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胎動するプレリュード

 いつものことだ。

 ウケ狙いとインスピレーションだけで生きている伊藤美梨(いとうみり)が、唐突に意味不明なことを口走るのは、いつものことだ。


『今日の音楽、リコーダーのテストだね。私、リコーダー置いてきちゃった。夢の中に』


『じゃあ、お前が今手に持っているその長細い笛はなんだ』『これはしゃ──』


『尺八って言ったら、蹴っ飛ばすから』


『蹴っ飛ばすと言えばさ。冷蔵庫って、何で丸いんだろうね』


 こんなやり取りは、日常茶飯事だ。


『昨日、鼻の穴に五百円玉突っ込もうとしたらね、五百円玉がないってことに気づいたの。でね、五百円玉がないってことに気づいてからね、所持金が十円しかないってことに気づいたんだよね。ホント、お金って大事だなあって』


『十円でいいから突っ込めば? ついでに鼻裂ければ?』


『でさ、今日一緒にスタバ寄って帰る?』


『残念、それで引っかかると思った?』


 そう、いつもこんな感じ。小四の頃にボッチだった美梨と体育でペアを組んで上げるようになってから(私は美梨と違って友達が多い)、小六になった今の今まで伊藤美梨という女に私はいつも振り回されてきた(もちろん私には他にも友達がいる)。

 だからこれはきっとその延長線上、ただの冗談。

 私こと神野冬香(かみのとうか)に向かって、彼女はその日言いました。


「ねえ、トウカ。私、デュエル始めました」


 冷やし中華始めました、みたいなノリで。


不定期更新です。見切り発車ですがゆるーく完結目指してやってきます。よろしくです。

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