エピソード14: 無人の村?
「どこまで行くの?」
あくびをしているヴェン・ダイゴの方を見た。
「そんなに遠くないよ。この街のすぐ西だ」
ぼくは決意と興奮を胸に、前を見据えた。
これは面白くなる。きっと、二人にとっても。
ファーリスから遠ざかるように飛んでいると、足跡のある森が目に入った。
あそこには文明があるはずだ。
ぼくは高度を下げ、ヴェンとマーベル・タキシンもそれに続いた。
ぼくたちはこの島に一人ずつ着地した。
辺りを見回すと、不自然なほど霧が深く、視界は悪い。けれど、進めないほどではなかった。
「ここはどこなんだ?」
マーベルが不安を感じているのがわかった。
ヴェンもマーベルも、二人とも落ち着かない様子だ。
無理もない。これは新しい経験になるんだから。
「おいで。歩こう」
二人はぼくの後に続いた。ぼくたちは、月明かりを全力で遮っているかのような、不気味な森の奥へと足を踏み入れた。
かなり気味が悪いけれど、ぼくたちが逃げ出すほどじゃない。
全然足りない。
パキッ。
ぼくはゆっくりと後ろを振り返った。誰もいない。
マーベルとヴェンは歩き続け、ぼくのすぐ隣まで来た。
ここは幽霊の街か何かなのか?
ぼくたちは霧の奥深くへと進んだ。
「あれ、道かな?」
ヴェンが指差した。
ぼくは一息ついた。
「マーベル、道が見えるように霧を晴らして」
マーベルがためらった。
その様子に、ぼくもヴェンも困惑して彼を見た。
「ぼく……できない。この霧は水でできているわけじゃないし、それが構成要素だとも……思えないんだ……」
ぼくは視線を落とした。
もし霧が自然なものじゃないなら……一体何がこれを作っているんだ?
ヴェンが手を挙げた。霧がその周りで渦を巻き、立ち上がる風の前の霞のように分かれた。
「ヴェン」
彼はすぐに反応し、ぼくに全神経を集中させて手を下ろした。
「君に、この霧を晴らしてほしい」
ヴェンは困惑した表情を浮かべた。
「俺が?」
「そう、君だ」
ヴェンはためらいながら溜息をついた。
「わかったよ……」
彼は霧の中に手を差し込み、数秒間かき回して、何かを感じ取った。
「これ……この霧は液体じゃない。砂埃だ」
彼に対して霧が動いたとき、何かが起きているとは思ったんだ!
ぼくは前を向いた。
「道を切り開いて」
ぼくたちは歩き始めた。ぼくが先頭に立ち、ヴェンが真ん中、マーベルが最後尾だ。
ヴェンは軽々と道を切り開いていった。
コツを掴んできたみたいだ。
こんなことをするのは初めてのはずだけど、集中力の高さからそれが伝わってくる。
ぼくたちは、さらに霧が濃くなった村にたどり着いた。
けれど、こんなの少しも難しくないはずだ。
「霧を晴らして」
ヴェンが震え始めた。
なぜだ?! そんなはずはない!!
ぼくは鋭い瞳で彼を睨みつけ、困惑と激しさを孕んだ表情になった。
「……誰かが、俺に押し返してくるんだ」
ぼくは瞳を赤く光らせ、彼に詰め寄った。
「誰かが君の技術に匹敵しているって言うのか?」
マーベルがぼくの肩を掴んだ。
「落ち着いて。この霧を作ったのは彼じゃない。彼より経験のある誰かだ」
ぼくは身を引いた。
彼の言う通りだ。感情的になりすぎた。
くそっ。
「……ねえ、ヴェン。きつく当たってごめん」
ヴェンは首を振った。
「いや、これが土魔法だと気づかなかった俺のせいだ。咄嗟に対応できなかった」
ぼくたちは互いに微笑み合い、真剣な表情で前を向いた。
「気のせいか……霧がさらに濃くなってないか?」
「そんな……」
一瞬にして、霧で前が全く見えなくなった。
「ヴェン! マーベル! ぼくのそばに!」
背中に二つの手を感じた。
けれど……大きい。
二人じゃない!!!
「誰だお前は!!!!」




