主人公B&C王国を立つ
≪主人公C≫
「いやいや遅れてしまい申し訳ございません」
「いえこちらも都合を申しつけてしまい」
……今俺の目の前でおかしな光景が繰り広げられている。ランタンを持ったかぼちゃ頭の男に王様が頭を下げている。………なんだこれ。
時間は二時間前までさかのぼる。朝メイドさんに起こされた俺は出発する準備を整えた後、謁見場に向かった。
「どんな人が来るんだろうね」
「棍棒を持った大男じゃないか?」
そこではもうすでに来ていた光輝と柚木が、これから魔国まで案内してくれる案内人の姿を予想し合ってた。ちなみに俺はイケメン君と名前で呼び合う仲にはなった。意外といい奴で童貞だったので色々許してやった。他に二人の女子も名字で呼んでいる。
「よう、早いな」
「あ、浩人君おはよう」
「おはよう」
それぞれあいさつをすませばやっぱり話は今日の案内人の話になる。
「めっちゃ強い魔国の王国騎士のひとりが来るんだろう?」
「浩人君も大男だと思うよね?」
「えー!絶対ないよ」
ちなみに魔国の兵士はみな魔物らしいので光輝の考えもあながち間違ってはいないと思う。
「俺は歩く甲冑に一票」
「僕は大男に一票」
「私は小動物系に一票」
「ふむ、私は竜系に一票だ」
「「「!?」」」
いつのまにか背後に弥美先輩が立っていた。
「気配消して近づかないで下さい!」
「びっくりしましたよ…」
「ふええ…びっくりした」
「ふふ、すまない驚かせたようだね」
しかし気配消すのがうまいな。
「それはそれとしてどんな人が来るんだろうね?」
「少し楽しみだね」
俺たちはそんなことを話して王様を待っていた。
「待たせてしまったようだな」
「いえ、大丈夫です」
一時間ほどして王様が謁見場に現れた。代表して光輝が話す。
「もうすぐこちらに来るようだ。少し待っておれ」
「はい」
そうしてさらに待つこと10分ほど‘それ’は突然現れた。謁見場の横の壁からランタンが突き出し、その後に頭から順に壁抜けのように出てくる。その姿は完全に…
「ジャック・オ・ランタンじゃねえか!」
そいて今に至る…と。
「なんでジャック・オ・ランタンが王国騎士なんだ?強いのか?」
「さあ?」
「何かユーモアがあるよね」
「おもしろいな、生きてるのか?」
そんな思い思いのことを小声で話していると話が終わったのかジャック・オ・ランタンがこちらに話しかけてきた。
「皆様が異世界人ですね?私が案内役のジャッキーです。それではさっそくまいりましょうか」
王にあいさつした後ジャッキーに連れられ城の外に出る。そこには巨大な猫がいた。
「彼の名前は火車と申します。種族は猫車です」
いやいやいや猫バスだろこれ!とな〇りのトトロに出てくるあれだろ!
「それでは出発いたします」
全員が乗り込んだところで火車が出発する。
「いってきます!」
光輝が城に向かって最後のあいさつをした。
あ、あれ?おかしいなこの話で魔国に着くはずだったのに。