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白くて丸くてフサフサです  作者: メタいです
4/6

幼女の生活習慣です

 拝啓、皆様いかがお過ごしでしょうか。私です。

 突然ですが皆様、魔法についてどんなイメージを持っていますか?

 なんでもできる都合の良い力って思ってる方もいれば、なんか小難しい理論に基づいて制御するような超常現象的なアレと思ってる方もいると思います。

 この世界線ではその中間辺りですね。空気と同じ感覚で魔力があり、原始人が火を使うノリで発展してきたそうです。


 魔法自体もケツ拭く程度の簡単なやつなら子どもにも出来ますし、プロレスラー1体を完全に破壊するレベルならば多少の熟練が必要ってくらいでしょうか。

 属性とかもありますね。火水風土雷みたいな。光と闇はなんか特別だったりそうじゃなかったりしますし、そもそも属性とか関係ない魔法も結構あったりします。

 使用する時とかも、詠唱してからの魔法名叫んでからの手のひらとかからめっちゃ出るみたいな流れが一般的ですし、慣れたら無詠唱とか出来るようになったりならなかったり。

 こっちの世界線でもそういった一般的なイメージで認識して頂ければよろしいかと。詳しい設定は脳内補完でよろしくお願いします。


 ああ、あと最期に一つ。紳士諸君の中には幼女に魔法使って洗脳してエロいことをしろといった要望もあるでしょう。

 先に言っておきましょう。ここは全年齢対象です。ちなみにR-15すら付いていません。

 官能的なのが読みたいのならばノ〇ターンノベルズとかに行きましょう。あえて多くは語りませんが、あっちは毎日のようにプロレスが行われていますよ。もちろん大人のです。

 ちなみに私はTS物が大好きです。皆様の中に同志がいらっしゃいましたら今度一緒に飲みにいきましょう。


 さて、本題に戻りましょうか。


 現在台所と思われる部屋で例の幼女が食事をしています。

 パンやら干し肉やらを頬張り、作り置きしてあったのであろう野菜のスープを魔法で温めて飲んでいます。別に美味しくも不味くもないって表情っぽいですね。


 この幼女はイヴという名前だそうで。きっと友達か兄弟にアダム君もいるんでしょうね。

 それとも双子ですかね。ブラックなラグーンに出てきたり酒場にBARをぶっ放したりお兄様がお姉様になったりしそうです。

 もしかしたらここは絵画の中の世界で、カッコいいオカマと一緒にハッピーエンドを目指したりしてるんでしょうか。花びらを毟られたら死んだりとかしそうですね。


 まあマジレスするとクリスマスイブに生まれたからイヴみたいな理由な気がしますね。サイコガンダムの搭乗者もそんなかんじの簡単な理由でつけられたって言ってましたし。

 かくいう私も枕っぽいってだけでマクラってつけられましたけども。この話題を掘り下げるのはやめましょうか。わりと結構トラウマ物なんです。


 一方その頃私はというとですね。幼女の食事が終わるまでの間、台所の隅に放置されております。

 多少は萎んで体の自由が利くようになりましたが、まだ結構大きいですからね。塊魂ばりにここまで転がされて来ましたよ。巻き込んだのはホコリだけですけど。


 ここまで連れてこられたんだからてっきり椅子代わりにされるのかと思ってましたが、嬉しいかなそんなことはなかったです。

 行儀だけはいいですねこの子。まあ私に座ろうものなら変身魔法で三角椅子にでも変身する予定でしたが。


 どこかから「幼女に何するだー!許さん!」とフェミニスト怒りの声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。私の変身魔法は外見だけを見繕うものです。

 早い話、固さはフサフサのままで形と色だけが三角木馬っぽくなるってことです。もし座っても股が裂けるなんてことはないのでご安心を。

 ただ形を維持するために先端部だけは多少固いですので、股に多少の違和感を与え続けることくらいなら出来ます。Mっ気があるのなら興奮するのではないでしょうか。

 まあ座りづらくする一番いい形が三角ってだけの理由ですけど。別にエロさは求めてないですよ。

 だってですよ、仮にもしあなたが動物園に行ったとして、餌をあげた猿のメスに欲情されたとします。嬉しいですか?

 そんなもんですよ、私にとっては。夢を奪って申し訳ないのですが、現実ってのは非情なものなのです。


 あ、あと逆転の発想で、体に柔化魔法を使ってめちゃくちゃ柔らかくして物理的に座れなくするっていう手もありますね。

 その場合、座ろうして全体重を乗せた尻を思い切り床にぶつける形になりますけど。でもこれは幼女に対する紳士の行いとしてよろしくないので却下ですね。

 付け加えるなら、それが成功した後の私の形がキ〇タマ袋っぽくなっちゃうことも問題ですね。右玉か左玉に多少の偏りは出来そうですけども、そんな感じになると思います。

 柔化魔法のせいで元の楕円形に戻るのも難しいですし、全身モザイクでその場をしのぐってのもあんまりですし。ともかくえの素っぽい世界観はNGです。


「ごちそうさまでした」


 そんなことを考えている内に食べ終わったようです。

 情報を聞き出そうにも、さっきのテンションが嘘のように黙々と食べてるせいで話かけちゃだめオーラが出てたのでずっと黙ってました。

 まあどうせこの子暇でしょうし、時間はたっぷりあるので焦る必要もないですね。むしろ我が身を守るのが先決です。

 幼女の無意識魔法で作られた水球の中で全身を嬲られるあの陶器類のようにならないようにしないと。

 そして汚れ仕事を終えたら惨めに排水用のシンクで下水道に流される水球のようにならないようにしないと。

 魔法で食器洗ってるだけなのに気にしすぎじゃねと言われればそれまでですが。


 ドライヤーみたいな音を立てる風系魔法を食器にかけながら幼女が私を一瞥しました。

 次はお前の番だと言いたいのでしょうか。この後魔法で色々と弄んでやろうとでも思っているのでしょうか。

 言っておきますが、今まで私が目立った魔法を使わなかったのは別に使えなかったわけじゃないですよ。

 もし私が下手に魔法を使えば、それを見た君がまためんどくさい絡みをしてくるのが目に見えてるからです。

 たとえば私が魔法で空中浮遊出来るって知っただけで48通りくらいの遊び方を思いついたりするのでしょう。それに一々付き合っていては日が暮れます。いやもう暮れかけてますけども。

 だから私はこうして無害な楕円形を演じているんです。能ある鷹なので爪を隠しているんです。


「よーし、マクラ。あそぼ」


 乾燥した食器を棚に戻した後、幼女が私を抱き上げながらそう言いました。

 いつの間にか抱いて歩ける程度まで体が萎んでいたようですね。運搬されるほうが転がされるより痛くない分マシなので安心しました。


 さて、台所を出て廊下を通ってる間に思ったのですが、この家他の人いないんですかね。

えらく閑散としてますし、廊下から見えた限りでは誰もいませんでしたし。買い物にでも行ってるんでしょうか。


「もうすぐお姉ちゃんが帰ってくるから、それまでね」


 私の心を読んでか知らずか、幼女が二階への階段を登りながら私に話しかけてきました。

 ああ、同居人がいるのはいるんですね。まあ家に幼女が一人暮らしっていうことがあるわけないんですが。

 食事中に行儀がよかったのもちゃんと教育が行き届いていたからみたいですね。素晴らしいお姉ちゃんです。

 ついでに勝手に楕円形をパクって来てはいけないと教育しといて欲しかったです。あとパクって来た楕円形にネックロックをかけてはいけないとも言い聞かせておいて欲しかったですね。

 いや、むしろ他人のものは積極的にパクるって家訓なのかもしれません。きっと盗賊や怪盗の家系なのでしょう。


 しかしお姉ちゃんですか。これじゃアダムとイヴならぬイヴとイヴですよ。

 全く生産性のない組み合わせですね。これじゃどうやって人類を繁栄させていったのか分かりませんよ。

 むしろその組み合わせがいいって人もいそうですけども。まあ映画でシュワちゃんも男の身で出産してましたし、女同士でも頑張れば出来るような気がしないでもないですが。


「ついた。じゃあちょっと待っててね」


 そう言い残し、幼女は絨毯の上に私を置いてどこかへ行きました。

 ここが私の処刑部屋ですか。テーブルと本棚がある以外は特に何もないですね。拷問器具とかを飾ったりとかもしてないですし。

 一応壁に鳩時計っぽいのは飾られていますけど、こんなものどうやって攻めに使うつもりなんでしょうか。時間になったら飛び出してくる鳩で眼球を潰したりするんでしょうか。 


 ざっと部屋を見回したところで、私の興味はテーブルの上の物へと移りました。

 動物図鑑くらい分厚い本が乱雑に積まれており、わずかな空白のスペースは食べかけのお菓子に占領されています。

 その中で読みかけであろう開いたままのやつを見つけました。きっとあの幼女が読んでいたものに違いありません。

 これを読んだら幼女の行動原理が分かるような気がしたので早速読むことにします。


 ふっかふかの絨毯から飛び跳ね、例の本が読みやすそうなテーブルの位置に飛び乗りました。

 まあテーブルとはいっても本だらけなので、その上に飛び乗る形にならざるを得なかったのですが、やむなしです。

 その際テーブルの端にあった本が滑り落ちましたが、落下の衝撃で折れたり破れたりしたとしても別に私の本じゃないので何とも思いません。私は意外とクールなのです。


 えーっと、なになに?

 ・・・・・・・・・・・・・なるほど。ふむふむ。

 薄々は感づいていましたが、まあそうでしょうね。思った通りです。

 私の考えが甘かったですね。現実ってのはいつもこうですよ。

 いやぁどうしましょうか。これから先色々と苦労しそうですよ。


「ただいま。よいしょっと」


 私がしばらく本の前で唸っていると、なにやら幼女がゴキブリを叩く時の新聞紙のように丸めた大きな紙を持ってきました。

 てっきりお楽しみの前にトイレでも済ませてるのだと思ってましたが、こんな凶器を探していたのですね。

 さあ何をするつもりでしょうか。その丸めたデカいので私を叩こうというのでしょうか。

 甘いですよ、真剣白刃取りしてみせましょう。だてに大河ドラマにワンクール出演しただけのことはありませんよ。

 ちなみに役は将軍・・・の子どもが庭で遊ぶ用の手毬でした。複雑な気持ちでしたが、ギャラは良かったんですギャラは。


「マクラ、そっち抑えてて」


 どうやらクルクルってなってる紙を広げるつもりらしいです。

 あえて無視して延々とクルクルさせるのも一つの策ですが、目の前で幼女が涙目でクルクルさせてる姿を思い浮かべると心が痛みますね。

 話も進みませんし、手伝うことにしましょう。


 ふむ、どうやら世界地図みたいですね。デカいだけあって中々精巧に出来ているようです。

 これでどうやって遊ぶつもりなのでしょうか。TRPGとかでもするんでしょうかね。魔王対勇者の陣取りゲームTRPGとかですか?

 幼女がテーブルの上にあった本を地図の四隅に乗せてる姿を見て、最初に二隅それやったら私が手伝う必要無かったんじゃないかと思いつつ事の展開を待ちました。


 やがて幼女がおもむろに立ち上がり、腕を組んで高らかに宣言しました。


「これからアホなマクラに色々と教えてさしあげる。よろこぶべき」


 なるほど、そうですか。

 丁度よかった。本を読んでの情報収集は諦めたところですので。

 だって何語か分からないんだもん。

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