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Delete  作者: Ruria
第二章
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メインルーム3


 シャワールームから戻った私は髪を解いたまま、いつもの席につく。


「おかえり。望、シャワールームどうだった?」

「あぁ、広くて快適だったよ!」


 麗は相変わらず、満面の笑みで訊ねてきたので笑顔で返す。


「ほんとに? じゃ、浴びてくるね!」

「うん。行ってらっしゃい!」


 そう言うと、颯爽とシャワールームへと消えていった。目で見送ったあと、日記の切れ端を挟んでリュックに入れ、髪もいつものスタイル(両サイド残して一つ縛り)に戻す。

 そして、モニターに映ってる支配人に向かって、手始めにこう切り出した。


「さて、改めて聞きたいことが山程あるけど、いい?」

「フッ。何デショウ。聞キタイコトガアレバナンデモ」


 彼は相変わらず陽気な受け答えで返す。


「まず一つめだが、破片者パーツは何者なの?」

破片者パーツハ、一部ノ感情ガ抜ケタ者ダト説明シタハズデスガ」

「いや。全部で何人いるのよ」


 開き直った様に答えるので、鋭く言葉を放つ。


「喜ビ、悲シミ、怒リ……マァ、麗サマ含メテ五人ハイマスヨ」

「そっか、それ以外は?」

「ソレ以外ハ……」


 そう言うと、また長々と片言で説明していたので、追加項目として、白いメモ帳にこう記載した。


―――――――――――――――――――――――


 破片者パーツ……一部の感情が抜けた者。抜けている分、他の人より感情が特化してる時がある。

このゲームでは、特化してる感情を常者にアイテムとしてあげるという形をとっているらしい。


 心を七に例えると……

 

 例)喜び……二 怒り……ゼロ 

   残り……(哀、楽、正、欲)一ずつ。


―――――――――――――――――――――――



「ハイ、ソレトデスネ、追加要素ヲ入レテオキマシタ」

「追加要素?」


 それを聞いて、嫌な予感しか浮かばなかった。この言い分からして、私にはかなり不利で面倒くさい機能をつけたんだろうな。


「ハイ。新タニボス機能ヲ搭載シトキマシタ!」

「はぁ?」


 やっぱりな。嫌な予感が的中してしまい、片手で頭を抱える。


「コレデ益々、『Delete』ガ、イイゲーム二ナッテイクカト思イマシテ!」

「それ、ただこっちが脱出するのに面倒くさくなるだけだよね?」

「マァ、ソレガゲームナンデスヨ!」


 間を入れずに、素早くツッコミを入れるが、彼は何事も無いように言い訳をする。


「アップデート、ト称シテ常二更新サレテイキ、ドンドンドンドン面白クナッテイク。今ノゲームハ、ソウイウモノナノデス!」


 しまいにはうんちくを言い並べる酷い有様なので、呆れてモノが言えない。一つ溜息を吐いてから、こう言い返す。


「それは、いい機能がつけばの話で、面倒臭いだけの機能はつけられても邪魔なだけ」

「マァ、ソウ言ワレマシテモ……」

「ということで、いつものようにして頂きたい」

「ソレハデキマセンネ」


 突然、突き放すように言う。能面の様に変わらずに笑ったまま、というのが頭にくるが。


「え? なんで?」

「モウ、更新シタ後ナノデ」


 思わずポカンと口が開いた。


「どういうこ……」


 その途端、プツリと画面が消え、辺りは静寂に包まれる。私は余りにも突拍子過ぎて、ただただ呆然とモニターの前に佇むしかできなかった。


 そこに彼が爽やかな笑顔でシャワールームから帰ってきた。


「ただいま! お湯が温かくて気持ちよかった!」

「おかえり、良かったね」


 私もつられて微笑んだ。


「うん! えっと……」

「どうしたの?」


 何かを言いたげそうな素振りを見せていたのでそっと訊ねる。


「支配人と、どんな話をしたの?」

「あぁ、次からは、ボスを倒さなくちゃ脱出できないシステムにしたみたい」

「そうなの?」

「うん」


 相槌を返すと、視線を逸し溜息をつく。顔は相変わらず無表情のままだ。


「面倒くさそうだね」

「やっぱり、麗も思う?」


 そう聞くと、微笑みながら無言でコクリと頷く。


「だよね!」

「でも僕は、望と離れるのが一番辛いかな」

「えっ?」


 それ、どういう意味だ? また突然、笑顔で突拍子もないことを言い出すので、思わず聞き返す。


「あっ! えっとそれは……その! 別に変な意味じゃ……!」

「まぁ、結局は次に行くしかないってことだよね」

「あ。う、うん」


 顔を真っ赤にしながら、オドオドとした素振りを見せて答える彼に、何事も無かったように振る舞う。まっ、顔を真っ赤にした時点で察していたけど、敢えて言わないでおこう。


「さて、次はどうなるんだろうね」

「んー、僕も初めて行くところだから、分からないなぁ」

「まっ、とっとと破片者パーツを見つけて鍵見つけて、ボス倒していこう。それしか今は手段がないから」

「でも、さっきみたいな無茶なことはしないでね」

「分かった。ありがとう」


 彼は笑顔で言うと、シャワールームの隣にあった青い扉のところへ駆け寄る。


「ここのようだね」

「うん」

「じゃ、行こう!」

「了解」


 私達は青い鍵を使い、扉を開けた。


           ー解説ー


 ※ネタバレになるので、これを読む前に2章を全て読んでから見るようおねがいします!




 ここでは3つか4つ程、謎解きを考え、出させていただきました!

 ということで、ざっと解説です!


 1つ目……子供部屋にあった日記ですが、あれは、漢数字を数字に置き換え、


 十二月二十四日→12月24日

 

 十二月二十五日→12月25日


 落ちてたメモ『継ぎ接ぎの心は箱の中』というメモの『継ぎ接ぎの心』を見ると、継ぎ接ぎは付け足す、加えるという意味もあるので日付を足す。


 すると、2449となるので、それが箱の暗証番号です!



 2つ目……寝室にあった謎のメモの件。麗くんがスラスラと✕付けながら解いたあのメモです。はい。


     ・剣を抜け


     S B W A O

     C R K D S

     B W O R E


Q この?に入るアルファベットは?

   

ヒント︰車の速さを競うアニメらしいが……


A.頭文字「?」


 これは剣を英語で読むと、『SWORD』なので、S、W、O、R、Dを消去法で消すシンプルな問題でした。(スラスラとイッチャイマスネハイ……)


 そして、悪戯問題と合わせると……


『BARC BED』つまり、答えはベットの裏ということになりました!




 3つ目は……これまた寝室にあった天秤の謎です。


「罪と対価する物を置け」


 『罪と対価』つまり、罰を受けた報酬として何かを捧げよということになります。


 で、それを踏まえ、リビングにあった謎の本の最後の部分を見ると、


『イヴはひだりて、アダムはみぎてをけんできられ、からだはズタズタにきりきざまれたのでした。』


 となっているので、イヴとアダムは神様からの罰で、右手と左手を切り落とされてしまっていたので、それを両方置くと開きます。

 若しくは、右手と左手は左右対称なので……という考えもできますが、ここの謎はざっとこんなものです。


 内容のモデルは、アダムとイヴの創世記にあった失楽の園を、謎解き風に少し弄りました。禁断の果実だとか何とか言ってたやつです。


 あっ、剣の件は、入れ替えるとかってありましたが、あれは罠です!(すり替えてしまうと、子供狂者が来るので注意です!)


解説は以上です。

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