞ」


 ユージィンが部下を引き連れ、部屋を出ていく。


「その男も、拘束しておけ」


 ユージィンの言葉に、心理作戦部の隊員がシェハザールを囲んだが――。


 シェハザールはまた深く軍帽を被った。次の瞬間には、隊員たちの前から、こつ然と、姿を消していた。


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