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第59話 トレーダーギルド

 トレーダーギルドの駐車場に車を停め、まずは頼まれた買い物からだ。

 ギルドは2つの建物を繋げたようで一方が小さく、もう一方が大きい。

 小さい方にトレーダーギルドと看板が掛けてあった。

 とりあえずそちらへ、空きタンクを両手に持って、肩で押しのけるように分厚い木の扉を押し開ける。

 すれ違うようにガヤガヤとした賑わいが耳を叩く。

 ギルドの中は結構広く教室2個分と言ったところか。

 奥に受付がありちょっとした人だかりが出来ている。

 入り口や壁際近くには木箱を置いただけの簡素なベンチが列を成して並んでおり、そこにいろいろな格好をした人たちが座り談笑していた。

 厚いマントに擦り切れた帽子を被ったおじさんに、ボロボロの衣服を纏った男が疲れたように眠りこけている。

 他にも革の装備で身を固め、ハンマーや斧といった獲物を背に下げた傭兵然とした男たち、中には銃を腰に下げているのもいた。

 こっちは待合所かな?

 ここでガソリンを売っているようにも見えないし、とりあえず受付で聞いてみるか。

 受付の列へと並ぶが、僕の前に並んでいたおじさんが胡乱気にこちらを見てくる。


「坊主たちも商談か?」


「? いえ、ガソリンが欲しくて売ってる場所を聞きたくて」


「ああ、それだったらあっちだ。こっちは商談カウンターだ」

 おじさんが壁の方を指すがあるのはさっきの待合所。

 おじさんの指の先を視線で辿ると傭兵や人夫に混じって女の子が木箱に座り、暇そうに足をぷらぷらさせている。

 女の子は少し背が低いか?

 黒髪で褐色の肌、こめかみの辺りに丸い耳がちょこんと出ている、獣人のようだ。

 女の子はこちらに気づくとテッテッと駆けてきた。


「何か御用ですか!」

 元気良く口を開ける。

 首元には案内と書かれた札がかけられていた。


「こっちの坊主たちがガソリンが欲しいとよ」

 おじさんが僕とリリィを指差し、女の子が僕らに笑いかける。


「わかりました! こっちです」

 女の子がテッテッと先に行き、隣の建物へとつながる扉に。

 こちらに振り返り、早く早く!と手振りで示す。


「え、あ。どうも」

 おじさんに軽く会釈をし、おじさんも手を上げて返礼を返してきた。

 女の子を追って僕らも隣の建物へと向かう。


 隣の建物は巨大な倉庫で、壁際に資材を並べる巨大な棚が並んでいた。

 中には車が何台か入り込んでいて、トラックから荷物を積み降ろしている。

 フォークリフトが木のパレットに載せた荷物を、パレットごと棚へと載せたりしていた。


「こっちだよ」

 女の子は外へと繋がるシャッターの方へと進んで行く。

 僕らもそれについて行き。

 シャッターの近くに機械があることに気づいた。

 ホースのくっ付いたノズルが伸びているから、あれが給油機かな?


「これにお金入れれば出るよ。1リットル、10Dだよ」

 そう言って女の子がノズルを持ち上げる。


「とりあえずタンクの中だけでもいっぱいにするにゃ」

 リリィが持ってきたお金を給油機に全部入れ、タンクへとガソリンを注いでいく。

 タンクを満タンにし、今度は車も中へ乗り入れて給油した。

 タンクも車も満タンにはなったが、


「あー! スッカラカンにゃー!」

 給油機に出る残高は0を表示していた。

 それを見た女の子が僕の方へと擦り寄って来て、手を差し出してくる。


「あのー、お金ー」


「ええっと、手伝い賃ってこと?」


「はい! それが私のお仕事ですので!」

 女の子の眉が下がりジトッとした目で僕を睨み、もう片方の手が僕の服の裾を掴む。

 絶対に逃がさないぞ、という気概を感じ、ちょっと笑ってしまった。

 リリィの方へ視線を向ければ、え? お金無いよ、と言う様に顔を振り。

 僕は自分の財布を出す。

 中にはホランドさんから受け取った銀貨が。

 相場がわからないのだがとりあえず1枚差し出してみる。

 銀貨の輝きに女の子の目が開く。


「え! こんなにいいんですか?」


「うん、今それしかないから」


「やったぁ! 他にも何かありませんか? 手伝いますよ!」

 銀貨を掲げ頬を緩めた後、急いでポケットに仕舞いながら聞いてきた。


「他には……」


「電線だっけ? 銅売りたいにゃ」


「それと調べ物も」

 この街に居ると聞いた科学者の事を聞きたい。


「わかりました、案内しますね。あ、私はヌートリア・ノホホン。みんなはヌーって呼びます。よろしく!」



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