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ランスとルース
リーナとルースの交際は順調に進んだ。
ルースは毎朝彼女を家まで迎えに来て、帰りも店に来て家まで送って行った。
店が休みの日にはデートをした。
その時、ルースに尻尾があることが分かって彼が竜族だと分かったが、種族の違いはさほど重要視されないのでリーナも特に気にしなかった。
ルースがいつも引きずるような長いローブを着ていたのは、尻尾を隠すためだった。
「竜族だと知られたくなかったの?」
「半人前だと知られたくなかったから」
「半人前?」
「完全な人型になれないやつは、半人前だと言われる」
「……私は別に、半人前でも構わないけど」
「ホントに!?」
「うん」
ルースの尻尾は嬉しそうにブンブン振られていた。
それを見てリーナは、ランスみたいだな、と思った。
(色も黒だし、ランスの尻尾を大きくしたみたい)
そういえば、とリーナは思った。
(ランスとルースって、なんとなく雰囲気が似てるっていうか……どっちも竜だからかな)
そう思って納得した。
リーナはルース以外の竜族に会ったことがなかったので、竜族についてはほとんど何も知らなかったのだ。