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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
四章 黄昏のステラ
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蒼光と均衡座

大浴場。一階の一画を独占し、上にはマジックガラスが貼られている特殊な風呂場だ。


「うわー!すげー!」

「……これは、予想以上だな」


ショウとレンターが大浴場に入ると、驚きの声を上げる。


「これは……びっくりだね〜」

「まさか壁まで星空とは……」


ダイナも珍しくキョロキョロと見渡しており、クロウが素直な感想を述べる。

自分も好奇心から周りを見渡す。

壁は白色ながら、色とりどりの星で飾られていた。それぞれの星についても簡易解説がされており、子供でも分かりやすいようになっていた。


「っと、とりあえず身体を綺麗にするか」


クロウの一言で現実に戻ると、それぞれが時間をかけて身体を洗う。


一通り洗ったあと、浴槽に浸かりながら上を見上げる。


「マジで見えるんだ……」


自分がそう呟くと、皆も上を見上げる。


「綺麗な星だね〜」

「……ダイナに同感だ。こんなに綺麗な星は、流石に首都では見られない」

「だよね?レンターわかってる〜!」


二人が感想を言い合うと、ショウが自分の元へとお湯を掻き分けてやってくる。


「なぁレテ!星詠み的にはどうなんだ?」

「えっ!?星詠み的にはって……流石に道具がないぞ!?」


流石にここから星詠みをするには、驚異的な肉眼か星詠み盤が必要だ。そう思って言うと、クロウが何か物を持ってやってくる。


「これ、防水仕様の星詠み盤だそうだ」

「あぁ、脱衣場に何か置いてあると思ったら星詠み盤だったのか……。確かに、無いと星詠み出来ないもんな……」


そうでなければ、ポスターにも『大浴場で星詠み!』なんて書けるわけがなかった。

自分が丁寧にそれを受け取って、空に向けると皆が集まってくる。


「んーと……。ああ、肉眼でも見えていた青いやつ星が『蒼光』だな。蒼光は星詠みをする人が基準にする星って言われていて、説明にもそう書いてある。丁度今日の位置だと……。んん……えっ……?」

「……どうした、レテ」


レンターが聞いてくる。百聞は一見にしかず。彼に見てくれ、というように星詠み盤を渡すと彼が空に向ける。


「そうだな、蒼光だ。……これは、うーん……確かにそうだな……」

「なぁわからねえよ……。その蒼光が今いる位置だとどうなんだ?」  


ショウが痺れを切らして聞いてくるので、レンターを見る。


「……今日の蒼光の位置は、『凶荒』と呼ばれる位置だ。簡単に言うと、大きな試練が襲いかかる、もしくは避けられない災厄が襲ってくるという意味がある」

「マジ!?……うわー!本当だ!凶荒って書いてある……」


ショウがレンターから星詠み盤を貰って覗くと、彼も説明を読んだらしい。


「でも〜占いでしょ〜?確実な未来予知ではないんだよね〜?」

「確かにこの蒼光の位置だけならダイナの言うとおりなんだが……。ショウ、ダイナに貸してあげてくれ」

「ん?おう!」


彼が渡すと、ダイナが空を見上げる。


「そこから自分の方に……そうそう、左を見ると星座があるだろ?これ均衡座、別名では天秤座って言うんだけどさ。コレの位置が問題なんだよ」

「ん〜どういうこと……?」

「俺もさっぱりだ……」


ダイナとクロウが声を上げると、レンターが説明を引き継ぐ。

  

「均衡座は文字通り、星が横一直線に並んでその下に一つ大きな星がある星座だ。これが真横だから均衡、と呼ばれるわけだ。

しかし蒼光がこの均衡座の右上に位置している。これは、均衡が崩れる前兆としてはかなりの信頼度を持つものなんだ」

「ようやくわかった気がするぜ。つまり、蒼光の凶荒だけなら問題なかったが、それが均衡座に乗っかっているから、それが現実に起こる可能性が高い……ってことだな?」

「その通りだ、ショウ」


レンターの説明で、ショウが納得する。最後にクロウに星詠み盤を渡して、彼にも確認してもらう。

 

「あー!本当だ……。均衡座には均衡を保つ象徴って書かれてるな……。ってことはこれ、ガチでやばいやつなのか……」

「そうなる。ただ、あくまでも星詠みの結果でしかないから、確実に起こるとは言えない。

星詠みで大事なのは読み取った事象に『慌てふためく』ことではなく、『来るかもしれないと構える』事だから。簡単に言うと用心しとけってことだね」


そう言っているうちに、全員ぽかぽかになって来る。そろそろ上がろう〜と顔が赤くなっているダイナに賛成して上がる。


着替え終わり、脱衣場の外の談話室へと向かうと女子組が話し合っていた。


「早いな……こういうの、女子の方が長いんじゃなかったか……?」

「違うよー!君たちが長すぎるの!」


自分が言うと、リアーが反論してくる。時計を指差すと、実に一時間半入っていたことになる。


「……そりゃダイナも茹だるわ」 

「でしょ!……で、今皆でニアちゃんの見解聞きながら雑談してたところ!」


それは興味がある。輪に入ると、ニアが真剣な表情で星詠み盤を指でなぞっていた。


「ガチだな……」

「凄いよね!こっちではあんまり良くない結果が出たんだけど……レテ君の方ではどうだった?」


シアが尋ねてくるので、自分が風呂場で説明したことを答える。


「あー、やっぱりこっちと同じ見解なんだ!今、ニアちゃんがどう心構えしたらいいかを詠んでるところ!」


どうやら女子組も蒼光が凶荒の位置で均衡座に乗ることでヤバイ、となったらしい。

少しして、頷いて顔を上げたニアが言う。


「うん!わかった!」

「おっ、それでどうなんだ?」


ショウが食いつくと、ニアが笑顔で答える。


「集団行動すること!だね!」

「なるほどね!じゃあ明日は全員はぐれないようにしよーっ!」


元気なファレスの言葉に全員で同意すると、そのまま星詠みで雑談を続けた。


毎日19時に投稿を心がけて頑張っています!

面白い!続きが気になる!という方は明日も読みに来てくれると嬉しいです!

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