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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
四章 黄昏のステラ
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秘策のデメリット

スイロウ先生が近づいてくる。自分が何をやっているのかが気になったのだろう。

やっていることは、ただ風の球を生み出しては消す。それだけだ。


「……一体、どうやって……」


それに気づいた皆も、自分の周りに集まってくる。


「何やっ……えええ!?」


シアが質問しようとして、大声を上げる。

彼女の目線の先には、先程生み出したままの風の球があった。


「なんで……えっ!?どうやったのレテ君!?」

「ど、どうやったか……か……」


答えにくい。言霊という存在をどこまで信じてもらえるか。

シアや皆、スイロウ先生であれば信じてくれるだろう。ただ、信じてくれるからと言って納得するかは別物である。

どう回答するかと考えていると、意外にもレンターから助け舟が来た。


「……レテの事だ。自分たちにはまだ確定していない情報だから話せないんだろう」

「あー!たしかに!レテ君、そういうところある!」


ウンウン、と頷く皆。

肯定するように自分も頷くと、リアーが興味津々と言った感じで見てくる。


「ね!ね!どんな方法使ったの!?」

「いや、だから不確定な情報だから……」

「不確定でもいいから!ねっ!?いうだけタダだから!」


お願い!と手を合わせるリアーに対して、自分も考える。


(……ジェンス総長すら、言霊の存在を知らなかった。なら、リアー……イシュリア様としては、魔力が練れなくなった時の対処法を知っておきたいのか……)


そこまで考えて、小さく頷く。


「……わかった。ただ、これはジェンス総長に教えてもらったものだからなるべく秘密で頼む」

「任せて!これでも口は固いの!」


他の皆は、秘密にする必要あるか……?という顔で見ていたがシアがなるほど、という顔で頷く。流石シア、理解が早い。


「……自分が使っているのはあくまで魔力。ただ、空中や自然にある魔力をスクロールのように、引き出す形で使っているんだ。相対的に自分の魔力の負担は少なく済むし、今の自分はこれしか使えない」

「えー?じゃあその方法を皆使えばいいんじゃない?」


ダイナが聞いてくる。確かにそうだ。魔力が少なく済むならそれに越したことはない。

だが、これには明確なデメリットがある。


「この方法はあくまで魔力を借りる形だから、魔力がない場所では使えない。……じゃあ自分の魔力だけでやればいいって話だよな?ダメなんだよ。

……シア、水の球を生み出してくれるか?」

「へ?う、うん」


そう言うと、瞬時に水の球がシアの掌に浮かぶ。


「自分が今、シアと同じことをするから、見ていてくれ。

『風の球よ。ここに』」


そう言って風の球が自分の掌に浮かぶ。それを見てリアーが「あぁー……」と納得する。


「なるほどね、タイムラグ……もっというと、発動時間が遅くなるのね。それも、複雑なものならもっと。

更に、言葉を言う必要があると考えると、これもデメリットだわ。敵の目の前で『今からこの技で攻撃します』なんていう人がいるわけないから……」

「「「あぁ〜……」」」

「なるほどなぁ……」


スイロウ先生も含めて、皆納得したようだ。シアと同時に球を消すと、丁度時間の鐘が鳴った。


「お、休憩時間はおしまいだぁ!じゃあ次は誰だぁ!?」

「私戦いたーい!誰か相手して!」

「じゃあ俺がやろう!」 


リアーが立候補し、クロウが受けて立つようだ。


それを見ながら、自分はまた風の球を生み出しては消していた。

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