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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
二章 学院編
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学院交流 2

学院交流当日、カンコーンと寝起きの合図である鐘が鳴って朝が始まる。ふぁーぁと欠伸をすると上から声がかかる。


「レテ君おはよぅ……」

「……シア、あんまり寝れてないとか?」

「あー、バレちゃった?ふぁーぁ……」


そう言いながらシアは降りてくる。洗面台を先に使うのは彼女、後に使うのは自分。自然とそんな決まりになった。


「武術学院の人と会うってそんなに無いからさ……ドキドキして眠れなくなっちゃって……」

(遠足前日の子供だな……)


まだ目を擦りながら眠そうなシアがそう言うと、ぼけーっとしたまま服を脱ぎ始める。

先にシアが使う理由の一つがこれだ。自分が先に使うと着替えをする時、男女混合が考えられていない部屋では着替えがスムーズに出来ない。自分は適当に済ませればいいのだが、女子はそうもいかないだろうと思っていた。

慌てて洗面台に向かって、顔を洗ってサッパリさせる。寝起きは今日もバッチリだ。


「シア〜?もう着替え終わったか?」

「……ぐぅ」

「終わったな、よし」

「待っ、待って!後上着!上着だけだからー!」


毎朝ではないがシアはどこか茶目っ気があるというか、ボケをかましてくる所がある。信頼されていると考えると良いのだが、他の男子だったらどうなるのだろうと考える。


「もう大丈夫!」

「ほーい!じゃ自分はいつも通りこっちで着替えて行くから先に行っててくれー」

「はーい」


そう言ってシアが先に食堂に向かう。それを見届けると、腕につけたブレスレットを再度見直す。


(これ……何でこの前渡す必要があったんだ?異界から侵攻があったからか?)


考えても仕方ないか、と頭を軽く振ると着替えて食堂に向かった。



「じゃあ今から交流会をするぞぉ!場所は試験をした時の戦闘場だぁ!それじゃ着いてきてくれぇ!」


教室でスイロウ先生が今日も元気に声を出す。はーい!と返事をするものの皆の声が若干眠そうである。シアと同じように眠れなかったクラスメイトが多いのかもしれない。

移動すること十分程度。全学年が集会で集まっていた広い場所へ到着した。


「それじゃあ整列しておいてくれぇ!」


うちは十人なので男女五対五で二列になると、最前で自分は座る。


「武術学院の子ってさ、あの大人しそうな子がいるんだよな!?」


ショウが後ろからSクラスの皆に問いかける。苦笑しながらクロウとニアが答える。


「大人しそうな子……ってどの子だよ。分からないぞ」

「うんうん!もしかしてどこかで一目惚れしてその子を探してるとか?特徴は?」


クロウは真っ当な意見だがニアに関してはどうして一目惚れと言って探そうとするのだろうか。不思議である。


「いや!?一目惚れとかじゃなくて……ほら!首席のちっちゃくて銀髪の子だよ!大人しいっていうか……クール?」

「……ナイダさん、か」


レンターが答えると、ミトロが同意するように頷くのが分かる。


「そうそう!あの子ほら、強そうな感じだったからさ。レテと戦ってるところ見てみたいなって!」

「えっ、ちょっ!?」


今までは蚊帳の外でぼんやりしていたはずなのにいきなり飛び火した。勢いよく後ろを振り向くとショウがキラキラした目でこちらを見てくる。


「だって武術学院の首席で何か隠してそうな感じだったじゃん!?レテは魔術、あっちは武術でいい感じに勝負できると思わない?」


そう言うが、割とその前例はある。思った通り、ファレスとフォレスの双子が突っ込む。


「……お姉ちゃんの蹴りを軽々避けて近接戦闘するレテ君にそれを求めるのは割と酷」

「うんうん。レテ君近接戦闘全然できるもんね。どこでそんなに習ったの?」

「父親が一応軍にいるから……」


そう誤魔化す。実際父親の戦う姿はほとんど見ていない。大体アグラタムとの経験だ。


「ほら!武術学院の人も来たから静かにするんだぞ」


先生がそう収めると、目の前を見ると確かに武術学院の服を着た人が来ていた。

その中から一人、女の子が出てくる。確か先ほど話題になっていた一年生首席のナイダさんだ。


「……レテ君、でいいのかな」

「へ?あ、はい」


いきなり話しかけられて、なし崩し的に学院交流がスタートした。

いつも読んでくださりありがとうございます!

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