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プロローグ
ただ、毎日をそれなりに生きる。
多くの人は特に刺激のない日常の中を意味があるのかないのかわからない状態で過ごしている。
僕も他の人たちのように適当に生きてきた普通の人間であった。
勉強も運動もそれなりに友達関係も最低限で自分で言うのもなんだがつまらない人生を過ごしていた。
変化を嫌う僕にとってそれは好ましく思えることでもあり、別に気にすることでもなかった。
あの時までは……
「隆二くん、私と付き合ってください。」
学校の誰もいない教室
顔を赤く染める髪を後ろでまとめている茶髪の女の子
そして、彼女の目の前に立つ僕
この瞬間、初めて自分の人生が大きく動き始めたことを感じた。