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エピソード33:血の絹の捕獲

ドラゴンズ・ライズの谷間に、ドラゴナイト兵の咆哮、魔術の唸り、元素力の激突が轟き渡っていた。


俺──ロクジョウは空中に浮遊し、ブラッドウィングを全開に広げ、オーラを紅蓮の嵐のように噴き上げていた。視線の先には、五鱗衆の残り三匹。ドラヴィット、ドラゴン、ドララー。彼らの巨躯は鱗と甲冑に覆われ、砕けた地表に巨大な影を落とす。先のドラゴナイトたちを遥かに凌ぐ速さと力、精鋭の名に相応しい完璧な連携──。


(再結集はさせん……!)


俺は息の下で呟く。彼らの合体エネルギーが肌を刺す。風が血翼を叩き、戦火の灰と瓦礫を運んでくる。各羽ばたきで空に淡い紅の波紋が広がり、速さと優美、殺意が一体となった動きだ。


最初に左から仕掛けてきたのはドララー。爪を伸ばし、翼を刃のごとく振り抜く。俺は空中で体を捻り、翼から血を溢れさせ、鋭く筋肉質な糸を形成。鞭のように射出してドララーの爪に巻き付き、空中攻撃を封じた。ドララーの咆哮が雲を震わせる──血糸が硬化し、胴体、脚、翼を檻のように絡め取る。


「悪くない……な」ドララーが唸り、激しく暴れる。だが血糸は適応し、動きに合わせて締め上げ、どんな抵抗も封じる。


俺は手を振るい、さらに血糸の層を織りなす。網のごとく射出され、尾を絡め取り、体全体に固定。ドララーは抗うが、糸は生き物のように反応し、数秒で完全拘束。空中に吊り下げられた。


休息する間もなく、上空からドラヴィットが急降下。翼に電撃を纏い、鱗に火花が散る。俺は目を細める。「躊躇は許されん」


両手を広げ、血糸を掃掠状に放つ。無数の紅い雷のごとき糸が空中で複雑な文様を織りなし、ドラヴィットの爪を絡め、翼を捕らえる。精鋭の生の速さが、初めて俺の新技に足を取られた。


糸はさらに締まり、ドラヴィットの暴れに動的に調整。俺の制御は完璧──オーラで強化された各糸が敵の力と環境に応じ、ドラヴィットを俺の中央位置へ引き寄せる。ドラヴィットが怒りの咆哮を上げ、体から能量が迸るが、血糸は耐え抜き、安全に拘束した。


三人目のドラゴンが上空を旋回、同志の捕縛を観察。燃える空に鱗が輝き、翼打が凄まじい力を放つ。俺は待たず、血糸を放射状に連射──紅の嵐が広がり、多角からドラゴンを迎撃。


ドラゴンが対抗、腐食火炎を吐くが、血糸は再び適応。俺周囲に防護障壁を織りなし、炎を谷底へ無害に逸らす。俺は前進、血糸で爪と脚を締め上げ、巨躯を地へ激突させた。ドラゴンが抵抗するが、圧縮糸は揺るがず。


岩高原に激突したドラゴンへ、追加糸を複雑な格子に織り込み、全身を封じる。先の捕縛とは異なり──単なる拘束ではなく、空中移動牢獄。物理・元素攻撃に耐え、破壊不能。ドラゴンの咆哮が戦場に響くが、血糸は微動だにしない。


遠くのドラゴナイトたちが動揺を露わにする。五鱗衆の三匹が、首魁ドラゴの直接介入なく無力化されたのだ。残兵は編隊を維持できず、ホルモリア軍に失地回復の隙を与える。


一方、谷底ではウルモリカが精密に動いていた。ホルモリアの治療師たちを呼び、魔術的手勢と的確命令で指揮。負傷兵を空中浮上させ、修復魔術で即時治療、再配置へ。癒やされた各単位が軍の結束を強め、戦況を逆転し始める。


「前線維持せよ!」ウルモリカの声が魔力増幅で場を支配。「ドラゴナイトに勢いを取り戻させるな。支援、防衛、治療に集中──力だけでなく策で潮流を変えろ」


治療師たちは優雅に効率的に動く。負傷兵が幽霊のごとく浮上、オーラ手の輝きで傷が瞬時に閉じる。魔矢・火が空中中和、兵士の体力回復──容赦ない反撃が可能に。ドラゴナイト空部が側面を試みても、魔術と軍の同期が阻む。


俺は高空で血糸構築を継続。五鱗衆各々を戦場特定点に固定、脱走・妨害を封じる。糸は物理耐性、火氷耐性、爪牙適応──完璧な牢。


「ブラッドシルク……完成だ」俺は呟き、場を見渡す。集中極限、オーラが紅波を放つ。体に負担がかかるが、戦略優位がそれを上回る。ドラゴナイトの生力も、三精鋭無力化と残軍士気低下で無意味に。


下方、エウフィンの声が魔眼レンズ経由で響く。「ロクジョウ、成功だ! 精鋭確保! 残存封じ込めに集中!」


俺は微頷き、糸で捕虜周囲に柔軟境界を形成。ドララー、ドラヴィット、ドラゴンを堅実に、過剰負担なく拘束。血糸は牢かつ網、耐久力無限。


五鱗衆部分無力で、ホルモリア軍が戦略進撃。失地奪還、敵火回避。ウルモリカ治療師が速帰還を保証、勢い維持。


ドラゴナイト王国からも配下動揺──精鋭が紅糸に絡まる姿に混乱。兵が躊躇、突撃か再集結か迷走。士気転換明らか、俺の血糸は武器かつ心理兵器、恐怖と迷いを植え付ける。


俺は戦場上空に浮遊、血翼安定──疲労の中。捕虜ドラゴナイト吊り下げられ、徒労の咆哮。谷下見渡す──ホ軍、治療師、俺構築の合力が戦いをホルモリア優位へ不可逆転に。


「今だ」俺は呟く。「再編成。残存は降伏か封じ込め。混沌に慈悲なし、制御のみ」


微動で血糸締め上げ──柔軟対応しつつ強化。ドララー、ドラヴィット、ドラゴン空しく抗う──知恵と精密実行で巨力を無力化。戦場が混沌戦から統制精密へ変貌、俺の技量と戦略の証。


谷上空、夕陽が沈み紅雲渦巻き、長影を戦場に落とす。五鱗衆浮遊拘束、残ドラゴナイト空覇権崩壊。ホルモリア軍治療復活戦略位置で、次段階──ドラゴ本戦へ備え。


俺はゆっくり息を吐き、翼を僅か収める。血糸が潮流変えたが、戦未完。王国迫り、首魁在り、空危険残る。


ウルモリカへ視線──冷静不屈に治療師指揮。「これ……必要だった」俺。「だが始まりだ」


彼女頷き、目鋭く。「精鋭捕縛成功、ロクジョウ。だが封じ込め、策、最終突入を考慮せよ。戦場は流動──一誤、全損」


俺指を曲げ、血翼微燃。「分かる。血糸は進化する。それで勝利を掴む」


下方、ホルモリア軍再起、自信回復、数増強。ドラゴナイト迷走、動揺士気低下。かつての力嵐空が、今、俺の制御・精密、新秩序の幕開けを証す。



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