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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
四章 黄昏のステラ
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各々の事情

スイロウ先生との手合わせが終わって、時間もまだまだ授業までたっぷりある。

  

「それじゃあ先生は職員室にいるからなぁ!何かあったら声をかけてくれなぁ!」


そう言ってスイロウ先生は戻っていった。

さてどうしようか、と思ったときにシアが提案する。


「教室いこ!教室!皆いると思う!」

「いてもおかしくないな……」


全員いてもおかしくないな、と思いつつ二人で教室へと足を向けた。

廊下は長期休み明けの学院生で溢れかえっており、進むのにも一苦労だ。特にBクラス辺りが交友関係が良さそうで、グループがあっちこっちにできていた。

何とか二人でSクラスの教室まで辿り着くと、扉を開く。


「……お?」


そう反応したのはクロウだった。クロウは椅子に座っており、周りにはニアとファレス、フォレス、レンターがいた。


「あ!レテ君!シアちゃん!やっほー!」

「ニアちゃん!やっほー!」


二人の元気な挨拶を尻目に微笑むと、クロウの机の元まで向かう。


「皆元気そうでよかった。……他のみんなはまだ部屋かな」

「だと思う。俺はレンターが先に来てて、荷物突っ込んだだけだから楽だったけど……」

「……まぁ、ダイナとショウのところはそういうことだろう」


どちらが整理整頓できないのか。案外、ダイナが出来なさそうな気もする。

というより、ニアがここにいるというのにミトロがいないのは何故だろうか。


「ニアちゃん、ミトロちゃんはー?」


シアが尋ねると、ニアが苦笑しながら答える。


「……図書室。珍しい本、借りて読むんだって」

「「あぁー……」」


自分とシアがシンクロする。そうだった、ミトロはそういう人だったと思い出す。

となると、レンターもその類の人だが……。


「……いや、俺も思ったが初日ぐらいはゆっくりしようと思い直した」

「つまりミトロはゆっくりしないタイプだったか。あとで色々聞いておこう……」

「待て。本人には言うなよ?決して俺はミトロが急いでるとは思っていない」


珍しく早口になるレンターにどっと笑いが起きる。それが照れ臭かったのか、彼は頭をポリポリと掻く。


「ファレスとフォレスはどうだったんだ?ラクザ、まだ復興中なんでしょ?」


自分が話題転換のために二人に話を振ると、二人は頷く。


「まだまだ復興中!でもだいぶ元通りになってきたよー!」

「……壊れた建物も、結構な数直ってる。今度、皆で観光に来て。歓迎する」


他でもない当主の子供がそういうのだから、かなり直ったのだろう。良かった、と思っていたところ、フォレスが「あっ」と声を上げる。


「そういえば、レテ君にお父さんから言伝を預かっていた」

「言伝を?」 

「うん。『もしよかったら、今度は息抜きに鍛錬に付き合ってくれないか』って。……お父さんにそう言われるって相当だけど、レテ君本当に何者?」

「あはは……。ほらまぁ、フードの件があるからさ……」


まさかアグラタムの師だからという理由は流石に言えない。というか、アグラタムといえば……。


「リアーは?」

「……わかんない!」


一泊おいてファレスが答える。それに皆が同意したあたり、本気でわからないのだろう。


「リアーは短期留学だもんな、一人部屋だからゆっくりしてるか……」


……或いは、まだイシュリア城か。

溜まった仕事に忙殺されている可能性もゼロではない彼女に心の中で手を合わせておく。


「それよりさっき、スイロウ先生と外歩いてなかった?」 

「ん?ああ、訓練にね」  


ニアが思い出したように言うので、自分も自然に答える。それを聞いて、ニアがへえー!と感嘆の声を上げる。


「訓練!?どんな訓練!?」

「そこそこ本気を出したスイロウ先生との勝負……かな」

「えー!ずるい!見たかった!それで!?どっちが勝ったの!?」


興味津々のニアに、自分は冷静に答える。


「自分の勝ちだね。スイロウ先生は本気で戦えないから……」

「すごーい!でもでも、本気で戦えないのだったらレテ君も同じ条件下じゃない?」

「うーん、傍から見てたけどそうとも言いきれないかも。スイロウ先生が得意とする魔法は捉えた時点で殺しちゃうかもしれない、手加減がほぼ出来ない魔法なのに対して、レテ君のはまだ加減ができる顕現だから……」


シアがカバーに入ると、そっかー!とニアも納得する。


「うわー!遅れた!?遅れてないよね!?」

「あ!リアーちゃん!やっほー!」


雑談をしていると、リアーが転がり込んでくる。ニアが元気に挨拶をして、他の皆も来たか、というように手を振る。


「まだまだ時間あるぞー!これで後はショウとダイナとミトロだな」

「良かったー!実は前日まで中央で学んだことのレポート書いてて寝不足で……」

(あ、これ忙殺されてたパターンだ……)


リアーの言い訳に対して、自分は察する。

まぁあれだけの期間仕事をサボれば、無論そうなるだろう。


「うぅ、眠い……寝てていい?」

「いいんじゃないか?授業の時間まではまだあるし」


クロウがフォローを入れると、「お言葉に甘えてー……」と机に突っ伏してスヤスヤと寝始めた。


「どれだけあったんだ、レポート……」

「……まぁほら。そこはリアー個人の問題だから」


クロウの驚くような声に対して、自分はそっとフォローを入れた。

毎日19時に投稿を心がけて頑張っています!

面白い!続きが気になる!という方は明日も読みに来てくれると嬉しいです!

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