依頼 01-05 冒険者を求めて
ザックスがギルドから遠ざかったことを確認すると、メアリーは口を開いた。
「ギルコ、あなた、無茶ばかりして」
メアリーはギルコの行動に頭を抱える。
「メアリーの姿を見ていたから安心していたけど」
「ホント、あなたってヒトは」
「グチを言いたい所、悪いのだけど、メアリー、依頼があるの」
メアリーは口に出かかったグチを飲み込み、姿勢を整える。
「どんな依頼でしょうか?」
「数日間かかる運びの仕事よ」
「数日ですか。あんなことがあったのですからできれば、できれば誰かにやってもらえませんか?」
「村長から頼まれた依頼なの。できれば早い方がいいって」
「弱りましたね。ライアさんでも来てくれたら」
「今、ライアさんには山賊討伐の仕事についている。すでに冒険者が数人やられているから、彼女がこの村から出て行けば村人が犠牲になるわ」
「そうですか」
「それに、メアリーにはクリスト共和国でやってほしいことがあるわ」
「なんでしょうか?」
「地図が書ける冒険者を一人欲しいの」
「地図ですか」
意外なことを言われて、メアリーはおどろく。
「そういえば、この村周辺の地図がまだ完成されていませんね。道に迷う村人や冒険者もいるかもしれませんし、地図は必要ですね」
「それもあるけど、村の発展のためにはこの土地に何があるのか発見できる人材が欲しいの。鉱石とか採れる採掘場を見つければ、この村に労働者が来るかもしれないし」
「難しいですね。そういうクラスの冒険者はすでに故郷に帰っていますから」
「いなかったらいないでいい。クリスト共和国のギルドに依頼するだけでもいいから」
「そういうことでしたら、わかりました。クリスト共和国はギルドによって発展した国、おそらくギルコの望む冒険者がいると思います」
「ありがとう」
「それとギルコ、これは確認ですが」
「なに?」
「あなた一人でも大丈夫ですか?」
先ほどのトラブルを鑑みて、メアリーは心配そうに尋ねる。
「大丈夫」
ギルコは胸に手を当てる。
「ギルコさんは欺けない」
ギルコは力強く、自分の覚悟をそう伝えた。