64話 ロミオをぶっ飛ばせ!
それから二時間ほどあと。
陽は完全に沈み、派手なネオンサインがリリザの暗黒の夜空を覆うころ、グレンと――カレンとルートヴィヒは、にぎやかすぎるリリザの歓楽街にいた。
「ロミオの野郎は俺がヤる!!」
「いいや! あたしだね!!」
にぎやかすぎる歓楽街――ひとごみに紛れてケンカを繰り返し、歩いているふたりは、だれよりもにぎやか――いや、うるさかった。
あと百メートルも歩けばカジノにたどり着くだろう、前方に見えるけばけばしい色彩は、遊園地の比ではない。三人が歩いている大道路を、リムジンが何台も横切っていった。
「てめーはすっこんでろ男女!! サシでやるっていってんだろ!?」
「るせえだれが男女だ!! てめーこそカマくせー髪形しやがって!! ロミオはあたしがぶっつぶす!! ジャマすんな!!」
(マッケランの次期当主が泣くぜカレン。ひでえ言葉遣いしやがって)
車に乗ったときから、ずっとふたりはこの調子だ。グレンは呆れかえって大あくびを繰り返すばかりだった。
しかし、ふたりの気持ちも分かりすぎるくらい分かる。
カレンが怒るのは無理もないことだった。ジュリがロミオと寝ていたのはしかたない。ジュリはいくらカレンが止めても、オトコなしではいられない。理屈もジュリには通じない。ジュリはあのとおり、脳みそだけは五歳児なのだ。
なんの話からそれが出たのかは知らないが、子どもができたらおろせといったロミオの発言は、カレンの逆鱗に触れた。ジュリがよく分かっていないことを承知で、心にもない愛の言葉を適当に吐き、しかもガキはできたらおろせとの無神経発言、避妊にも無頓着なロミオは、カスだと激怒し、ぶっ殺す! と息巻いた。
ルートヴィヒはルートヴィヒで、エレナのまえでそれを言ったロミオに激怒していた。
ロミオは、エレナの妊娠は知らなかったろうが、そもそもロミオがそんなバカげたことを――妊娠したら、宇宙船を降ろされるなどという適当なことを――言わなければ、エレナもここまで追い詰められなかったのだ。
ロミオは最初からあのふたりを見下している。同じ人間とは思っていない。
ロミオに、エレナやジュリに対する偏見をやめさせたかったが、無理だった。前から腹が立ってはいたが、今回のことは腹に据えかねた。
許せない。殴り倒して宇宙船から降ろしてやる! という結論に達した。
が――。
「いいか!? ぜったい俺はサシでやる!! この拳で沈めてやるんだ!!」
「あたしだって同じだよ! 一対一は譲らないね」
二人のプライドとして、ロミオとはサシでやる。自分とロミオの一対一だ、と両者とも譲らないのである。
いくらロミオが、身長二百十センチの百キロ超のプロレスラーだとしてもだ。
ロミオは残念ながら一名しかいない。ふたりに均等に分け与えてやることはできない。
「――だから、ふたりでボコボコにしたらいいじゃねえか」
「「てめーは黙ってろ!!」」
カレンとルートヴィヒが同時に叫ぶ。グレンの意見は、さっきから却下されてばかりだ。
グレンの見解からいうと、ルートヴィヒはサシでやったらボコられる。カレンは殺し合いに発展する、という身もふたもないものだった。
ロミオは、L5系から来たプロレスラー。プロレスラーと言えばテレビにも出ているはずだが、ルートヴィヒも知らないとなれば、それほど有名なわけではなさそうだ。
しかし、ルートヴィヒはただの水泳のインストラクターだし、身体は鍛えてあっても戦闘用ではない。取っ組み合いのケンカなど経験はないおぼっちゃまだし、ロミオに唯一勝てるのは、エレナに対する愛からくる勇気と、ド根性だけだろう。
だが、勇気とド根性だけで殴り合いに勝てるのなら、軍人はいらない。
カレンはカレンで、ウェイトだけでもう勝てないことが分かっている。カレンではロミオに勝てない。自分でも分かっているだろう、だが。
「殺し合い」になれば話は別だ。
こっちは軍人。殺し合いをメインに叩き込まれてきたプロなのだ。カレンがロミオを殺す気で向かえば、ロミオの命はない。「たかが」殴り合いでも、だ。
カレンは銃もナイフも所持してはいないし、ぶっ殺す、とは言っていてもほんとうに殺す気はないのだろう。だが、カレンが一対一で劣勢に押され、逆上すればそれはわからない。その辺りにあるもので、相手に損傷を与えることは可能だからだ。
カレンは元少尉。戦争もいくつか経験してきた。実戦経験があるうえに、カレンは頭に血が上りやすい。かあっとなって殺しにかかったら、それで終わりだ。
だから、ふたりでかかれば、なんとかケンカレベルで済ませられようものを、サシでやるとよくない結果が出るからやめろとグレンは言いたいのだが、このふたりはさっきから聞かない。
「じゃあこうだ! ロミオに決めさせる!!」
「なんだってェ?」
カレンは不満そうだ。
「ずっと言い争いしてくつもりかよ! だから、どっちとヤるか、ロミオに決めさせようじゃねえか!」
「いやだよあたしは! ロミオがあんたを選んだらどうすんだよ!!」
「あきらめろよ!!」
「ったくよお、分からないやつだな! 取っ組み合いもしたことねえボンボンがレスラーに勝てるかっての! いいからあたしに譲れよ!」
「イヤだね、これは、俺のエレナに対する愛の証明なんだ! 譲れるか!!」
「あたしだって、ジュリのためだよ!!」
二人は怒鳴り合いながら、カジノの一店――へ入っていく。
ここは、グレンが、アズラエルを通じてクラウドの追跡装置を貸してもらい、調べた場所だった。
ロミオはここしばらく、リリザのカジノ地区にあるこの店で、ルーレットやポーカーに興じている。十九時から二十一時までここで遊び、あとは女のいる店でお楽しみ、が恒例らしい。
船内でのケンカはご法度だ。
リリザに降りている今が、チャンスなのだ。
グレンは十歩ほど遅れながら、彼らのうしろをのんびり歩いていた。
やかましい店内に入り、物珍しさに(※グレンはお坊ちゃまである)あちこち眺めながら歩いていくと、ゲーム機が軒並み三十台ほども連なっていた。面白そうだし、やってみたい。でも、そんな暇はないだろう。ポーカーも、学生時代に、友達とお遊びでやっただけだ。賭けてはいない。
こんなところに出入りしたことなどないグレンは、興味津々であちこち眺めていた。
でかいルーレット盤のところで、カレンとルートヴィヒがロミオをつかまえていた。ロミオは胡散臭げな顔をし、やがて席を立つ。
顔は不審げなそれから、ニヤついた気味の悪い顔に変わっていた。
宇宙船の中では、汗を流すジムはあっても、血の気の多い出来事など皆無だ。
ロミオは、カレンとルートヴィヒのきな臭い訪問を、あきらかに歓迎していた。
二人とロミオは外に出た。
車も通らない、泥臭い道路で向かい合った。
グレンはずっと店内の様子や街の様子を眺めていたが、さっきリムジンが向かったほうは、この通りとは別のほうだった。あっちが上流階級用のカジノか。こっちは店に入るときも、身分証書の提示も要求されないし、ドレス・コードもない。
(ということは、こっちは庶民向け――いや)
グレンは、隣の荒れ果てたビルを見た。
地下につながる階段から、ヤジに似た、ひとびとの歓声が聞こえてくる。
グレンが興味を抑えきれずにのぞくと、奥には大男が殴り合っている古びたリングが見えた。
これも賭場か。どっちが勝つか、あの群がる群衆が賭けているのか。話には聞いていたがこういう賭場は見るのが初めてで、(※繰り返すが、彼はあくまでもお坊ちゃま)ふんふんと感心しながら階段をもどって通りにもどると。
カレンとルートヴィヒ、悠然と立つ大男のロミオ、とおりすがりの群衆が、三人を囲んで、階下の賭場のような雰囲気が、こちらでも出来上がっていた。
「悪いな、ちょっと……」
グレンが群衆を割って中に入っていくと、やっぱりまだルートヴィヒとカレンが壮絶にケンカしている。
「俺だ!」「あたしだよ!」「おれ!!」「あたし!!!!!」
ロミオは、グレンの顔を見つけて、肩をすくめた。
「ようグレン」ロミオは言った。「あの売女たちのカタキを取るんだとよ。てんで、わけがわからねえ。俺は楽しませてやっただけじゃねえか」
観光気分だったグレンを戦闘モードにしたのは、ロミオである。銀色頭のこめかみがピクリと鳴ったのを、鈍い大男は、分かるわけもない。
カレンが、その言葉に対して怒鳴った。
「おまえが、ジュリにおろせといったのは本当か」
ロミオは高らかに笑った。
「そもそも、あんなスベタが孕んだところでだれのガキかわかったもんじゃねえ、なあカレン」
カレンの顔色が変わった。
「おめえはジュリを孕ませられんのか? え? 股間についてんのは本物かって聞いてんだ」
「てめえ……!」
「宇宙船を、妊娠したらおろされるなんていったのは――」
ルートヴィヒの声は、怒りに震えていた。
「あ? そんなもん、覚えてねえよ」
ルートヴィヒが飛び掛かるところを、ひやりとした声が止めた。
「おい、しのごの言ってねえで、サツが来るまえにのしちまえ」
聞き覚えのある声だったが、その声の主が分かったのは、ロミオだけだった。彼は飛びぬけてでかいので、群衆の中から、その声の主の姿を見分けることができた。カレンたちはそれが聞き覚えのある声だと思っても、だれか思い出せなかった。
だが、その冷静な声で頭が冷えた。カレンは、頭に血が上ったまま、勝負に挑むのはバカだと弁えていた。それに、そいつのいうことはもっともだと思い――ジャケットを脱ぎ捨てた。
だれか知らねえが、アタマ冷ましてくれたことに感謝するよ。
「選びな」
カレンは鋭い声で言い放った。
「あたしたちのうちのひとりをね。……そいつが徹底的にあんたをつぶす」
ルートヴィヒも鼻息を荒くして構えた。
今ならルートヴィヒは、憤怒だけでロミオを倒せそうだった。
「ひとりねえ……。どうせなら一気にかかってこいよ」
「それはできない。これはあたしらのプライドだ」
ロミオにしてみたら、一人ずつ倒すのも、三人一気に倒すのも変わらないのだった。
彼は考えを変えた。一番強いのを嬲り倒し、残り二人を恐怖のどん底に陥れるのも悪くはねえ。
「おまえらのなかで、一番強いのはだれだ」
反射的にカレンとルートヴィヒは顔を見合わせ、群衆の中に紛れ込んでいるグレンに目をやった。グレンはご指名を受け、「俺か」とつぶやき、首をゴキゴキ鳴らしながら中央へ進み出た。
仕方なくカレンは、ルートヴィヒを引っ張って場を空けた。ご指名した覚えはなかった。でも、やはり三人の中で一番強いのは、グレンだ。
「おまえかグレン」
ロミオは手首を鳴らしながら、嬉しそうに言った。
「いっぺん、てめえのすまし顔を思いっきり殴ってみたかったんだ」
カレンもルートヴィヒも、当然自分まで番が回ってくると思っていた。グレンも強いだろうが、彼は少佐だ。指揮官である。プロのレスラーには歯が立たないと。
群衆の九割は、ロミオに賭けていた。
ロミオも、軍人二人をぶっ潰したことを、このあとの店で女たちに自慢するつもりだった。(ルートヴィヒは頭数になし。)
――まさか、今日、宇宙船を逃げ降りることになるとも知らずに。
グレンは、大男を見上げながら、ファイティングポーズをとった。
多分、三発で沈められる。
だが――。
――十分後。
歓声がどっと沸く。
グレンの賭け率は、恐ろしいほどに跳ね上がっていた。
余裕のグレンと、虫の息のロミオがそこにいた。
「ちくしょう! アイツ、少佐のくせになんであんなにケンカ慣れしてんだよ!?」
「俺が知るかよ! グレンの軍人生活なんて知らねえし!」
カレンとルートヴィヒは、今度は別の意味でケンカをはじめていた。どうも、彼らに番は回ってきそうもない。
なにせ、ロミオは一発のパンチも繰り出せず、蹴るのは空気、グレンをつかんで押しつぶすプロレス技もつかわせてもらえなかった。
のっそりと一歩ふみ出た途端に、ロミオはひゅっと空気が切れる音とともに重い一撃を腹に食らい、沈んだところを横ざまに殴られた。
アタマをぐらぐらさせて起き上がったところに、もう一発。やっと立ち上がったのはよかったが、また猛烈な一撃を食らい――畜生、この野郎、拳が重すぎる。
おそらく場数慣れしているのだ。拳闘の。
もう、どこに何発食らったか、わからない。
銀髪、やっちまえと言う怒号と、口笛が立て続けに上がる。
グレンは冷静に数え上げていた。
(今ので七発。タフな野郎だ)
だが、三発で沈められると踏んだグレンの計算は合っていた。多少、自分が「手加減」をしただけだ。――三発で沈んでもらっては困る。
(怒ってンだな、俺は)
息も切れていない自分に、眉を少し上げて呆れながら、グレンは八発目のストレートをロミオの横っ面に叩き込んだ。
巨体が大きく揺れ、群衆を押しつぶして、レスラーは仰向けに倒れた。
「う……、かは……っ、おおい!」
ロミオは、さっき「サツが来る前にのせ」と言った男の足首をつかんだ。群衆は皆よけて、だまってそこに立っていたのがその男だけだったからだ。彼もまた、ラガーでの知り合いだった。
「た……っ、助けてくれ! アズラエル!!」
ロミオは半壊の顔でそう懇願したが、アズラエルはうずくまって男の顔を覗き込んだ。
「ひでえ顔だな、ロミオ」
最早顔の入れ墨と傷は、どれがどれだかわからない。
「おっ、おまえを雇う! あの銀髪ヤロウを殺せ! なっ!? ご、五百万、千、だしてやる、」
アズラエルはグレンを仰ぎ見た。グレンはすでにとどめを刺したと思っているのか、ファイティングポーズは崩している。きっと、汗もかいていないのだろう。
後ろでカレンが、雇われやがったらあたしがてめーを殺す、という目でアズラエルを睨んでいた。
アズラエルは笑い、
「悪ィなあ。俺、もううさこちゃんに雇われてんだ」
「う……っ、ウサ!?」
「そう。……てめえをぶっ殺せってな」
そういって笑ったアズラエルの顔は、俯いていたがためにロミオにしか見えなかったが、まさしく凶悪そのものだったために。「ひっ!」と彼は小さく叫び、
「うぐっ……ちくしょ……」
フラフラと立ち上がり、逃げようとしたところで――。
「逃げんじゃねえよ」
左右から、カレンとルートヴィヒのストレートがロミオの顔を直撃し、今度こそ本当に彼は沈んだ。カレンが左利きだったのは、不幸というほかはない。
ドスン! とロミオが仰向けに倒れ、ファイト・ゲームは終了した。
群衆が、散っていく。
「オイ」
自分も帰ろうと、背を向けたアズラエルは後ろから肩を掴まれた。グレンだ。
「てめえ、俺にいくら賭けやがった」
アズラエルは肩をすくめて手にした札束を見せてやった。かなり厚い。
「半分寄越せ」
「なにしやがる」
グレンは強引にアズラエルから札束をもぎ取り、「俺が戦ったんだぞ。どうして俺がもらえねえんだ――」
「その金銭は、両方とも没収です」
グレンの奪った札束は、第三の男にあっさり奪われた。
彼はキラリと光る眼鏡の奥にある神経質そうな目で札束を数え、「――はい、あなたも。アズラエル・E・ベッカーさん」と手を差し出した。
アズラエルも渋々、紙幣をその男に手渡す。
「これは、リリザの遊園地の遊具修繕費用として寄付いたしましょう。無論、あなた方のお名前で」
ケッとグレンが吐き捨てたが、その後にはえんえんと報復が待っていた。
「そもそも、この金銭は不当な掛け金です。第一、宇宙船内でもめ事を起こしたら厳罰、というのは宇宙船内で起こったことにかぎらないんですよ? こういった、宇宙船が寄る惑星においても、そのルールは守られてしかるべきです。いかなる理由があろうとも、これは見過ごせる結果ではありませんね。グレンさん」
役員の言葉が終わる前に、ロミオは救急車で運ばれていった。コイツが呼んだらしい。
「チャン」
グレンがうんざりした声で言った。
「じゃあ、俺らは降ろされるってことか? 宇宙船を?」
チャン・G・レンフォイは、グレンとルートヴィヒの担当役員である。L21――軍事惑星群の司法部出身の、もと傭兵専用の弁護士だった男だ。舌鋒鋭い。
グレンにしてみれば、信頼のおけるヤツだが、小うるさいのがたまにキズだ。
「まだ決まってはいませんよ。ですが、少しはしおらしくしていただきたい。私があのプロレスラーの担当役員と交渉するときのために」
「はいはい」
「こんな賭け事に興じていては、不利になるだけとお分かり頂きたい。ただでさえ、L5系担当の役員はプライドばかり高く、口うるさくて厄介なのです」
口うるさいのはおまえだろと、グレンは言いかけてやめた。
「げえっ! チャン!!」
ルートヴィヒとカレンが、しっかりとスーツに身を包み、宇宙船役員の証書を首からかけている男を見て「ヤバい」という顔をした。
「なにがげえっ! ですか。げえっと言いたいのは私です」
チャンはしかめっ面をし、切符を切り、グレンとアズラエル、カレンとルートヴィヒに手渡す。
「本日は、早く船内にお戻りください。この後の始末は私がいたします。ま、もっとも――」
チャンは、電子手帳を開いて言った。
「あのロミオという男性については、ほかの女性からも苦情があったようですし、どうも、女性関係でゴタゴタが多い。――あなたがたが無理やり彼を襲ったのではなく、決闘という形で彼も受けたのですから、あなた方が降ろされるということは、ないでしょう」
そういって、さっさと救急車についたタクシーに乗り込んでいった。
「アズラエル、あんた、チャンに知らせたのか?」
カレンが凄むが、アズラエルはかけ金を全部ふんだくられて、機嫌が悪かった。
「ンなわけねえだろうが。俺がなんでこいつらの担当役員知ってるんだよ」
チャンに告げ口した人物の正体は、グレンたちが自宅にもどった時に分かった。閻魔大王みたいな顔をしたセルゲイが、仁王立ちで待ち構えていたのだ。
「……みんな、ちょっとここに座りなさい」
「あ、あの、セルゲイ――これにはわけが――」
カレンのおずおずとした声は届かなかった。ルートヴィヒも小さくなっていたし、グレンだけは、トンズラしようとしたが、許してもらえなかった。
「座りなさい!!」
滅多にないセルゲイの怒鳴り声に、思わずグレンも正座してしまった。
いい成人男性(?)三人は、セルゲイ宅の居間で、えんえんと小一時間説教されることになったのだった。




