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ギルコさんは欺けない  作者: 羽根 守
04 隠された魔術師
28/57

説明 04-05 ギルコさんの説明会 ― オルエイザ大陸における魔法の正体 ―

「さてさて、魔法の話をする前に、魔導石の話から始めるわ。


 “魔導石”は魔の力を発動させる青く輝く石で、魔導部と魔力部の二つの部位で構成された物質よ。

 魔導部は石そのもので、魔力部は青い輝きをさすわ。

 魔導石がなぜ魔力を持つのかはわからないけど、長時間大地に寝かされたことで、大地のエネルギーが凝縮されたのではないかという考えが一般的ね。


 魔導石から魔の力を使うためには、魔導石から魔の力を引き出す必要がある。

 魔導石にある魔導部が人間の意識をフィードバックして、魔力部を通じて魔力が発動されるわ。

 魔導石は魔力を失うと青い輝きが消えて、紫色の魔導部だけが残されるわ。


 魔導石を見つけた当初は多くのヒトが魔導石を使って、魔の力を使っていた。

 けれど、すぐに青い輝きが消えてしまって、魔導石はただの鉱物になってしまった。

 

 魔の力を長い時間使いたいと思った人間達は魔導石に対応する器、魔導具を生み出したの。

 “魔導具”は魔力を制御する安定器で、魔力の増幅装置として作成された。

 “魔導時代”と呼ばれる時代の到来ね。

 魔導石は魔導具に埋めることで、魔力を発動する武具や生活品として利用していた。

 魔導石と違って威力は弱いのだけど、長年使えるから多くの人が重宝している。

 このギルドにあるランプも魔導具の一種で、魔導石が使われているわ。

 

 そして魔道具の発展型として“魔導兵器”というのがあるの。

 この魔導兵器は戦争で使われる兵器で普通の魔法よりも数十倍の破壊力を持っている。

 けれど、その破壊力と引き換えに大量の魔導石を使わないといけない。

 魔導兵器は短期決戦用兵器で使い所の難しい武器だった。 


 オルエイザ大陸は魔道具、魔導兵器と魔導文明は栄えたのだけど、その文明も終わりを迎えたわ。

 それは魔導の要だった魔導石が枯渇してしまったからなの。

 魔導石がなくなれば、魔導具も作れない。

 文明の利器を失ったヒトは魔導石を求める争いが起こるようになってしまった。


 ちょうどそのとき、こどもたちの間である現象が起きた。

 魔導石がないのに魔力を発動させたの。

 その現象を“魔法”と呼ばれているわ。


 魔法と呼ばれる正体を調査すると、こどもたちの身体から魔導石と似たものが存在をすることが確認することができた。

 魔法を使えるこどもたちの出生を調べると、親が魔導石を発掘する鉱員であることを知った。

 おそらく、親である鉱員が魔導石の粉塵ふんじんを吸い込んだことで、こどもにその物質を継承させたことが原因と言われているわ。

 体内で精製される魔法の源を“魔導粒子”と呼ぶことにした。


 魔導粒子は魔導石と違い、カタチを持たない無形的物質。

 使い手が魔法の発動によって、カタチを持つ。

 紫の粒子によってカタチが生まれ、青の輝きによって魔法が生まれる。

 すなわち、使い手が魔法を望むことで、魔導粒子がカタチを産んで精製されるの。 


 魔導粒子の精製には術者のポテンシャルが存在する。

 早く精製できる者がいれば、時間がかかるけどその分だけ大きな魔力を発動させる者も存在する。


 精製力は紫の粒子で物体のカタチを生み出す力、シンクイメージ。

 魔力は紫の粒子でできた物体のカタチの中に入れる力、マインドエネルギー。

 精製力と魔力、この二つで魔法ができるの。


 魔法が使えることになって、魔導石を求める争いはなくなった。

 魔導時代は終わり、“魔法時代”へと移った。

 魔導石が必要じゃなくなったことで、魔導具を手放すヒトビトが出てきたからよ。

 ただ、今でも魔導石は貴重なアイテムとして、商人達の間で売買されている。

 魔導石を巡る問題はなくなっていないわ。


 魔法を使うものは魔法使いと呼ばれるようになった。

 魔法使いは術者のポテンシャルを高め、魔力発動のセンスを磨けるために、“魔法アカデミー”を建設させた。


 魔法アカデミーは魔法をより安心に使いやすくするために、魔法の使い方を定めたことにした。

 例えば、魔法を使うとする。

 体内にあるその魔導粒子がイメージを重ねることで重みを持ち、現世でカタチを表したいと求める。

 その時、魔導粒子が現世にカタチを決定させるには、現世でもそれを受け入れる器のようなモデルが必要となる。

 その器のモデルとなるのが呪文、型、物体化が代表的よ。


 魔法使いにとって、最もポピュラーなのは呪文を使った魔法。

 “呪文”は、名前を唱えることで現世へと召喚する方法を言うの。

 この呪文を使う魔法使いのことを魔術師と呼ばれているわ。


 例えば、魔導粒子のイメージが固まった時に、火と言えば、手のひらから火が現れる。

 一瞬だけど、身体から紫の粒子が浮かびあがり、手のひらへ向かって火のカタチを作り出す。

 火のカタチを作り出すとすぐ青い輝きがそのカタチへと注入されて、火として有形化する。

 わかりやすく言えば、デッサンで言うところの、線書きが精製力、塗りが魔力というところよ。


 しかし、火だけじゃボワっと燃えるだけで、何がしたいのかわからない。

 そこで、火の矢と唱えることで、手のひらから燃えあがる火の矢が出てくる。

 魔導粒子の精製力が必要なのはカタチを捉えるセンスにあるわ。


 でも、これだけじゃ、火の矢は行き先が不明となる。

 高度な魔法使いなら、火の矢を何処へ導きかせるのを詠唱することで、魔法は生き物のように動き、そのとおりに動く。

 けれど、詠唱の途中で言葉を噛んでしまうと、せっかく唱えた魔法が消えてしまう。

 戦いの途中で言葉を噛むことは"死”を意味する。

 例えば、火の矢というところで、火のってところで詠唱を中断したら、火はその場に現れて、術者を燃やすの。

 魔術師が一番恐れたのは言葉を噛むことで、詠唱中の魔法が暴走し、自滅すること。

 精製力のない魔法は純粋な破壊の力、魔力で自滅する魔術師もいるわ。


 魔術師はいかに安全に魔法を使うことが命題となった。

 魔術師はその命題を克服するために、呪文以外の魔法発動方法を見つけたの。

 

 その一つが“型”。

 行き先がなくならないように、火の矢は指先で誰かを討つように構える。

 魔法のベクトルがそちらへと行き、魔法は力場を手に入れ、暴走しなくてもすむ。

 

 弓を引くように構え、火の矢と呼び、指を放つ。

 それによって、魔導粒子によって精製した魔法が、火の矢のごとく、的を射ることができる。

 すなわち、魔導粒子が声や動きでカタチを捉え、一連の過程を経て、魔法として発動するわけよ。

 魔術師は呪文と型を身につけることで、より安心で高度な魔法を使えるようになったの。


 他にも魔導石が魔導具にはめて魔力を発動させるように、魔導粒子を物体に取り込ませることで、物体に魔法を与える方法がある。これが物体化と言われる方法よ。

 魔法を使うには膨大な魔導粒子で魔法のカタチを精製しないといけないけど、物体化を使えば少ない魔導粒子で魔法を発動させることができる。

 しかも、意識のコントロールはすでに決定されているから、センスがなくても魔法が使えるの。

 

 “物体化”を使う魔法使いは“魔法剣士”が多いわね。

 魔法剣士は魔法を使うことができるのは剣を支えにして魔法を発動させているからよ。


 すでにこの世に存在している剣に、自身の生み出した魔導粒子を注入させて、魔法を使う。

 ゼロから剣を有形化させるよりも楽で、少ない魔導粒子で魔法を発動できる。

 ぬりえのように、線の中へ魔力を入れるだけだから楽なのかもしれない。

 魔法剣士が魔導粒子の精製力のない人間がなりたがるのがそれが理由よ。


 物体化には一つ問題があって、魔法を受け入れない器だとすぐに壊れてしまうの。

 物体を支えにしているから、耐久力がなければすぐに破損する。

 ひのきのぼうで火を出そうとしても、すぐ燃えて使いものにならないからね。

 

 それなら、呪文や型が使える魔術師の方が好かれる。

 魔法剣士が使い物にならないと言われているゆえんはこれにあるわ。

 物体化を受け入れる器を作らない限り、魔法剣士は嫌われ続けるわ。


 そうそう、魔法の効果時間は即時魔法、期間魔法、永続魔法の3つがあるわ。

 “即時魔法”は魔法を使っても、すぐ魔法の効力はなくなるけど、何度も使うことができる魔法よ。一般的な魔法はこちらに該当するわ。

 “期間魔法”は魔法が発動し続ける限り、魔法の効力が続くもの。途中で止めても、また別の人間が魔力を注げば魔法の効果は続くから、封印や結界の類で使われる魔法よ。

 “永続魔法”は術者が一度しか使えない魔法だけど、解呪されない限り効果は続く。永続魔法を使えば、もう二度と魔法使いになることができないから、この魔法を使う魔法使いは基本いないと思うわ。


 とまあ、魔法について色々と話してきたけど、魔法は生まれつきのものだから持ってないヒトが大半で、段々と失われているわ。

 魔法使いたちは魔法の血を絶やさないように近親者との結婚が進んでいる。

 親と子、子ども同士の結婚は禁じられているからダメだけど、それでも、魔法使いたちはなんとかして魔法を後世に残そうと考えている。

 けれど、魔法は元々なかったものとして生活している魔封者と言われているヒトがいるわ。

 魔法は暴走する危険性もあるから、わざと魔法を封じる魔封石を身体に埋め込んでいる。

 持つ者の悩みと持たざる者の悩みが違うと同じように、魔法を使う側にも悩みが存在しているわ。

 

 さて、話をまとめると、 


 魔導粒子を持つ人間が魔法を使え、魔法使いと呼ばれている。

 魔法はカタチをイメージすることで発動させることができる。

 一般的に、魔法は呪文を唱えて型を構えることで、魔導粒子を有形化させて魔力を発動させる。

 

 この三つを押さえれば、オルエイザ大陸の魔法は覚えたのも当然よ」


 ※※※


「簡単に魔法についてレクチャーしたけど、何か質問あるかしら」

「ギルコさん」

「なんですか? リッツさん」

「ボク以外、みんな寝ています」

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