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Delete  作者: Ruria
間章6
174/180

今までの経緯


「……」


 俺とガブリは、画面に映った『White』と『Green』の末路を見届けた後、静かにモニターの電源を落とした。


「何とも言えないっスね。まさかこんな結末になるとは……」


 ガブリは少し話した後に、言葉を失っていたが、なんともやり切れない様な表情をしていたな。レーザーアイみたいな、アイマスクをしているから、目からの表情は読み取れないが。


「あぁ。分かってはいたんだけど、なんて言うか……」


 普通、ああいうタイプは大抵、最後の最後まで言い訳ばっかりして、死なないと分かんない程の低知能だと思っていたからな。

 だけど、あの二人が、こうもあっさりと罪を認めて、現実で償おうと思っていた事に、戸惑いを隠せなかった俺がいた。

 しかも、『White』に関しては、最初の頃と比べて、やけに素直になっていて、驚きを隠せない。


 これが、『人間になる』という事なのだろうか。


「それに、ベータ版の存在も、パソコンに書き込まれていたのも驚いたがな」

「それ、確かに書かれてましたね! ですが、このゲームを考えた人はなんて言うか。かなりとち狂ってますよね。設定まであれこれ考えていて……」

「まぁ、なぁ。流石あの常者(プレイヤー)の父親と言っていい程だ」

「なるほどっすね」

「オマケに、自分の娘にそっくりな管理者なんてものまで作りやがって……」


 どこまで色んな業界の人を利用して、この計画を練っていたのか。この俺ですら、正直気持ち悪く感じる。


「ですね。えぇ……」


 しかし、ガブリは彼女の過去を知った時、悲しいのやら、嬉しいのやらで、とても複雑な表情をしていたな。

 恐らく、本当に好きだった人が、かつての虐めっ子。いや。加害者だったのに、驚いてしまったのだろう。何せ、彼はアイドルをしていた頃の彼女しか、知らないのだから。


「それに、彼の父親の(みなと)さんも、恐ろしい人っすよね。まさか、破片者(パーツ)(さく)以前にもロボトミー手術をしていたとか……」

「オマケに彼女や再婚相手も実験対象にしていたしな。それに、前まで遡ると、あの中道の婚約者までも……」


 源という男も、本当に何を考えていたのやら。多分だが、脳の病気で亡くなった妻のローズさんを救いたかった一心で、脳の研究に勤しんでいたのだろう。


 だが、それにしても、やりすぎだ。

 こんな結末、ローズさんだって、望んで無かったのにな。


「これじゃあ、この病院自体、犯罪の温床だったとしか思えないッスね」

「まぁ。何人か無作為に選んで殺ったとしても、上手く隠蔽していたんだろうなぁ。院長の権限をフルで使ってな。自分じゃ専門外だから、上手い具合に脳外科医に言って、手術させていたんだろ」

「それ、何とも言えないっす」


 俺とガブリは、空虚で真っ暗な天井を見上げながら、はぁ。とため息をついた。

 だけど、ここに来るまでの間に、色々な事が起こりすぎて、今にも頭がパンクしそうだ。

 なので、マスターから極秘で仕入れた情報も入れながら、俺なりに考えをまとめてみる事にした。



 まず、夢中体験型脱出ゲーム『Delete(デリート)』が開発された所からだな。


 確か、今みたいに、デスゲームみたいな形で開発したのは三人。


 まず一人目は椎名 誠だ。椎名 望の父親であり、有名なゲーム会社で開発担当をしていた。と聞いていたことがある。

 だけど、家庭のことは無関心で、仕事一筋の人で、性格は変わり者。弟の椎名 朔夜と大麻クッキーを巡って喧嘩をした挙句、殺されてしまった哀れな人だ。

 実はこの辺の情報は、最近手に入れたばかりで、マスターからも密かに聞いていたので、信憑性は強い。


 二人目は城崎 (みなと)だ。こいつが麗を可笑しくした一番の元凶と言ってもいい。し、何人かの頭を手術させては弄りまくって殺していたサイコ野郎だ。

 それも、裏切り者がなぜか、一番ぶっ殺して欲しいと言っていた程だから、相当ヤバい奴だったけどな。

 しかも、マスターから密かに手に入れた情報によれば、『Blue』の本当の父親で、当時、記者をしていた蛇川 (まだら)が、院長の源の裏を知ろうと、執拗に調べ回っていたらしい。

 そして、その次の日、斑はセンター内の庭で、変わり果てた姿で発見された。と、ニュースに流れていたみたいだ。きっと、口封じのためだろう。とマスターは思っている様だ。


 今思うとあの時だって……。




「これ……」

「おい。ラファ」

「な、なに!?」

「その、殺された人は誰だか、載ってるか?」

「えっと……。あった! って、えっ!? ここで『Blue』が!?」

「おい! どうしたんだ! って……、何だこれ!?」

「院長が、『Blue』である神田愛さんの……、実父を……」

「口止めの為に殺したって……」




 その衝撃的な文を見た途端、俺達は思わず絶句してしまった程だ。かなり記憶にこびりついている。


 最後に三人目は柏崎 (はじめ)(りく)の友人であった晶の父親でもあり、幸の父親だ。プログラミングの腕に対しては凄腕で、ゲームの構造全てを組み立てていたのは、ほぼ、この人だと思っていてもいい。

 管理者に関しても、開発者の誠の意見を入れながら、AIみたいに作り上げていたのだろう。


 しかし、裏の顔はバベル教と呼ばれる、新興宗教団体の教祖であり、幸はそれによって、とても息が詰まる程の辛い幼少期を過ごしていた様だ。

 だから、彼女は団体の本拠地を、お手製の爆弾で爆破させ、一を含めた信者諸共、全員殺したのだ。

 そのせいか、極刑は下って少年院に入ったらしいが、彼女は既に、何らかのルートで、このクソゲーの存在を知っていた。

 なので、このゲームを管理、運営しているここに目をつけ、組織の壊滅や、ゲームの構造自体を壊そうと目論んでいた様だ。


 これで、三人の開発者と、その子供についての事はいいな。


 次は、ベータ版の存在についてだ。

 まさか、『Green』が引っ張り出してきたおかげで発覚したものなのだが、言葉の通り、ベータ版は、この『Delete』の基礎と言ってもいいだろう。


 最初はきっと、気分の改善や、トラウマの解消として、使われていたのが『本来の姿』だったのだろう。

 そこには狂者も出ないし、ただ、非現実な空想世界を見せ、不安を取り除く為のツールとして使っていたのだろう。

 それがなぜ、あんな『Delete』という得体の知れないクソゲーとして、化けてしまったのだろうか。


 しかし、今では、『柏崎 幸』以外にも、この中の誰かが、勝手に手をつけたとしか思えなくなってきている。

 それに、壊滅させるなら、幸だったら内部にハッキングして弄る他に、爆破までして物理的に壊すだろうからな。


 だとしたら、まさか、この場所に爆弾なんて……、なぁ。


 それと、毎度気になっていたのが、最後に更生の余地が無い悪魔達が、狂者に捕まった後、『臓器』となって、必要な人へ提供される。又は『人食の被験者』の餌として出される。という話だ。


 今思うが、あの裏切り者はまさか、『廃棄』予定の餌を彼女に出したのだろうか。そしたら、彼女の手が付けられないほどの狂いには納得がいくんだな。

 そうなると、裏切り者に刺される前に出した餌は、『中道修一の廃棄肉』となる。

 あの男は看守でありながら、大麻にまみれた中毒者であり、己の要望のまま、幾数多の同性の体を貪り続けていた。

 それで、中性顔の『Green』が狙われていたから、俺もゾッ。としていたのを覚えている。


 だけど、そうなったのも、婚約者が亡くなってから。と、マスターから聞いた。自暴自棄で可笑しくなってしまった結果、あんな悲惨な事になったのだろうな。


 次は、ウリエルとラファエルは、なんで裏切り者に殺されなければいけなかったのか。

 そこだけは俺も気になっていたが、自分から身分をバラす事のどこが悪いのだろうか。

 確かに秘密結社である以上、身分がバレてはいけない。というのも事実だが、ガブリみたいに、やんわりと言えば大丈夫な話だろう。それなのに……。


 いや。何を血迷っているんだ俺。

 私情を挟んではいけないって、あれほど怒られたのにな。


 そして、最後は裏切り者の正体。だ。

 みんなからはSiri(シリ)さんだと言われていたが、あの人からはどうも、人間味を感じないんだよな。

 無機質っていうか。ただの執行人。狂者と似た何かを持っている。という事だ。

 しかも、『purple』に関して、執拗に拷問やらを繰り返していたらしく、あそこまで精神崩壊してしまったのも、この裏切り者が原因だ。


 2年ほど、毎日の様に、上手い具合に拷問していたからだというから、恐怖過ぎて粗相しそうだ。そりゃあ、マスターが頭抱えるのも無理は無いがな。


 だけど、幸い、マスターは無事に、別の拠点へと帰れたらしい。先程メールが届いて


『俺は無事だ。今は無事、日本を離脱し、『Red』を収容している海外の施設にいる。ミカエル、ガブリエル、あとは頼んだぞ』


 と書かれていた。


 無事なら良いが、後は俺とガブリの二人で、裏切り者から被験者四人の保護へと回って、別の場所へ避難させる。という所が、今の状態だ。


 これじゃあ、何が正義で、何が悪なんだか。分かんねえじゃねーか。俺は一体この先どうすれば……。


「それと、ミカ兄さん?」

「どうした?」

「その、何で、椎名 (ほーぷ)は、院長に狙われていたのでしょうかね? 罪を犯したのは分かるんですけど、何でそこまで執着的だったのか、さっぱりわかんなくって……」

「あぁ……」


 確かに、最初、俺も何で彼女や悪魔達(あいつら)が、仮想空間(デリート)の被験者に選ぶ程、目をつけられていたのか、分からなかった。

 だが、『Green』がデカい答えを引っ張ってくれたおかげで、一つの答えが導き出せる。


「恐らく、臓器のパーツが、人と逆なんだろうな」

「えっ!? 逆ってどういう事っすか!?」

「簡単に言えば、『逆位』だ」

「逆位……」

「普通の人の心臓の位置が左だとすると、彼女は右に心臓があるんだ」

「でもそれだけで、何で……」

「確率が極端に低いんだ。例えば、5000人いたとして、他の人が4999人、左に心臓があるとしたら、彼女だけ右という確率だ」

「という事は、まさか! 無作為に引っ張られた被験者は!」

「あぁ。(うるは)はアルビノ。愛は強い毒耐性。(りく)は絶対音感。幸はプログラミングの処理能力が異常に高くて、朔は自身より歳上の人にまで惹かれる色欲体質。綾は人肉を食っても平気な強靭すぎる胃袋。つまり、みんな他の人より、特異体質だった。ていう訳さ」

「はぁ……」


 まさか、こんな所で全てが分かってしまうとは。という事は、裏切り者の真の目的は……。



――ピコンッ



 そう悩んでいると、俺のパソコンから一通のメールが届いたのだ。

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