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Delete  作者: Ruria
滝沢 陸斗【回想】
145/180

醜悪

「神田ちゃん……」

「それ、本当なのか? 恵」

「うん……」


 (にわか)に信じられなかった俺達は、再度彼女に聞いてみたが、答えは同じだった。


「遠藤先生が秋元さんにこう、ハッキリと言っていたの。『あー、あの宗教勧誘してきた生徒かぁ。そいつならしつこいから殺した』って……」

「まじかよ」

「もし、それが本当だったら、間違いなく遠藤は『黒』って言うことだね」

「だけど、晶ちゃんがまさか……」


 すると、彼女は腰を抜かした様にその場で座り込んでしまい、大粒の涙を零していたのだ。


 確かに晶と恵は、宗教勧誘を巡って大喧嘩する前は、一緒に行動する程、仲が良かったからな。ショックもかなり大きいはずだ。


 それに……。


「ウチ、まだ晶ちゃんに謝ってないよ。どうしよう。あんな酷い事を言ったり、嫌がってるのに髪、切ったりしちゃったのに……」

「神田ちゃん、あんま自分を責めちゃダメだよ。ね」

「卓ちん。どうしよう」


 俺はと言うと、何も言葉をかけられない。


 確かに彼女は、『本人の許可無く、他人の髪を切る』という、犯罪の一線を超えてしまったのかもしれない。

 でも、こんな形で謝る機会を、永遠に失ってしまっては、彼女は一生『罪人』のままになってしまうのに。


 そう思うと、俺ができることはただ、隣に座って、泣き崩れる彼女の背中を優しく摩ることしかできなかった。


 だけど、それと同時に、俺の心の中が黒くなっていくのを感じたのは、気のせいだろうか。


 遠藤に対しての憎悪が、徐々に湧いてくるのだ。


「陸斗。ウチ……、これから、どうすれば、いいのかなぁ」

「恵……」


 そして、我慢できなくなった俺は、一つの決断をしたのだ。


「卓、恵を頼む」

「はぁ!? 陸斗!?」

「俺が一人であの先公を、学校から追い出してくるよ」


 そう言うと俺は、机に置かれたボイスレコーダーを奪い取る形で手にし、教室を出ようとした。


「ちょっと待って! 単身で乗り込むとか、正気なの!?」

「俺はこれでも正気だ。でもさ……、1人じゃねぇよ」

「えっ!?」

「俺には、卓と恵という、最高の親友と、最高の彼女がいる。だから、そんな2人を、危険な目に遭わせたくないんだ」

「陸斗……」

「それに、恵も泣きじゃくっているからな。こんな悪夢、とっとと終わらせないといけねぇからよ。遠藤にバレる前に、さっさと家に帰れ」

「……」

「それと、こんな俺を『親友』と言ってくれて、ありがとう」


 そして、俺は2人に別れを告げると、教室を後にしたのだった。


 だけど、この選択肢によって、俺の人生は……。

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