肉球
日間ランキング27位だって!
みんなありがとう!!!
◆◇ロロ視点◆◇
空は藍より出た藍よりも青く地の際まで広がり、雲は紫でこそないが、白く棚引いている。
燦然とする太陽の下、我々補充物資一同は街道を進んで行く。
馬車の荷台というのは案外に快適で、車輪の音や揺れも、うたた寝を妨げるものではない。
「ご主人、暇なのだぞ」
顔を動かさずに目だけをそちらに向ければ、フードを深く被った男が私の馬に乗っている。
たしかに、この辺りは町はもちろん村さえ無い平野であり、敵軍からもそれなりに離れているはずなので、護衛の彼もする事がないのだろう。
私はおとなしく荷台で物資の務めを果たしているというのに……。
寝ているだけだが。
「………………」
「何か喋って欲しいのだな」
「…………。……あなたの肉球は、結構気持ちいい」
「そうか!なら、プニプニしてやるぞ!」
そう言うと、馬上から荷台に跳び移ってくる。
……器用な奴だ。
「ほれほれ、お望みの肉球なのだぞ〜」
手袋を外し、私を見降ろす体勢で顔に手を伸ばしてくる。
「………ッ!危ないです。手を引いて下さい」
「どうかしたのだな?」
「……爪です。爪が出ています」
肉食動物特有の殺傷力に長けた爪だ。
これにやられた右手は軽くトラウマである。
「そうだな」
「ええ、ですから、しまって下さい」
「それは無理な相談なのだな」
「なぜです?肉食獣は爪が出し入れできるでしょう」
「……ご主人、それは猫だけなのだな。狼にはできないぞ」
狼の生尾人だったのか。
生尾人だと、犬と狼の違いがわからんな。
「そうですか。では、気をつけてプニプニして下さい」
「プニプニはするのだな……」
両頬に肉球が降りてくる。
「フニフニ、フニフニ」
……中々に気持ちいいな。
生尾人は人間よりも体温が高いのだろう。
人肌以上に温かくて癖になりそうだ。
しかも、掌が人間よりも大きいので幸福感というのか包容力に溢れているのもまた、危険である。
私も良い従者をもったものだ……。
ふおぉぉぉお…………!
「……………」
「なぁ、ご主人。本当に気持ちいいのか?」
「ええ……」
「……。フニフニ、フニフニ、フニフニ、フニフニ、……………。………つまらないのだな」
もう少し……
「おやおや、なんてことを言うのです。もしや止めるつもりですか?あなたの肉球のおかげで幸せになっている人がいるというのに」
「うっ、そうやって言われると止めづらいのだな……」
「そうです。それで良いのです。因果応報と言うように、あなたの与えた幸せは、いつかあなたに還ってくるのですよ」
「そ、そうなのか!」
………
……………
……………………
「ご主人、さすがに飽きたぞ」
「ならば何か変化を加えてみるのです」
「変化、変化か……。……………それっ!」
ゴスッ!!!
額に激痛が!!
「痛っ!……何のつもりですか」
「胸を…こうな、顔に押し当てようと……」
「鎖帷子を着たままで、ですか……」
あの胸筋だ。
本気でやれば下手なメイスより威力があるだろう。
「あっ、忘れていたぞ。すまないのだな」
「……忘れていたのなら仕方がありません。ですが、なぜそのような事をしようと思ったのです?」
「王都の酒場で『男は胸に顔を埋めるのが好きだ』と聞いたからだな」
実に元傭兵らしい理由なことで。
「それは豊満な胸であって、しかも女性であることが大前提です」
婦女子にならば『筋骨隆々な漢の胸に顔を埋めたい』という者もいるだろうが。
お前も男ならわかるだろ?
「むむむ………。大きさには自信があっただがな……」
「たしかにあなたの胸は大きいですが、欲しいのは脂肪です。一部の特殊性癖者を除いて、漢の筋肉に欲情する男はいません。あなたもわかるでしょう?」
むしろ萎える。
「ん?……リザのは脂肪だぞ。ほれ」
鎖帷子を外して、胸を突き出してくる。
たしかに、揺れているので脂肪のようだ。
「……失礼ですが、脂肪といえども、それが男の物なら余計に触りたくない」
「…………。もしかして、ご主人はリザを男だと思っているのだな?」
「まさか───」
「リザは女なのだぞ!!!」
「……………」
胸は大きく声も高く髪も長い。
たしかに、女らしい要素はそれなりにある。
衝撃的ではあるが、彼……いや、彼女か、は人間社会で種族を偽っているのだし大して驚くことでも無いか。
「言われて見れば女らしいですね……。元傭兵なので男だと思い込んでいました」
「失礼なことだな!最近は女傭兵も女冒険者も増えているのだぞ!」
「……いやはや、先入観とは恐ろしいものです。申し訳ありません」
「……そう簡単に許しては女の価値が下がるのだな」
「戦後に何か奢りましょう」
鰊の塩漬けでいいか……。
「職の宛があるだけなのたぞ?確証無い約束の利子は高いのだな」
うっ、痛いところを突かれましたね……。
「仕方ありません。貴女にも計画を─────」
「伝令!伝令ーー!!!」
その時、前方──輜重隊の指揮隊がいる──から伝令が聞こえる。
……隊の位置的に早馬か、大事なのは間違いないな。
「リザ、緊急事態のようです。奢りの話はまた後で」
「……良いように誤魔化された気がするのだな」
跳び起きて馬に乗り、指揮隊の元へ向かう。
……それはそうと、馬に乗る前、先程の言葉に甘えて揉ませてもらったリザの胸は、結構弾力があって良かった。
私とそう変わらない年だろう。
………なぜ殴られたのか。
文句のあるひんぬー教徒はTwitterまで来なさい。
いつか、ひんぬーも出す。
それとですね。ちょっと言いたい事がありましてね。
……この作品の評価者数、4人ですって。
ちょっと少なすぎやありませんか?
ローファンタジー部門ですが一応日間ランキングにも乗ってるんですぜ。




