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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
四章 黄昏のステラ
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遠征の知らせ

あれから数日が過ぎた。ネイビアからは何も言われなかったが、言いがかりがないところを見るとリアーが誤解を正しく解いたと思っていいだろう。


「そういえば次の時間、なるべく全員教室にいるように……ってスイロウ先生が念を押していたな。何かあるのかな」


クロウがふとそんな事を言うものだから、自分とシアの机の周りに集まった皆が頷く。


「なんか……重大発表って感じでしたよね」

 

ミトロが感想を述べると、ニアとシアがそれに同意する。

Sクラスの皆は基本的に教室の中で駄弁っているが、その上で釘を刺さないといけないような重要な事を言うと思っていいだろう。


「あ、時間だよ!」 


リアーが時計を見て言うと皆が自分の席へと戻る。

授業の開始を告げる鐘の音が音が鳴ると同時に、スイロウ先生が入ってくる。


「よぉし!皆いるかぁ?……皆いるなぁ!よかったよかった!」


そんなに心配されるようなことだろうか。首を傾げると、スイロウ先生は言う。


「簡単に言う!一月の終わりから三月の終わりまで、皆でナコク方面に魔物退治の遠征に行くぞぉ!」


その言葉に自分はぽかん、とする。今が十一月の終わりだから……。


「……二ヶ月後ってことですよね。大体ですが」

「そうだレンター君!これから二ヶ月間は、魔物退治の授業を集中的に行う!ナコクに行く費用や宿は確保済み!その他諸々についても話そう!」


そう言い、スイロウ先生はナコク遠征の理由を話し始める。

最近魔物が活発化しているが、比較的安全に魔物を倒せるのが今ナコクしかないというのが一つであった。

セッカは冬の寒さが段違いで、現地民でない自分たちは動けない。

ノボリビは逆に多数の魔物が最近活動していて、危険だという。

ラクザは復興途中だと言うのと、水の魔物と戦う為には船が必要で人数分用意できない。

となると、消去法でナコクとなる。


次に魔物退治の必要性であるが、本来ならばもっと上級学年でやるらしい。具体的には、五年生と六年生だ。

だが今年はジェンス総長からの命令で、二年生のSクラス。三年生はAクラスとSクラス。四年生はBクラス以上。五年生と六年生は全クラスが遠征へと行くことになった。


「魔物が増えてきているからなぁ……。先生個人としては皆を危険な場所へと送り込むのは反対だぁ!けれど、同時に魔物の対処法を実戦で学んでおかないといけないとも思っていてなぁ……複雑だぁ」


スイロウ個人としては行かせたくないが、先生としては行かせたい。そんな所だろうか。


「後で持っていくものや詳細を記したしおりを渡すから、それを確認してくれぇ。

最後に一番重要な事だが、怖かったら学院に残ってもらっても構わない!流石に五年生と六年生はそうはいかないが、四年生以下は怖かったら残っていいと通達されているからなぁ!怖かったら、遠慮なく言ってくれぇ!」


なるほど、あくまでも強制である上級学年以外は生徒に最終判断を任せるわけだ。


「遅くなったが、今から魔物退治の授業を始めるぞぉ!教科書の……」


スイロウ先生がそう言って、授業が始まった。



風呂上がり。自分とシアはクラスメイトの皆を部屋に入れて話し合いをしていた。

事の発端は、先程の授業の後の休憩タイムである。


「これ、怖い人は素直に怖いって言えないよね〜……」


ダイナが全く怖くなさそうに呟くと、シアが反応する。


「なら、皆で話し合いしようよ!」

「話し合い?」

「そ!あの時みたいに!」


リアーがこてん、と頭を倒しつつ悩んでいるがアレもフリだろう。


あの時……タルタロス侵攻について考えたときだ。


「えーっとシアちゃん?あの時がどの時か分からないけど、私も混ざっていいの?」

「勿論だよ!リアーちゃんもおいで!風呂上がり、私とレテ君の部屋に集合だよ!」


そんなことがあり、自分とシアの部屋に十一人でぎゅうぎゅう詰めで話し合っている。


「じゃあ皆顔を伏せてくれ。怖い人、正直に手を上げてほしい」


自分がそう言うと、皆顔を伏せる。が、誰も手を上げない。


「……よし、顔を上げてくれ」


皆が顔を上げるのを確認すると、自分は告げる。


「誰も手を上げていなかった。全員参加でよさそうだ」

「まぁ……あの時と比べれば、な」


クロウが頷きながら言うと、リアーが我慢の限界と言った感じで聞いてくる。


「皆あの時って言ってるけど、何があったの!?そんな危険なこと何かあったっけ!?」

(まぁ聞かないといけないよな……)


リアーの正体を知っている自分は分かっているが、皆は知らない。だからこの問いかけをする必要があったわけだ。

皆がチラチラとこちらを見てくるので、自分?というように人差し指で自分の顔を指す。


「最終的にレテ君が良ければって感じだよね!」

「……あの時の総監督、私達の中ではレテ君だから」


ファレスとフォレスが言う。それに皆が同意すると、自分はリアーに問いかける。


「これから話す事、絶対秘密にできるって誓うことが出来る?」

「うん!誓うよ!」


元気に言うリアーに、自分は苦笑いしながら話した。


「……実は、自分たちSクラスってタルタロスの侵攻に参加してたんだよね……」


そんな、芝居のような言葉を放ちながら。


毎日19時に投稿を心がけて頑張っています!

面白い!続きが気になる!という方は明日も読みに来てくれると嬉しいです!

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