告白の結果
ローブの男について話した次の日。
本人が店に現われた。
「噂をすれば、ね」
ミリアがリーナに、小声で囁いた。
リーナはうなずきながら、男が商品を見ているのを眺めていた。
男がリーナのほうを見たので、彼女はとっさに笑顔を作った。
すると男は嬉しそうな顔をして、リーナの所にやって来た。
そして、突然言ったのだ。
「リーナさん、結婚して下さい」
リーナは笑顔のまま固まった。
ミリアは呆れたような顔で男を見た。
「まずは“付き合って下さい”でしょう」
ミリアがぽつりとそう言うと、男は慌てて言い直した。
「リーナさん、付き合って下さい!」
……一生懸命なのは分かるが、どうにも間抜けである。
リーナはどう答えようかと考えを巡らせた。
(悪い人ではなさそうだし、顔も可愛い系よね……年齢は私より少し上かな?)
リーナは冷静に考えた。
自分はもう十八だ。そろそろ恋人くらい作らないと嫁き遅れるかもしれない。
(とりあえず、付き合ってみようかな)
「……私で良ければ」
「リーナさんがいいです!」
「……じゃあ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
ミリアが唖然としているうちに、リーナに彼氏ができてしまった。
――こうしてリーナは、名前も知らない男と付き合うことになったのだった。