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異界の師、弟子の世界に転生する  作者: 猫狐
二章 学院編
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入学試験

午後になり、いよいよ試験が始まった。受付の人にアグラタムから受け取った六角形の証を提示すると、大層驚いていた。


「なるほど……飛び級入学なのですね。しかしここは飛び級をしても学ぶ内容や仲間、それに試験を共に受ける相手は変わりません。ご健闘をお祈りします」


受け取っておけて本当に良かった、証。父上、自分から学院に行くことを提示したのだからせめて忘れないで欲しい。

会場の中に入ると、ズラっと子供たちが並んでいた。いや、自分も子供なのだが。


「それではこれから書き取りの試験を行います!各自、先生の案内に着いてきてください!」


どうやら複数の部屋に別れて行うようだ。まぁこの人数だしそうだろう。自分も着いていきながらぼーっと周りを見ていた。


(……暴発や喧嘩が起きた時のために魔力の結界が張ってあるな。子供同士、そういう事もあるってことか。なるほど)



筆記試験に関しては、特に何も問題はなかった。主だった試験内容は父の蔵書で知識で事足りたし、後は簡単な計算や難しめの書き取りだけであった。早々に終わらせて、机に顔を伏せる。

特に何も言われないが、周りからカリカリとペンの音が聞こえてくることを考えると、皆は結構苦戦しているようだ。頑張れ頑張れ。


「大丈夫か?具合でも悪いのか?」

「いえ、終わったので……」

「なるほどな。見直しだけはしっかりしておくんだぞ」


どうやら寝ていたら体調が悪いと勘違いされてしまった。十五歳の子供が受ける試験であるし、緊張で体調の悪くなる子も多いのかもな、と思いながら書き取りの試験が終わるまで寝ていた。


「次は実技試験です。魔法、系統能力を使用してあの魔力測定の水晶に打ち込んでください。ただし、特異能力の使用は禁止です。それでは一番の子から、どうぞ」


次は魔力の実技試験だ。目の前には2メートル四方もありそうな巨大な水晶。

特異能力は使用不可、それ以外はオールオッケー。さて何にしようと思いながら前の子供たちを見ている。


「えいっ!」


そう思っていると、先程出会った子……シアの番になったようだ。水を収束させて素早く打ち出す、単純な収縮系統の魔法だ。だが威力は他の子とは少し違うようで、高い値を出していた。


(ほほー!中々やるんだなぁ、のり弁当かサンドイッチで迷っていた姿からは想像つかないな……)


そう思いながらまたぼんやりしていると、自分の番号が呼ばれる。


「特異能力以外なら使ってもいいんですよね?」

「はい、得意な魔法、系統を使用して大丈夫ですよ」


ならばすまないがちょっと、合格の安全のために布石を打たせてもらおう。


「……顕現」


そう言うとしゅるりと風が集まっていき、人型……正確には、騎士の形を取る。剣と盾も持っており、ばっちりだ。


(行け)


そう命じると、騎士は身体が一瞬で疾風と化し、水晶の前に立つ。

そしてそのまま自爆させた。暴風の如き風の魔力が水晶に当たる。


「……顕現系統。それも人型を取るなんて。今の学院生でも出来る子が何人いるか……」


(お、今の学院生でも何人いるかだって……!マジで?これは合格安定したな)


ぼそっと聞こえた試験官の声に、合格を確信しながら次の子へとバトンタッチして、試験会場の待機所へ行った。

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