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男の名前
ローブの男が帰った後、ミリアがリーナに言った。
「あんた、ちゃんと考えたの!?」
「考えたわよ」
「名前も訊いてなかったじゃない!」
「あ」
「あ、じゃないわよ。……何が決め手だったの?」
「うーん。……強いて言えば顔かな?」
「あんた、ああいうのが好みだったの?」
「好みというか……嫌いじゃないっていうか……」
「……そんなんで付き合っちゃって良かったの?」
「うん。別に付き合ってもいいかな、と思って」
「……それ聞いたら嘆く人が大勢いるよ……」
「大袈裟だなあ」
リーナはミリアの言葉に笑った。
「大袈裟じゃないって……」
ミリアがそう言うが、リーナは本気にはしなかった。
そんなリーナに、ランスがすり寄ってきた。
――ランスがしばらくの間いなくなっていたことには、二人とも気付いていなかった。