一緒に魔物を討伐する者たち
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朝の光がマジックガラスから入ってきて、自分は瞼を開く。
「……ん……」
寝ぼけ眼を擦ると、横のベッドで同じように目を擦るシアがいた。
「おはよう……レテ君……」
「おはよう、シア……」
二段ベッドでないので、横を見ると姿が見える。慣れないベッドだが、寝心地はかなり良かった。
本当ならば二度寝したいところだが、そうもいかない。備え付けの洗面台へと向かうと、顔に水をかける。
パシャリ、とかかる冷たい水で眠気が遠ざかっていく。顔を拭くと、シアに声をかける。
「シアー?シアも顔洗おうよ」
「うん……。そうする……」
シアが寝ぼけ眼を未だに擦ったままこちらへ来ると、自分は自分の荷物から服を取り出して着替える。
「ぎゃー!冷たいっ!」
予想以上に彼女にとっては冷たかったようで、悲鳴が聞こえてくる。苦笑しながら声をかける。
「大丈夫?」
「うん!ちょっとびっくりしたけど目は覚めたから!……というわけで着替え終わった?そうしたらレテ君は部屋から退場!」
「わかった。先に行っているよ」
流石に婚約者とはいえ着替えを覗くわけにはいかない。自分は部屋を出ると、階段を降りて広間で時間を潰していた。
皆で朝ご飯を食べ終わった後、スイロウ先生がそのまま告げる。
「それじゃあ今から出発するぞぉ!準備はいいかぁ!?」
それに対して皆が頷くと、スイロウ先生が宿の扉を開く。
外へ出て、朝の寒気に震えながらかなり歩くと、大きな扉が見える。
「ご苦労様です。中央の学院の方で間違いないですか?」
「うむ!間違いない!」
そう言うと、門番さんは頷いて言葉を発する。
「では、こちらの方々とお願いします」
そう言って現れたのは人の良さそうな人達だ。五人グループなのだろう、仲良さげに話している。
「では、ここから三月末までよろしくお願いします。
自分がリーダーのベールと言います。困ったらまずは、自分に相談してくださいね」
笑顔でそう言ったのは、ダークブラウンの髪色を短く整えた緑の瞳の人だった。スイロウ先生が握手をすると、一つ質問をしてくる。
「皆さんは星詠みはご存知ですか?」
「そうですなぁ!ウチのクラスの子は何人か知っていますぞぉ!」
「じゃあサブリーダーは最後で……。次、リゼット」
皆で首を傾げながらも、はいはい!と自分と同じぐらいの身長の女の人が出てきた。
「私リゼットって言うのね!もう興味津々!貴方達がどんな連携するのか気になって仕方がないのね!あ、罠に関してなら誰にも負けないのね!頼りにしてねー!」
「よ、よろしくお願いします」
元気すぎる茶色の髪の毛をポニーテールにして同じく茶色の瞳をした少女は皆にぶんぶんと握手を求めては、ひとりひとりしていく。
「リゼット、あんまり困らせないようにね。だけれど罠に関する知識はピカイチだ。……次、カイ。頼んだよ」
ベールが苦笑しながら言うと、華奢な一人の男性が出てくる。
「ご紹介に預かりました、カイと申します。
……ふむ。皆様魔術に精通しておりますね。何よりも目が素晴らしい。学院生と聞いて怯えた目をするのかと思えば、その目は戦士の目だ。これからよろしくお願いしますよ」
ブロンド色の髪をウルフヘアーにして、水色の瞳を持つ大人の人が丁寧に挨拶をし、お辞儀をする。皆でお辞儀をすると、その様子に彼が微笑む。
「ウチで魔術に関することを聞くなら彼以上の適役はいないよ。次、ガゼル」
そう言うと、高い身長と筋肉質の男性が出てくる。
「うおおお!これが未来の若者!いいな!素晴らしい!おっと失礼!俺はガゼルっていうんだ!力なら誰にも負けねえ!困ったら俺を盾にしてくれよな!」
「た、盾にしないよう努力します!」
ニアがそう言うと、ガゼルと呼ばれた男性は突然うおお!と泣き始めた。
「おおおお!ベール、聞いたか!聞いたか今のを!いい子たちだ!いい子たちだぞおおおお!!!」
「すまない、ガゼルは仲間想いなんだが、涙もろいんだ。見た目通り頑丈だから、そんじょそこらの魔物では傷つかない。本当にいざとなったら盾になってくれるよ」
そう言うと、最後に一人の女性が出てくる。プラチナブロンドのロングヘアーを流しながら、深いサファイアブルーの瞳。
そして微笑むと、スイロウ先生に聞く。
「不躾な質問をお許しください。貴方達の中で一番強いのはどの子かしら?」
「この子だなぁ!異論のある子は?」
そう言って自分が連れ出されると、シアが元気良く言う。
「異論なーし!」
「貴方なのね。握手をしてもらえるかしら?」
微笑みながら握手をすると、明らかに異質な魔力を感じて瞬間的に魔力を込めて返す。
「あら!……ふふ、ごめんなさいね。試すような事をして」
「えっ、何があったんだレテ?」
ショウに聞かれて、自分は警戒を解かないまま答える。
「今、身体に影響のない程度ですが……異質な魔力を流し込もうとしましたね。恐らく、力を制御するタイプの」
「あらあら!そこまでわかっちゃうのね!……あいたっ!」
そこまで話したところで、ベールが彼女の頭をガン!とぶん殴る。
「何やってるんだ!その悪癖、本当にやめろといっただろう!……全く、自己紹介を最後に回したらこれか」
「ご、ごめんなさいね……。では改めて自己紹介を。
私の名前はアストライア。よろしくね」
「あ、アストライア!?」
自分が驚く。同じように驚くのはニアとミトロ、レンター、フォレスだ。他の皆は頭にはてなマークを浮かべている。
「え、なに??その……有名なの?」
ファレスがフォレスに問いかけると、フォレスは答える。
「昨日、均衡座の話、したよね」
「うん!した!」
「……均衡座、別名天秤座を抱えている女神の名前。それがアストライア」
「えぇーっ!?女神様!?」
ファレスが驚くと、アストライアは微笑む。
「星詠みの家系に生まれたから、名付けられただけよ。でも凄いのね。皆博識!」
驚かれると、今度は魔力を込めずに握手をされた。
「ふふ、貴方が一番強いと言われるの、わかる気がするわ。これをその年齢で返すのも、私がその魔力に飲み込まれそうになったのも、初めてだもの」
そう言われても、何もわからない。するとベールが再びゴン!と彼女の頭を叩いてから説明する。
「すまないね。本当に。
……お詫びに彼女の特異能力を話そう。
彼女の特異能力は『均等化』。アストライアの名前の通り、自分と相手を魔力で均等にするんだ。魔物相手でも人間相手でも強力だよ。何せ、どんな立場でも魔力上は対等にしてしまうんだから」
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