謎 04-16 遺体の正体
村長の家から離れ、リッツは一人でギルドへ戻った。
ギルドには冒険者達が集まっていた。
ラドル村の一大事と聞いて、駆け付けた冒険者なのだろう。
「リッツさん、どうでしたか?」
ギルコはギルドへと戻ってきたリッツに話をする。
「村長は自分が犯人になると言いました」
それを聞いた冒険者達は一気にざわめいた。
「あまりスッキリしませんがこれでこの事件も終わりますね」
「……それは違うわ」
「違う?」
「これから犯人を捕まえるから」
その一言に、ライアが驚いた。
「これから犯人を捕まえるって、村長は捕まえたのに?」
「どちらかというと、村長はただの取引道具になるのかな。本来なら、私かマハラドがその役をするつもりだったけどね」
「取引道具って? どういうこと?」
「言葉のとおり、犯人をあぶり出すための道具よ」
「犯人わかったの!?」
「始めからわかっていたわ。みんなに悪いことして、ゴメンね」
「目的があって、騙していたのならいいんだけど、どうしてそんなことを」
「どうやって犯人を捕まえればいいのか、その段取りに戸惑っていたの」
「段取り?」
「ええ」
冒険者達はギルコの意図が掴めず、首を傾げる。
「ギルコさん、話がわかりません。犯人って、誰ですか?」
「それを話す前に、まず、あの遺体について、整理しましょう」
ギルコはそういうと、ポケットから小瓶を取り出す。
そこには黒い粘土のような土が入っていた。
「この小瓶の土はなんですか?」
「この土は遺体の革靴から採取した土よ」
ギルコはギルドの奥へと行くと、すぐ戻ってくる。
カノジョの手には汚れたフキンがあった。
「そして、このフキンについた汚れはあなたがギルドへ来た時に汚したものよ」
「ああ、すいません。あの時は――」
「別にいいわ。この汚れで気づいたから」
「何をですか?」
「わたしの審美眼で確認したけど、この二つの土は同一の地から持ってきたものよ」
「それが何の意味が?」
「それともう一つ、あの遺体は問題があって」
「問題って?」
ギルコは答える。
「――あの遺体は、ルードじゃないの。両目あったから」
「ギルコさんは欺けない」は9月1日16時から再開します。




