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捨てられた竜
雪うさぎ(白ヶ音雪×月城うさぎ)様主催の【Dragon萌え企画】参加作品です。
ある朝、リーナが家から出ると、小型の竜が捨てられていた。
竜の入った木箱には“名前はランスです。リーナさん、拾ってください”と書かれていた。
(何で名指しなの……)
リーナは頭を抱えた。目の前の黒い竜は、キラキラした瞳でリーナを見ている。
(竜なんか飼えないわよ……)
竜は家畜にはならないし、ペットとしては大食い過ぎる。
それに、リーナの家族は皆働いているから、竜を構っている暇なんてない。
リーナはため息を一つ吐くと、家に戻って炭を取ってきた。
そして竜の入った箱に“飼えません。お持ち帰り下さい”と書き足した。
竜の悲しそうな瞳に心が揺れたが、リーナは一言「ごめんね」と言ってその場をあとにした。
竜の視線がリーナを追っているのには気付いていたが、急がないと仕事に遅れてしまうと、彼女は小走りで職場へと向かったのだった。