冒険者の白・黒とラスボス・デュオニス王
冒険者は、レベルがあがっていくと、いずれデュオニスを守護する「黒戦士・黒魔道師」か、デュオニスを倒して正義の実現を目指す「白戦士・白魔道師」のいずれかを選択する瞬間がやってきます。悪に仕えて目先の安楽を求めるか、弾圧を受けながら正義を貫くか、究極の選択!
学院に入門した冒険者たちは、クエストを消化し、さまざまな職業を経験しながら、次第にレベルをあげていくことになる。
冒険者が最初に遭遇する選択が、Lv.20のときにおこなう「職業」の選択であり、つぎの選択が、「白い陣営」、「黒い陣営」のいずれを選ぶか、という問題となる。
各クラスの詳細については、「あとがき」部分を参照していただきたい。
冒険者たちは、クエストを受諾し、ミッションをすすめていくなかで、いくつかの「分岐点」にであう。そのとき何を選択したかによって、冒険者たちは「悪の陣営」、「正義の陣営」にわかれ、白戦士・白魔導師と黒戦士・黒魔導師となっていくのだ。なにが正義・白でなにが悪・黒かというと、むろんデュオニスを倒そうとするか、まもろうとするかを指す。
前回も述べたように、学院ではすべての教授と院生が表向きは「デュオニス万歳!」を唱えているので、なにも考えずに取り組みやすそうなクエストばかり選択していると、そのうちに知らぬ間に悪・黒の陣営に所属することになってしまう。そのうえ、黒の陣営の冒険者に呈示されるクエストには【Lv.○○のむほん人○○名を捕まえる】というものがあり、こっそりと反デュオニスだと名乗って接触してくる者がじつは黒の陣営のメンバーであるなどは、非常によくあることである。ゆえに白・正義の陣営に加わろうとする者は相当の注意が必要だ。
現在、存在がひろく知られているエンディングのシナリオとしては、【邪知暴虐のラスボス・デュオニスの打倒に成功!】と、【英雄デュオニス王を暗殺者集団から守りきる!】の2種がある。そして、現在デュオニス王の治世が続いていることでもわかるように、黒の陣営が勝利をかさねつづけている。
白の陣営は失敗を重ね、たいへんな数の犠牲も出したが、生き残りが断片的に持ち帰った情報が陣営に集積され、クエスト全体の概要はかなり明らかにされつつある。小ボス、中ボスはどんな連中か。あらかじめどんなアイテムを用意しておかねばならないか、など・・・。
デュオニスを打倒すると、一体世界はどのようにかわるのか?
それはまだ誰にもわからない。
新たなクエストが急にあらわれ、あらたなエンディングシナリオが知られるようになっていくのだと思う。
さて、私自身のことに話を移そう。
いまから10年以上前のことであるが、白の陣営に属する冒険者たちが総力を結集してデュオニスの打倒に立ちあがったことがあった。複数のパーティが力をあわせてラスボス・デュオニスに挑戦としたのである。私は、下っ端の「賢者」としてこの壮挙に加わっていた。
ひそかに、慎重に仲間があつめられ、20ものパーティが組織された。しかし黒の陣営のスパイたちがわれわれの警戒をかいくぐり、パーティメンバーにもぐりこんだのである。かれらはミッションの真っ最中、ジャイアント・モンスターや小中ボスと激しく戦っているさなかに正体をあらわした。いくつものパーティで、パーティ・メンバー同士がモンスターそっちのけでバトルをはじめ、いくつものパーティが潰滅してしまった。
白い冒険者たちは、ラスボス・デュオニスとの戦いのまえに、スパイ達をすべて倒すか、追放することができたが、犠牲は大きかった。ミッションを続行可能な仲間であらためてパーティを編成しなおしたが、9つのパーティしか編成できなかった。
冒険者たちはデュオニスの使い魔や中ボスたちの抵抗を排除しながら、デュオニスとの最後の決戦に臨んだ。しかし人数不足がたたり、デュオニスの打倒は成功せず、九つのパーティはひとつのこらず潰滅した。多くの仲間が死ぬかひどいケガを負い、生き残ったものたちはケガ人を抱えて必死の思いで逃亡した。
生き残った仲間のほとんどは、「冒険者」をやめてNPCになってしまった。いま、町外れの村々で見かける農夫や木こり、羊飼い、鍛冶屋、商人の中にはこの時の仲間が何人か混じっている。
しかし私の場合、学院で修行している間に、家業は弟が継ぎ、もはや割り込む余地はなくなってしまった。行きにかけた3倍の時間をかけてのろのろとシラクスの町に舞い戻り、学院の師匠や院生の同期たちに助けられながら、抜け殻のようにすごした。
シナリオも後半にはいると、パーティは学院にもどることなく次々とあらたなクエストをこなし、冒険者は最後のレベルアップにいそしむ。私が身につけたスキルや呪文の中には、学院の教授たちも知らないようなものがいくつもあり、修羅場をくぐったから、各クラスの連携についても実践的な知識がある。学院の恩師たちは院生に知識や経験をつたえるアルバイトをあてがってくれ、かろうじて糊口をすすぐこととなった。
セレーネー・カリエイスと出会ったのは、このような状況のときであった。
※戦士クラス
◯ウォーリアー:鍛え上げた強靭な肉体を武器として最前線で戦う。
使用武器:
・ブレード(両腕で振り回す大型の剣)
・ソード(片手であやつる細身の件)とシールド(盾)のセット
・アックス(戦闘用の大型の斧)
・メイス(戦闘用の大型のトンカチ)
◯チェイサー:超人的な瞬発力で、反撃する余地を与えずに敵を倒す
使用武器:
・長弓(敵の攻撃がとどかない遠方からのアウトレンジ攻撃)
・ボウガン(強烈な貫通力で、敵のヨロイ・盾・シールドを撃ち抜く)
・ダガー(暗殺者の友人である鋭い短剣。投げてよし、刺してよし。)
◯ウィザード:魔法使い。強い精神から生み出される魔法の力で敵をねじ伏せる
使用武器:魔法を発動する触媒としての杖。
このクラスは、火・水・地・風・雷のどの属性の呪文を充実させていくかの選択が重要。
※魔道士クラス
◯アルティスト
使用武器:
・のど。味方をはげまして体力を回復させる歌声の力を生み出す重要な武器である。
・アウロス(指で穴をふさいで音程を変更する管楽器)味方の精神力を回復する音楽を奏でる。
・バンパイプ(長さの異なる管を吹き分けて音程を変更する管楽器)味方の精神力を回復する音楽を奏でる。
・ライアー(竪琴)弾き語りにより、味方の体力と精神力を同時に回復。
・キターラ(ギターの祖先)これも弾き語りにより味方の精神力と体力を回復。
・スティック。地面などにすばやく敵や味方の肖像画を描き、敵にダメージをあたえる「黒呪い」や味方を回復させる「白呪い」をかける。
・指。粘土ですばやく敵や味方の塑像を作成し、「白呪い」や「黒呪い」をかける。
◯賢者
使用武器:「叡智の書」
アルティストが、失われたHPやMPを「回復」するのに対し、賢者は5%、10%、20~40%と、その総額を増やす。
レベルアップした後で使えるようになる呪文やスキルを現在のレベルで使えるようにさせる。
あるいは賢者のサポートがあるときのみ特別に使える呪文・スキルなどもある。