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Delete  作者: Ruria
第三章
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保健室2


「着いた!」


 私は保健室の前に着くと、何やら中で話し声が聞こえたので、少し扉に耳を傾ける。



――それ! 僕が持ってた物と同じ!


――てことは、貴方も破片者パーツってことね。



 なるほど。LIKEの差出人は破片者パーツってことか。今度は何の感情だろう。


 期待すると同時に、さっきから止まらない寒気に違和感を覚え、両手で腕を擦る。そして、少し温まってから右手でガラガラと扉を開けると、麗が笑顔で出迎えてくれた。


「望! おかえり!」

「あー。麗。少し遅くなっちゃった。それと……」


 私はそう呟きながら扉を閉めると、茶髪の少女に視線を向け、笑顔でこう話す。


「貴女も、無事で良かった」

「いや、ウチは……」


 彼女は戸惑いながら答える。


「えっと、ところで、名前は?」

「……愛。とりま、よろしく」

「うん。私は望。こちらこそ、よろしくね」


 軽く自己紹介をした後、愛はジーっと私を見つめてこう訊ねてきた。


「望? もしかして、椎名望さん?」

「そう、だけど……」


 突然名を言われ、私は戸惑う。しかし、愛さんが破片者パーツだと言う事は、先程の盗み聞きで情報を得たので、話は早く理解した。


「これ、渡さなきゃ。って思って」

「あー。それね」


 そう差し出してきたのは、あのゲーム機のソフト。しかし、麗が前に渡してきた色とは、全く違う色だった。


 青色で光るソフトか……。何故か珍しく感じた。でも、どっかで見たことがある。どこで見たんだろう。

 しかし、肝心のタイトルは麗の時と同じく、忘れてしまった。


「これ、何の感情か分かる?」


 ふと、気になりだしたので訊ねると、愛はボソリと言う。


「……中身は分からないけど、挿したあとに望さんが立ち直れるかどうか。と支配人は言っていた」

「そっか」


 あー。聞かなければよかった。でも、挿し込まなければ先に進めない。なので、私は一つ深呼吸をして息を整え、意を決してパーカーのポケットから、例のゲーム機を取り出し、青色のソフトを挿しこんだ。


「うっ!」


 その途端、突如、泣きそうになる程、頭に強烈な痛みが走り、右手で頭を抱えながらその場にうずくまる。


「いっ! 痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」

「望!」

「望さん!」


 呪文のように『痛い』を口にする私を見て、驚いて近くまで駆け寄り、必死になって声をかけていた。


「望! 大丈夫!?」

「大丈夫ですか!」

「うぅ……頭が……!」


 訴えようとした途端、突然視界が歪み、意識が遠くなって力が抜けていく。





 そして、青年の胸元にバタリと倒れ込んだ。少女の左手に握られたゲーム機の液晶画面には、緊迫した空気をぶち壊すかの様に、文字が映し出されていた。


 ――ノゾミサマハ

    カナシミノカンジョウヲ

          エラレマシタ――


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