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ギルコさんは欺けない  作者: 羽根 守
プロローグ
2/57

閉じる世界と消え行く冒険者達


 オルエイザ大陸、それは剣と魔法によって統治された大陸である。

 剣の発明によってヒトは力を手に入れ、魔法の発見によって暮らしに営みが生まれた。


 しかし、剣と魔法だけでは文明は発達することができない。

 オルエイザ大陸は閉じた世界、ヒトとヒトのつながりが求められていた。

 オルエイザ大陸を開拓するために、組織が必要となった。

 その役目を任された組織こそ、ギルドであった。

 

 ギルド、それは冒険者の情報収集の機能を持つ組合をさす。

 ギルドは冒険者のアイテムを鑑定し、依頼主から頼まれた仕事を請け負う。

 冒険者はギルドから依頼を受け取り、報酬をもらう。

 ギルドと冒険者は比翼の鳥のような関係であり、お互いがお互いを信頼していた。


 ギルドは冒険者以外にも地元の人間にとっても大切な存在であった。

 ギルドは地元の経済を活性化させ、地域の治安を守る役割を持っていた。

 冒険者の仕事の内容はモノ運び、地図作りなど、地元の人間を助けてくれた。

 ギルドがあるからこそ村町は繁栄した。


 しかし、ある時を境に、ギルドはその役割を変えてしまった。

 一部の貴族が自分たちの利益のために、ギルドに儲け話を依頼するようになった。

 ある貴族はこの世に見たことのないアイテムを求めるがために、ある貴族は気に入らない人間をおとしめるために、冒険者に依頼をする。

 冒険者は貴族の依頼を断っていたが、貴族が提示する高額報酬に目を奪われてしまった。

 貴族の介入によってギルドの腐敗が始まった。


 いつしかギルドは冒険者からローグが集まる場所となった。

 ローグとはならず者を意味し、一攫千金いっかくせんきんを夢見る者をいう。

 儲け話に味をしめた冒険者がローグとなった。

 ローグになった彼らは地元の依頼人にも高額な依頼料を請求するようになった。

 依頼料ばかり請求するローグによって、依頼主はギルドに仕事を依頼することをやめてしまった。


 ならず者がはびこるギルドは滅んでいく。

 信用を失ったギルドはローグしか集まらず、冒険者は消えた。

 ローグにならなかった冒険者もまた冒険をやめ、故郷へと帰った。


 ギルドの役割が失われたことで世界を開拓する人間がいなくなる。

 モノを運ぶ冒険者もいなければ、地図を書く冒険者もいない。

 ヒトとヒトのつながりが薄れ、世界はゆるやかに閉じていく。

 このままだと、オルエイザ大陸は穏やかに退廃の時を過ごすこととなるだろう。


 しかし、冒険者はまだ見捨てられていなかった。

 冒険者を助けるギルドが存在していた。

 それはオルエイザ大陸北西地、未開拓地方アドセラのラドル村にあるギルド『クローバーエース』である。


 ラドル村はエトセラ帝国に滅ぼされた旧ユセラ王国の民によって作られた村である。

 ラドル村は村の開拓のために冒険者を募集していた。

 自分たちの仕事が残っていることを噂で知った冒険者はここへ集まり出した。

 冒険者はまだ必要とされている。彼らにとって最後のフロンティアがここにあった。

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