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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
二章 学院編
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男子組のお出かけ

授業が始まって既に三ヶ月。十二月に突入した。

流石に三ヶ月もあれば皆仲良くなり、話す機会も増え、砕けた感じで話をしていた。

とある日、男子組……というよりも、クラスを纏める仲介役のようなクロウが言い出す。


「なぁなぁ、皆お小遣いあったらさ、次の休みの日ちょっと街に出てみないか?」


ふむ、と考える。元々自分が学院に来たのは外を見るためだ。ならば自分はぜひ行くべきだろう。


「自分は行かせてもらうよ」

「おお!レテ来てくれるか!ダイナ、ショウ、レンターはどうだ?」


ダイナは相変わらず掴みどころがなく、ふわふわしている。しかしまるー、と腕を作ったことで肯定する。


「俺も行く!最近街に出かけなかったし、皆と一緒に行くと楽しそうだ!」

「……財布を忘れるなよ、ショウ。自分も行くよ、クロウ」


ショウとレンターは同室である。その為ドジっ子なショウをいつもレンターが支えているらしい。難儀な事だ。


「じゃ、次の休みの日。んー……校門の前でどうだ?」


皆が頷くと、丁度授業が始まるチャイムが鳴る。

慌てて皆で席に着くと、次の休みの日の事を考えるのだった。



休日が訪れた。皆寒そうな格好をしている。この時期だから仕方ない。かくいう自分も厚着だ。


「……誰か行きたいところあるか?」

「ノープランかよっ!」


クロウの言葉にショウが突っ込む。まさかのノープラン。それはそれで良い休日だ。


「ならさ〜服屋とか、魔道具の店とかさ〜普段見られないところに行きたいな〜」


ダイナがそう提案すると、皆がこくりと頷く。


「じゃ、まずは魔道具の店から行くか!」


クロウの一声によって、一行は魔道具の店へと歩き出した。

魔道具とは、言わば魔法が込められた道具である。

一度きりのものもあれば、魔力を込めることで長持ちするものもある。戦闘用、補助用、生活用など欠かせないものの一つだ。


「うーーーん。この爆発するやつ高いなあ……」

「……どこで使うんだ、レテ」


じーっと見てふと漏らした言葉に呆れたような口調でクロウが問いかける。


「え?いや、この前結界張れたからさ。どのぐらいなら耐えられるかなーって」

「発想がすごいねぇ〜」


最早レテの実力に関してはクラスでも一目置かれていた。

何をやらせても、何を答えさせてもスルスルと言葉が、行動が出てくるのだ。彼が地下図書館でちょくちょく本を借りては読んでいるのを知ってはいるが、果たしてその知識量はどれほどのものなのか。


「……レテ、お前これ部屋に設置したらどうだ?」


そう言ってレンターが見せてくれたのは魔力を込めることで疲労回復効果のある魔法具だった。


「なんでだ?」

「シアが気に入ってくれるだろう。お前に気を持ってくれるかもしれないぞ?」

「……いやぁ、興味無い……かな……」


あはは、と笑うとショウが突っかかる。


「えー!シアちゃん可愛いし、前コソコソ話してた時絶対気があるように見えたぞ!?そんな所にシアちゃんの為に買ってきた、なんて言ったらイチコロだぞ!」


何故恋愛方向に持っていくんだ、と考えながらふと考える。


(確かにシアは不安がっている事がちょくちょくあった。ならば買っていって、リラックスしてもらうか)


レテは基本的に本を読むか、食堂のオバチャンのところでお手伝いをしてコツコツお金を貯めていた。更には実家から心配だからとお金が割と送られてきたので財布的に問題はない。


「すみません、この魔道具を買いたいのですが」


そう言うと奥から老婆、おそらく店主が出てくる。


「おやおや、これは可愛らしい学生さんだね……リラックス効果のある魔法具だね、少しお高めだけど、大丈夫かい?」


そう言うと、大丈夫と答える前に他のみんなが演説しだす。

彼は一人だけ女性と相部屋で、彼女に向けてプレゼントをしてあげて、いい所を見せたいと言う。いや全く違う。プレゼントまでは合っているが恋愛とは全く違う。


「ほっほっほ!なるほどねぇ!オバチャンはね、そういう若い子の話が好きなんだよ。……そこの坊や、少し値引きしてあげるから彼女さんにプレゼントしてあげな」

「は、はい……」


ここまで来たら誤解を解くのも難しい。財布からお金を取り出して、払うとオバチャンはニコニコしながら自分たちが出て行くのを見ていた。


「やっぱりレテ、モテたいか」

「……いや?違う」

「その間が怪しいねえ〜」

「シアちゃんは美人さんだし相部屋だと更にドキドキしてそうだもんね!」


そんな感じで弄られながら、服屋へ向かう。

それぞれ気に入った服を買うと、既に夕方だった。


「ありゃ。魔道具の店と試着で結構時間食ったな。帰るか!」

「誘ってくれてありがとう、クロウ」


そう言うと皆がお礼を言う。するとクロウは照れたように顔を隠して手を振る。


「いやいや、こちらこそまさか全員付き合ってくれるとは思ってなかったよ。ありがとう!」


そう言って、和気あいあいと話しながら学園への帰り道を歩いていた。


(……シア)


彼女の不安が薄れるのなら、この魔道具は無駄ではないだろう。

ふと、何故突然シアの事が出てきたのか自分でも分からず、歩きながら考えた。


(……?)


しかし結論は出ず、まあいいかと思考を後回しにした。

いつも読んでくださりありがとうございます!

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