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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
四章 黄昏のステラ
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転校生

月曜日。筋肉痛も無事治り、皆でホームルームが始まる前に談話していた。


「今日だよな?転校生が来るの」


クロウが言うと、ウワサに詳しいニアがぴょこぴょこ跳ねながら言う。


「んー、転校生っていうか……短期留学?みたいな感じらしいよ!」

「へぇ~!じゃあ、今のうちに仲良くなっておいた方がいいんだね~」


ダイナがほんわかとして言うが、この時期に転校生、更に短期留学というのは気になる。


(……普通ならそのまま転校生として居残るはず。事情があるのか……?)


考えていると、ガラリと扉が開く。スイロウ先生が入ってくる前に皆が蜘蛛の子を散らすように自分の机から離れていく。


「よぉーし皆おはよう!既に噂になっているようだが、今日は転校生……まぁ、正確に言うと短期留学生を紹介するぞぉ!」


そう言うと、扉の外からピンク色の髪の毛をしたボブの子が入ってくる。


「初めましてっ!私、リアーって言います!得意なのは風属性の顕現系統です!

好きな物は……食べ物!睡眠!自由ですっ!よろしくお願いします!」


元気いっぱいに挨拶してぺこりとお辞儀をする彼女に、パチパチパチと拍手が起こる。


「リアーさんは地方の学院で学んでいたらしいのだが、その実力が高すぎる故に一旦留学という形でここに来たそうだぞぉ!ある程度の期間滞在して、遅くても来年には帰るそうだぁ!」


「来年……留学としては短いですね……」


ミトロがポツリと呟く。その言葉に先生が頷くと、いつも通りの元気な声で話す。


「そうだなぁ!だから居る間、皆と学んだり仲良くしたり、模擬戦なんかもして実力を高めあって欲しいなぁ!

特にレテなんて風属性の顕現系統が得意だからなぁ!是非学んでいって欲しい!」


確かに。自分と同じだ。そう思っていると、わぁ!と声が聞こえた。


「レテ君?もそうなんだね!お互い得意な分野だからこそ負けたくないねっ!」


「はは……お手柔らかに」


苦笑して流すと、スイロウ先生が彼女の為に追加したであろう机と椅子に座る。


「それじゃあ授業を始めるぞぉ!」



昼休み。食事、睡眠、自由が好きと豪語した彼女は確かにその通りだった。


「わーっ!凄い料理!美味しそう……!」


リアーが我慢出来ずにサラダを一口食べる。


「ん~!美味しい~!」


「わかる!美味しいよな!」


ショウもそう言いながら肉を食べる。自分もご飯を食べながら、ふと疑問に思った事を彼女に問いかける。


「そういえばリアーさんは何でこの時期に留学を?」


サラダを食べ終えた彼女は、丁寧に説明してくれた。


「皆、リアーでいいよ!それでね、レテ君の質問なんだけど……。私のいる学院では学ぶ事が物足りなかったんだよね!

それで、丁度魔術学院に留学が出来るって先生が言っていたから、この機会を逃す手は無い!って思って来たんだ!」


「なるほどね。Sクラスに編入されるぐらいだし実力は……うん?」


「どうしたの?レテ君」


シアが不思議そうに問いかけてくる。疑問。

そう、疑問だ。


(地方で抜きん出た実力があったとしても、普通なら席があるAクラスに編入しようと先生達も考えるはず。でも態々Sクラスに編入された……。侮る訳では無いけれど、どうして席が定員のSクラスに編入されたんだ?)


「ふぃー!美味しい!……うん!まだお昼寝の時間あるね!ちょっと寝てくる!」


「……え?どこで?」


そんな考えが吹っ飛ぶほど衝撃的な発言が飛び出してきた。席を見れば既に皿は片付けられていて、彼女は立ち上がっている。


「んー、教室!私、ご飯食べた後お昼寝するのが好きなんだ!……あ!でも質問とかあればドシドシ聞きに来てね!それじゃ!」


そう言ってリアーは教室へ向かっていった。その様子を見て、同じく食べ終わったレンターが呟く。


「……嵐のような人だ」

「同感!仲良くなれるといいな!」


ファレスが食べ終わると、彼女も教室へ向かった。

自分はゆっくりと肉に手を付けながら、また考える。


(本当に自由だな……。緊張もせず、自由気ままに自分のポリシーを貫く。後でなにか質問してみるかな)


咀嚼しながら、そんな事を思っていた。


自由が好きではあるが、授業はすごく真面目に受けていた。それが留学の意義なのだから仕方ない。

ただそれが傍目から見てて、とても楽しそうに見えた。自分たちより、ずっと。


「リアーは具体的に何を学びに来たとかあるの?」


休憩時間、すっかり溜まり場となった自分の机にリアーも来たので質問を投げかけてみた。


「うーん、具体的にかぁ……。強いていえば成長とかかな?私自身の成長の為に吸える物は吸うって感じ!」


「おー!じゃあ私たちと同じだ!」


シアが嬉しそうに言うと、リアーも頷く。


本日最後の授業の後、スイロウ先生からまた少しお話があった。


「今回リアーさんは短期留学生なので君たちとは別に個室になる!ただ寮の中でも少し離れているからお話のし過ぎで時間取らせすぎちゃダメだぞぉ!」


「「はーい!」」


寧ろ空き部屋があるのが驚きだ。短期留学生や転校生を想定しているのだろうか。

そんなこんなで、リアーが短期留学してきた。

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