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第60話 銅の売買

ギルド会員費訂正します。

500D → 5000Dへ 500だと安すぎた。

「僕はアルス」

「私はリリィにゃ! 早速売買を頼むにゃ」

 僕らも自己紹介を返し、リリィが車から電線を引っ張り出す。


「アルスー、どれくらい売るにゃ?」

 20kgの電線が4束、他に軽いケーブルが1束ある。


「とりあえず半分売ってみようか。銅なら村でも使い道あるだろうし」

 僕がホランドさんに売ったウロコが銅と合わせると魔鋼の一種になると言ってたしな。


「わかったにゃー」

 リリィが電線2束にケーブル1束を取り出した。


「あ、電線なら外皮を剥かないと手数料取られますよ」

 ヌーの忠告に僕とリリィが顔を見合わせる。


「良ければ私がやりますよー、ところでお二人はギルドの会員証は持っていますか?」


「持ってないにゃ」


「無いと買い叩かれますよ、具体的には半額くらいに」


「……それは困るにゃー」


「私が会員証を持っているので良ければ私を代理人に立てませんか? 手数料は1割ほどでどうでしょう?」

 ヌーが揉み手をしながら提案してきた。

 またもや僕とリリィが顔を合わせる。

 提案を信じるなら悪くはないんだが……。


「どうするにゃ?」


「うーん、会員証って手に入れるのに条件はあるのかな?」


「特に資格とかは要らないんですけど年間会員費500Dを支払うか、年間で30000D以上取引すれば無料になります」

 5000Dと聞いてリリィがうげっ…と舌を出す。


「5000Dって高いにゃ。芋が5000個も買えるにゃ」

 リリィの言っている芋は村で主食として食べられている品種の一つで大きさは両手に余るほど、中身は黄色く甘みがある。

 ちなみに1つの畑で栽培できる芋の数が5000~10000個ほどらしい。

 結構な収穫があるのだが栽培に半年ほど掛かるので畑1枚分だと一家族が食べていくだけでやっとだったりする。


「んー、村で会員になっている人って居るかな?」

 居るなら後回しにしてもいいのだが。


「前は居たにゃ。ロットンさんが街に牛車で農作物を卸しに行ってたりしてたにゃ。

 でもレイダーの襲撃があって牛を殺されちゃって……、北の森に戻ったままにゃ」


「そっか……」

 レイダーたちの悪行がまだ尾を引いていた。

 新しい作物の種も手に入れたし、販売のことも考えないとな。

 さて、どうするか。

 考え込む僕らをヌーが不安げに覗き込む。

 その目がダメ?、ダメなの?と語りかけてきた。


「とりあえず今回はヌーに頼んだ方が良いかな?」


「そうだにゃ、会員証のことは後でおじいちゃんたちと話し合えば良いにゃ」


「ありがとうございます! それじゃ早速皮剥きしますね」

 そう言って重い電線の束を1つ持って倉庫の端へとよろよろと向かう。

 残りの電線とケーブルの束をリリィが持って追い、僕は駐車場に車を返す。

 戻ってきたら、ヌーがポケットから折りたたみナイフを取り出し、早速電線のゴムを剥いでいくところだった。

 電線に沿うようにナイフを入れ、ゴムの皮膜を引っ張って銅線を剥き出しにする。

 手際良くやっているが、それでも1束20mぐらいあるよな、これ?


「……これ全部やるの?」


「そうですよー、やらないとこれぐらいの長さだと1束500Dぐらい手数料取られますよ」


「それは大変にゃ! 全部剥くにゃ!」

 リリィもカバンからナイフを取り出しもう一つの束に取り掛かった。

 僕は刃物はカッターぐらいしか持ってないので、ゴムの皮膜を引っ張たり、それを捨てる係をやることにした。


「ゴミは駐車場の方にジャンク捨て場があるので、そっちに持っていってくださいね」


「わかった」

 剥かれる途中で切り取られたゴムを拾い集め、駐車場へと持っていく。

 どこだろう?と周りを見渡すと粗末なトタン屋根の付いたゴミ捨て場らしきものが端にあった。

 その隣に汚れた作業服を着たおじさんとボロを纏った子供が3人座っている。

 彼らに会釈しながらゴムを捨て場に置く、何故かじっと見られた。


「それ、捨てんの?」


「ええ」


「じゃぁ貰うわ」

 言うが早いかおじさんが手を出し、遅れて子供たちが群がった。

 なるほど資源ゴミは拾う人がいるのか、それでジャンク捨て場か。


「……また持ってきます」

 そう言って、戻る。

 おじさんたちもありがと、と言って手を振ってきた。


 戻ると皮膜剥きも大分進んでいた。

 ヌーはふん♪ふん♪と鼻歌を歌いながら余裕の体だ。


「これっていくらぐらいで売れるの?」


「銅なら1kg、200Dですよー。これならゴムを剥いても30kgは残るから6000Dにはなりますね」


「おおー、結構良い額にゃ。これなら……うっしっし♪」

 リリィはシェルターに残してきた運びきれなかった分の電線を思い浮かべているようだ。

 まだ10束ぐらい残ってたはずだから、1束3000Dとしても一財産と言ったところか。

 リリィのしっぽが機嫌良く揺れていた。


「よしっ、こっちの電線終わりっ!とこっちは……あれ?」

 ヌーが最後に残った軽いケーブルを剥き始めるが、首を傾げる。


「あー、これハズレですね」


「ん? ハズレって何にゃ?」


「見てください、中に銅が入ってないです。たまにこういうのあるんですよー」

 そう言って見せてきた剥かれたケーブル線の中には細いゴム皮膜の線が何本か入っていた。

 その薄いゴムを剥くと出てきたのは透明な細い線。


「この細いプラスチックみたいなの、使い道が無いから売れないんですよねー」

 ヌーが細い線を僕に見せてくれるが。


「これって……光ファイバーケーブルか?」

 剥かれた実物を見るのは初めてだが、前に教科書で見たことのあるケーブルが出てきた。



いつも読んでいただきありがとうございます。

今週の投稿はここまで、次の投稿は火曜日になります

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