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9.オーク砦前哨戦

結局、私とカタラの言い争いが原因で隠密作戦は失敗しちゃった。

まぁ、冒険中よくあることなのでお互い実はそんなに気にしていないし、本気にもしていない。仔犬のじゃれ合いみたいのものだ。

だけど、やっぱり時と場所は弁えないと駄目だね。今回は、失敗失敗。

さて、今からオーク砦の奥へ進んで行くわけだけど、三人バラバラに動いた方が効率が良いのは分かっている。まぁ、私達三人なら不意打ちさえ喰らわなければ、オークに勝てるのは分かっているが、各個撃破される恐れが出て来るよね。それに無駄な怪我もしたくないし、同士討ちの可能性だってゼロじゃない。

折角パーティーを組んでいるのだから、皆で仲良く冒険と行きますか。


オーク砦は、岩山を露天掘りで繰り抜いたちょっとした城の様になっている。外壁があり、その内側に沿った周回通路。適度に曲がり、敵の進撃速度を落とす工夫も見られる。さすが、知能は人間と同等。罠が有ってもおかしくないかな。だが、この砦は生活空間がメインの為か、内壁を越えればすぐに居住区の様だ。子供の声も聞こえるし、子供が罠に引っかかりそうだし罠は考慮しなくていいかな。内壁はかなり分厚いはずなのに、夕食の最初の頃は、向こうからもっと多数のオークの声で騒々しかった。今は比べられない位に静かだ。大多数が酔い潰れたようだ。酔っぱらった幾人かのオークの大声しか聞こえてこない。

こっちの酔い潰れ待ち作戦は成功みたいだね。よしよし、少しは楽ができそうだ。と、思いきや曲がり角の先にオークの気配を感じる。一、二、三匹。大人でオスかな。軽い千鳥足でフラフラしているようだ。

後ろの二人に指を三本立て、剣で切る様な仕草をする。背後で二人共武器を抜くのを感じた。私もバスタードソードをすでに抜いている。

私とカタラはそれぞれ別の壁の下にうずくまり、ウォンが通路の中央にノーマルソードを両手で通路に立て、自然体で待つ。

もう、まもなくオークは角を曲がって来るはずだ。

来た。数は三匹で間違いなし。

「よ、こんばんわ」

ウォンが気楽に声を掛ける。オークは、現状を把握していない。酒で思考能力が落ち、砦に居るはずのない人間が気楽に声を掛けてくるなんて、予想していなかっただろう。

オーク共が思考麻痺に陥る。その隙を私達が逃すはずがない。

手近なオークの右足をふとももから切り飛ばした。仰向けにバランスが崩れ始める。すかさず崩れる方向に蹴り飛ばす。一気にオークは背中から地面に叩きつけられる。声を出されると厄介だ。すぐに喉へ剣を突き刺し、捻る。オークは、二、三度痙攣して動かなくなる。ウォンを確認するとオークを一刀両断に、カタラを確認すると私に近い方法でオークを仕留めている。カタラの場合は、メイスなので片足があらぬ方向に打ち曲げられ、喉笛を叩き潰している。

はい、皆様お見事です。あの合図でよく分担して仕事をしてくれました。

お姉さんは感激ですよ。長年、伊達にパーティーは組んでいないという事だよね。

「こいつら、ここに置いといて良いのか?」

「いいんじゃない、誰かが一刀両断にするから、この道、血だらけだし、それに贓物を掴むのは私はパス!」

「このペースで一本道を進むのですよね。でしたら、後方の事は気にしなくても問題ないかと思います。ちなみに私も臓物を手に持つのはご遠慮致しますわ」

「む、すまん。鎧を着てなかったから思わず…。え~と、よし、ミューレ先鋒ガンバレ」

「砦の中は、篝火が焚いてあるからウォン先鋒行ったら?私の夜眼も無効だし」

そう、私の夜眼は明るい物があると眩しすぎて使えないのだ。今は既に昼眼に戻している。

「そうか、遭遇戦は有無無く切るぞ。いいか?」

「何時も通りでどうぞ。私が先鋒行くと魔法使う余裕が無いからね」

「あぁ、なるほど。気付かなかったわ。了解、了解。アマゾネス殿の盾になりましょう」

「そういえば、部下に嫌われる上官は、戦闘中に何故か後方から槍で刺されて戦死するそうね」

「俺、さっき何か言ったか?姫君」

「ううん、多分、今回は空耳だったみたいだね、ウォン」

私はニヤリと笑う。仮面から出ている口元はさぞ冷たい笑みだったのだろう。ウォンが身震いする。まぁ、わざとだろうな。私の冷笑で身震いする様な戦士じゃない。

「はい、掛け合いは終わりです。行きますわよ」

カタラの一言で私達は、砦の一本道を再度静かに進み始めた。


あの後も、見回りのオークの小隊を何組か切り伏せ、順調に先を進む。どうせ、歩哨にしか使えない様なレベルのオーク。重要情報を持っている様に見えない。情報は引き出せないだろうな。

角を曲がると居住区へ入る門が見えた。一時、歩みを止め、道を戻る。

角から様子をうかがうと、門は閉じられ、その上に簡素な骨組みの櫓が組まれ、二匹のオークが見張りに立っている。しかし、まるで酔い覚ましをしている様だ。歩哨としては全く役に立っていないし、警戒心なんて微塵も感じられない。こちらにも全く気づいていない。

「さて、門は閉じている。敵は二階。どう対応する?」

「ミューレが服を脱いで門の前で踊れば、降りてくるんじゃね」

「その役目は、カタラに譲るわ。私、仮面をしているから。素顔の方が効果的じゃないかな」

「なるほど。言われてみれば、二階からでもカタラの方が、胸が揺れるところが良く見えるな」

「何!私には胸が無いって言いたいのか!あ~!」

「無いとは言っていない。BカップよりDカップの方が遠くから良く見えるという話だ」

『え、なぜ知っている?』

私とカタラが同時に驚く。誰にも胸のサイズは言っていないし、カタラには水浴びで見られているから知っているだろうが、ウォンに見せたことなど一度もない。さらにカタラは僧侶だ。私より貞操観念が固く、ウォン、いや男に見せるはずがない。ということは…。

「貴様、覗いたな。殺す」

今までで最高の斬りかかりをウォンはあっさりとシールドでいなす。バスタードソードがシールドの表面を火花を散らしながら滑り、地面を打ち付ける。ちょっと、ショックだよ。今のは生涯最高の斬撃だったのに簡単に避けられた。この化け物戦士が。

「ウォン、あなたが覗きをする様な卑劣な行いをする方とは存じませんでした。今、悔い改めれば、神は過ちを許してくれるでしょう。正直に答えて下さい。いつ覗いたのですか?」

カタラが、ウォンへぐいぐい詰め寄る。右手にメイスを握りしめながら。

「お前達は勘違いをしているぞ。おれは覗いていないぞ」

ウォンは飄々としている。悪びれた感じもない。どうやら、本気で言っている様だ。

「見てもいないのにサイズを言い切るなんて出来るわけがないじゃない」

「まぁ待て。一流の戦士になれば、当然、見切りはミリ単位どころか、コンマ何ミリの見切りが出来るのは分かるな」

仕方ない。ここはウォンの言い分を聞くしかないか。

「えぇ、私だって達人クラスの剣士だもん」

「で、敵までの距離は、何メートルでどこまで間合いを詰めて、剣筋はここを通すというのが手に取るようにわかる。で、これを応用すれば身長は何センチとか、胴体を切断するには直径がいくつあるかと自然と把握できる様になる。で、見た瞬間にお前達の胴体の最大直径と胸下の直径が解る。その差から胸の大きさが概ね分かる。どうだ、疑いは晴れただろう。ちなみにカタラは九十三の七十四で、ミューレは八十…」

ウォンの左頬に鉄拳を喰らわす。さすがにこれは不意打ちだったようでクリーンヒット!しかし、頑丈だ。頬をさすっているが痛そうに見えない。

「言わんでいい!」

ちなみにカタラを見ると、頬を赤く染めていない。あれ?いつもと違う。俯いて両肩を震わせている。

とりあえず置いといて、後で、何か仕返しを考えておくとしよう。

「サイズについてはウォンの見切りなら可能だろう。納得した。が、なぜウォンが計算方法を知っている。誰の入れ知恵だ。答えろ」

ウォンの背後にはすでにカタラが回り込み、メイスを構えている。

バスタードソードをゆっくりとウォンの顎下へ剣先を入れていく。

「あの、ミューレさん。刃先が当たりそうで危ないんですが」

「誰の入れ知恵?剣の事しか考えない脳筋のあなたにそんな知識があるわけないよね」

剣先がゆっくりとウォンの無精髭を剃っていく。

「ミューレさん、切れてますよ。危ないですよ」

「ウォン、早く言いなさい。神も真実を知りたいそうです」

「カタラさん、メイスで背骨をゴリゴリしないで下さい。結構、痛いんですが」

どうやら、背後からもカタラが攻めているようだ。

『さあ、言いなさい』

二人の声がハモる。

「四季物語のマスターだ。計算方法は教わったが、誰にもサイズは言っていない。これは本当だ。そろそろ、ゴリゴリとゾリゾリを止めて欲しいな~」

「あの、エロマスターめ。奴もお仕置きリストに追加だ」

「奴も、ってことは俺もリストに入っていたりしているのかな?」

ウォンへ満面の笑みを浮かべながら答えてあげる。

「もちろんよ。仲間はずれになんて、そんな可哀想な事はできないでしょう。マスターと一緒に死ぬ程の地獄を見せてあ・げ・る」

「あら、ミューレ。そんな酷い事はしてはいけませんわ。せめて生き地獄に止めておきましょう」

「カタラがそういうなら、生き地獄に止めとくわ。街に戻るのが楽しみね」

「別に俺、悪いことをしたのか?正しい大きさを言っただけだぞ」

この天然ボケ戦士が、乙女の恥じらいを理解しろ。

「乙女には秘密がたくさんあるの。それを知ることは絶対に許されないのよ」

「たかが、胸のサイズが乙女の秘密なのか。見た瞬間に分かる物に秘密とかありえないぞ」

たかがだと、やっぱり生き地獄から死んだ方がマシだ地獄に変更。

「普通の人間は、見ただけでは数字は分かりませんのよ」

「二度と口に出したらだめだからね。他の身体的特徴も乙女の場合はトップ・シークレットだよ。これ常識。わかったかな」

「わかったわかった。二度と言わん。ところで、ミューレの後ろにいるオーク二匹はどうするんだ。二階から門を開けて降りてきて見物しているぞ」

このやり取りを始めた時から櫓から降りてくるのに気がついていた。

このまま、人間語を解するオークなら面白がって酒の肴代わりに見物に来るといいなと思っていたが。本当に来てくれるとはありがたい。あの門を開けるのにどうしようかと思案していたが、勝手に開けてくれて助かるよ。

ついでに、八つ当たりに丁度いい。

オーク共は酒をガバガバ飲みながら、こちらを指さし腹を抱えて笑っている。

カタラと視線を交わす。阿吽の呼吸で即座に動き出す。

ウォンへ自分のバスタードソードを投げ、ウォンの腰からノーマルソードを抜き、カタラから遠い方のオークを狙う。一気に距離を詰め、上段の構えから兜割りをかます。オークは、酒が入っていたためか、急な動きに反応できず、されるがままに頭をかち割られていく。オークの固い頭蓋骨に一度剣を弾かれそうになるが、力任せに押し割っていく。血が壮絶に吹き出すが勢いと力は止めない。切れる処まで一気に切る。

だが、顔の中心に来たぐらいでそれ以上剣が動かなくなった。

剣を伝って脳と血が垂れてくる。オークはピクリとも動かない。死亡確認する必要もないね。

やっぱり、力任せは私には似合わないな。戦士ではなく、剣士の戦いをすべきだなと改めて実感する。手に若干しびれが残っている。力ずくの切り方は、久しぶりだ。

剣を抜こうとするがピクリともしない。片手では剣が抜けなかったので、足を胸にかけ一気に引き抜く。

カタラの方を確認すると…。見なければ良かった。

オークにあるべき頭が無い。そこら中に赤い肉片が飛び散っている。よっぽど怒り心頭だったのだろう。ここまで荒ぶるカタラは珍しい。オークの頭が無くなるまでメイスで打ち据えるとは思ってもいなかった。

カタラって本気で怒るととても怖いんだね。今後は、怒らす線引きに気をつけようっと。


ウォンのノーマルソードを力一杯ウォンへ投げて返す。まるで矢の様に一気に空気を切り裂きウォンへ殺気と共に飛んでいく。

ちょいと、少しだけさっきのお返し。当たったらゴメンね。

ウォンはほんの少し体軸をずらすだけで剣筋から避ける。剣は後ろの壁に突き刺さる。ちっ、やっぱり無理か。

「おいおい、殺す気か。というか、自分の剣を使え。あんな使い方されたら刃こぼれするだろう」

私の必殺の剣など気にもしていない。嫌がらせになっていない。

あぁ、達人クラスはこれが日常だから、嫌になる。

ウォンは、私のバスタードソードをゆっくりと私に投げ、自分の剣を壁から抜く。私も自分の剣を掴み、鞘に収める。

ウォンは、自分の剣を壁から抜き、刃こぼれがないか慎重に刃を見ている。

「さすがは、ミューレだな。刃こぼれなし、刀身の曲がりもない」

「当り前でしょう。伊達に百年以上剣を振るっていないのよ」

「今回は俺が悪いと思って剣を貸したが、次からは自分の剣を使え。腰に剣が無いと何か落ち着かん」

「代わりに私の剣を念の為、貸してあげたでしょう」

「バスタードソードって柄が長くて使いにくい。ノーマルソードが無難だよ」

やっぱり、ウォンが隙だらけだったのはわざとか。そうですよね。達人クラスが自分の剣を奪われる様なヘマをする訳が無いよね。

さて、ちょいとはしゃぎ過ぎたかな。普通の冒険者ならビクビクしながら、砦に潜入するだろうに、私達ときたら、まるで街中をウィンドウショッピングしているみたいだよ。

「少し、お遊びは自重して、本気モードで行こうか」

「そうですね。門を潜れば大軍がいる可能性もあります」

「俺は、最初から真面目なんだが」

最後のは聞こえなかった事にしよう。

さて、砦攻略戦、本番スタート。


『次元眼球』

視覚を飛ばす魔法を詠唱する。最初から使えば良かったかな。見えない眼球は、門をくぐり内部へ突入する。

中は直径三十メートル位の円形の広場になっており、中央にキャンプファイヤーの様に篝火が焚かれている。その回りには酔い潰れたオークが二十~三十匹位かな。眠っているオークの中には、子供も含まれている。砦をあげての祭りか大宴会だったのだろう。いまだ、酒を飲んでいるのが五匹か。

円形の広場を囲むように洞窟が幾つもあり、簡素な布切れが入り口を塞いでいる。扉の代わりだろうか。手近な洞窟に次元眼球を飛ばす。布切れをすり抜け、中へ入るとそこは寝室だった。家具はベッドと机と椅子くらいしか目につかない。どこか人間の村を襲って奪ってきた物だろう。結構、良い家具だ。この洞窟は家族が住んでいる様で大人のオーク一匹と子供のオークが一匹同じベッドで眠っている。母子かな。父親は広場で酔い潰れているのだろう。

他の洞窟も探ってみる。

洞窟の大きさが一匹用から大家族用まで色々あり、ほとんどが空だ。どうやら広場で眠っているオークがこの砦の大半の様だ。

洞窟の一つだけ他の洞窟と全く違い、豪華に飾られている洞窟があった。十メートル四方の洞窟で、この砦で一番大きい洞窟だ。

その中央に大きなベッドが一つ置かれ、その上で三匹のオークが眠っている。中央で眠っているのが族長だろう。左右に侍っているのは、今夜のお相手だったメスのオークだろう。

床には一組のオークが眠っている。こちらもお楽しみだったようだ。

そして、後一組のオークが床で今まさに頑張っている。汗をダラダラ流し、呼吸も荒く、メスのオークに伸し掛かっている。

きゃあ~恥ずかしい、なんて言うわけない。オークの交尾なんて見ても面白くも何ともない。伊達に百九十年生きていませんよ。

人間の権力者の性欲の方が余程醜く、穢らわしく、忌まわしい。

今迄に誘拐された娘を助けるというクエストを何本か受けてきたが、凄惨な結果を幾つか見てきた。娘達の為にこの話はここまでにしておこう。

それに比べれば、このオークの交尾なんて豚の交尾と変わらない。可愛らしいものだ。

頑張っているオークは他のオークと比べ一回り身体が大きい。一本一本が太い筋肉。だいたいのオークは酒を飲み過ぎ、エール腹で太っているのが多いが、引き締まった筋肉で割れている腹筋。この砦の戦士長といったところかな。

どうやら、この砦、最強のオークの様だ。

洞窟を出て他の場所も、偵察するが目ぼしいものは見当たらない。

出入り口もここの門のみの様だ。

偵察は、このくらいで十分かな。


二人に状況を客観的に説明する。主観は混ぜない。偵察で主観を混ぜた瞬間、その情報はネジ曲がったものになり、正しい情報とは言えなくなる。

見たままを淡々と説明していく。正しい情報が生き残る為には不可欠だ。

「以上、砦の状況でした」

「なるほど、族長の部屋のオス三匹が情報源になりそうですね」

「で、大きいオークは俺が矢面に立つわけだよな。で、作戦はどうするんだ」

「ウォンは作戦案あるの?」

「ない。どうせ、回りは寝てるからそのまま族長の所に行って話を聞いて帰る」

「さすがに、安直すぎませんか。素直に答えて下さるとは思えません。多分、戦いになり、回りも起き出しますよ」

「そうか、三十匹のオークに囲まれるのは、少し手こずるな。面倒だ、二人で考えてくれ」

ふと、気になった。面倒なのはどっちかな。三十匹と戦うのか、それとも作戦を考えるのが。やっぱり、脳筋だし両方か。考えるまでも無かったね。

「では、私からの提案ですが、その三匹のオークを拉致し、砦を脱出。その後、尋問するのは如何ですか」

「う~ん、拉致する時点で戦闘にならないか。戦士長は起きているし、眠っている奴を縛り上げるのと違って苦労するぞ。それに三匹も砦から連れ出すのは無理があるな」

お~、ウォンがまともな事を言っている。戦闘に関しては、優秀なんだよね。それ以外は、完全に凡人なんだけど。

「そうですか、良い作戦かと思ったのですが」

「じゃあ、私の作戦」

「あぁ、嫌な予感しかしませんわ」

「はぁ~、いつものやつか…」

二人してため息をついている。だから幸せが逃げちゃうぞ。

「だって、一番簡単な方法だもん」

「まぁ、だいたい分かっているけど聞こう」

「は~い、まず門の二階に上がります。その後、広場に火球の魔法を打ち込み、全滅させます。洞窟から出て来たオークをウォンと私が弓で倒していきます。カタラにはその間、私達の護衛役をしてもらいます。二階に上がってくる敵を蹴落としちゃって下さい。くれぐれも三匹のオークだけは生かして下さい。死ななければ何してもいいです。雑魚のオーク掃討後、情報を取ります。」

「やっぱり、殲滅戦を提案してきたか」

「ミューレ、もう少し穏便な作戦はありませんか」

「あるといえばある。でも、お薦めしないよ。こちらに被害が出るからね」

「ちなみに、どんな作戦ですか」

「広場に睡眠の魔法を掛け、族長の部屋に沈黙の魔法を打ち込み、突入。静寂の中で戦闘し、三匹を捕獲し沈黙魔法を解除。その後、尋問し情報を得た後に広場を通って帰る」

「あら、スマートな作戦じゃないですか。私はこちらを支持しますわ」

「欠点がね~。睡眠の魔法は効果時間十分。尋問中に魔法が切れると思う。で、尋問中に大声を出されて、救援隊到着。包囲され、三対三十の消耗戦に突入。狭い部屋なのでほとんどの魔法は使えず、剣術のみで対抗。負けることはないけど、怪我するし、まぁ無いとは思うけど死亡率も若干上がるかな」

「なるほど、安全マージンを確実に取るには最初の案が良いわけか」

「理解はしましたが、納得はできませんわ」

ウォンは戦闘にはシビアな為、殲滅戦が必要だと感じれば躊躇いなく実行する。だが、カタラは僧侶。割り切れないのだろう。殲滅戦をする時は必ず一度は躊躇い、神に赦しを乞う。仕方ないね。こればかりは生まれ持った性格もあるし。ちなみに私は苦労が大嫌い。できるだけ楽できる方法を考えてしまうんだよね。

「ここのオークは、割りと大所帯で人間にとってかなりの脅威だよ。退治するにしても、軍なら大隊規模、冒険者なら上級者の合同パーティーによる攻城戦になると思うよ。そうなったら、人死が多く出そうかな。私達なら被害は無しかな」

カタラの気持ちが少しでも楽になるように一言付け加える。

「確かにここのオークが近隣の村々を襲えば、ミューレの言う通りの対応になるでしょう。オークは獰猛で話し合いにはまずならないですね。分かりました。ミューレの作戦でいきましょう」

カタラが腹を括った。作戦決行だ。

さて、オーク砦殲滅戦を開始しましょうか。


皆様、拙い小説をお読み下さり誠にありがとうございます。

大変感謝いたしております。


今回は、どうしても、自分の誕生日の記念に間に合うようにと頑張り、どうにか投稿できました。

ようやく、キャラクターと私の間で話が通じ合うようになり、いわゆるキャラクターが自分から動き出すというのを少し実感し始めました。

さらに一段階上へ昇れるように精進してまいります。

今後ともお付き合いいただけます様よろしくお願い申し上げます。

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