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Delete  作者: Ruria
間章6
175/180

保護

「こんな時にメール? 誰からだ?」

「誰なんでしょうねぇ。開いてみます?」

「あぁ」


 なので、ガブリが俺の背後から見る形でメールを開けることにした。



――――――――――――――――――――――――――


 もうすぐで、ラファとウリを殺した裏切り者が帰ってくる。

 その前に、保護対象者を連れて、ここから出るんだ!

 あの裏切り者の真の目的は、『更生と見せかけて、罪人を拷問の駒にする』ためだ。

 いいか。決して、あの生命体を信用するな!

 信用したら……。


――――――――――――――――――――――――――

 


「なんだこれ!?」

「しかも、差出人が……、ままま! マスターからのメールみたいっす!」

「まじか!」


 しかも、海外へと飛んだマスターからのメールときた。一体全体、このイルミナで何が起きているんだ!?


 俺は机の引き出しから、ハンドガンと、二個の黒いポーチを取り出し、黒いローブの下へしまうと、ふぅ。と一呼吸置く。


 まぁ。このポーチの中身は、秘密だがな。

 だけど、この先やっていく上で、必要不可欠となる物が入っている。


「何か、嫌な予感しかしないから、気をつけろよ。ガブリ」

「は、はい! ボクも何か護身で持ってた方が良いっすか!?」

「あぁ。マスターから貰ったアレをローブの下にでもしまっとけ」

「り、了解っす!」


 俺は指示を出すと、彼は咄嗟にハンドガンをローブにしまってくれた。


「それと、これをガブリに託す」


 なので、俺は彼に、あるポーチを渡した。

 一つ目は黒くて布製のシンプルなポーチ。

 二つ目は色は同じで、少し頑丈で破けにくい素材でできたポーチだ。


「これは……?」

「二つ目を、『Green』に渡してくれ」

「でも、保護した際に渡せば良いのでは……」

「じゃあ、渡そうとした時に、裏切り者に遭遇したらどうするんだ? マスターからの伝言も、俺達の存在さえも、全部消されるんだぞ?」

「それは、ガチで困る展開ですって!」

「まぁ。一個目は今じゃなくて、抜け出した時にでも開ければいいさ。それは、ガブリ用で用意しといたからな」

「まじっすか!? えっと、その。何でボクになんか……」


 しかし、彼は困惑な表情を浮かべながら、恐る恐る、ローブの中にある胸ポケットにしまい込んでいた。


「あの裏切り者の狙いは多分、俺かもしれないんだ」

「えっ!?」

「命を狙うとしたら、一番被験者の情報を手に入れている俺に、刃を向けてくるだろうと、思ったからな」

「なんでそう言い切れるんですか? もしかしたら、ボクかもしれないのに……」

「どうだろうな。あの裏切り者は、ガブリに関してはある程度信頼はしていただろうし、恐らく、簡単には殺しはしないだろ」

「それもある意味怖いっちゃ怖いっすけど……」

「まぁな。『purple』の目を、躊躇無く刺したり、ウリが規約違反覚悟で身バレしただけで、ラファと共に殺った程だからな。気をつけて行けよ」

「は。はい!」

 

 なので、俺はある程度の事を、彼に託すことにした。

 彼ならきっと、何が正義か、何が悪なのか。いざ、ていう時に瞬時に判断できて、躊躇無く殺れるだろう。


 少なくとも、俺よりは……。


「さて、改めて。『保護』しに行くぞ」

「分かりました。ボクは『Black』と『Purple』を保護しに行きますね」

「あぁ。俺は『White』と『Green』を保護しに行く」

「了解っす! もし、生きて帰れたとしたら、何がしたいっすか?」

「さぁなぁ。ガブリは何がしたいんだ?」

「うーん。ボクは穏やかな生活が遅れれば、別にいいや。て思ってます。この組織にいたら、穏やかな生活なんて、一生送れないと思いますから……」

「そっか。いい夢だな!」

「えへへ。ありがとうございますっス!」

「ったく……」


 そして、俺達はマスターからの極秘任務を全うするため、自動ドアを開けて、ガブリと別れた。


「さて……」


 俺は慎重に周囲を見渡しながら、『White』がいる被験室へ向かう。

 道中、裏切り者に逢うだろうから、息を殺しながらも、駆け足でエレベーターへ入った。


「!!」


 すると、エレベーターですれ違う形で裏切り者と遭遇してしまったが、彼女はピンク色のツインテールを靡かせながら、ニコニコと鼻歌を歌い、俺の傍を通り過ぎて行く。全く気づいて無い様だから良かったが……。


 まずい!

 早く乗らねぇと!


 なので、俺は彼女達が眠る被験室がある地下に向かうため、『閉』ボタンを急いで押すと、速攻扉が閉まってくれた。


「よし! 次は……」


 ここで『R』ボタンを押すと、屋上へ一直線になるので、俺は『閉』と『R』の間にある空白部分を、手でかざしてみる。


 すると、ボタンが液晶上に浮き上がってきたので、『3』のボタンを押して被験室へと向かう。ちなみに『4』は俺らの部屋がある、居住区となる。『2』は先程いたモニタールームがある階で、『1』は閉鎖病棟から出入口に繋がる唯一の道だ。

 それに、このボタンを押すには、俺らイルミナメンバーの手相認証が必要となってくる。

 なので、あの時『Red』は被験者だから、パネルを起動出来ず、そのまんま『R』ボタンを押したのだろうな。


 そう思いながらも、俺は被験室の扉の前へと着くと、彼女達にバレない様に、ローブから白マスクを取り出し、被ると扉の近くの認証コードに手をかざした。



――ヴィィーン。ガガガ



 よし。これで『White』に上手く、事情を話して次に繋げよう。


 俺は、白色の病衣に身を包んだ彼女を見るや、こう接することにした。


「オ目覚メニナリマシタカ?」

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