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第5話 廊下での狩り

この世界の単位。

1フィー≒40cm、1マール≒4km

1グラン≒4グラム、1グロー≒4kg、

1リート≒4リットル

この世界の単位もありますが、混同すると面倒なので全て日本語に直します。

 バンッ!と壁を叩く音が廊下に響く!

 上から見てT字型の廊下には、端に重要な部屋が付いているが、それ以外にも壁沿いにいくつかのドアが付いており。

 それらは休憩室や用具等を収める収納庫となっている。

 それらのドアが次々とプシューッ!というスライド音と共に開いていく。

 出てくるのはもちろん

 人ではない、リザードマンだ。

 リザードマンはどいつもこいつも眉間にしわを寄せ、いらだった様子だ。

 出てきたのは5体か。

 それを画面越しに見る。


「奴等からしたら静穏な自分たちの住処に、騒音を上げる厄介な隣人が越してきたって感じなのかもな?」


 実際にはもっとタチが悪い。

 問答無用で5mmライフル弾を連射してくる狩人だ。

 撃つ事にためらいは無い。

 ダンジョンコアを見たときに本能で理解したのだ。

 互いにわかり合う事は無い。

 どちらかが滅びるまで殺しあうしかない関係なのだと。


 射撃モードを3連射(スリーバースト)に切り替え、照準を先頭のリザードマンに合わせる。

 非常灯の照らす薄暗い廊下を赤いレーザー光が泳ぐ。

 ゆらゆらと左右に揺れながら、リザードマンの額へとポイントした。


 ダダダッ!!


 5mmライフル弾がリザードマンの頭を撃ち砕く!

 青い血が廊下に撒き散らされ、その光景に他のリザードマンたちの動きが止まる。

 唖然とした表情のリザードマンに照準を合わせ……撃つ!


 ダダダッ!!……ダダダッ!!……ダダダッ!!


 次々とその頭部を撃ち砕き、あと1体!と残りの1体に照準を合わせようとした時。


 ギィィ!


 画面越しにもリザードマンの鳴き声が聞こえてくる。


「何だ? いや、そんなことより……死ね!」

 赤いレーザー光がリザードマンの頭部へと伸びる……


 ダダダッ!!


 リザードマンの頭部を撃ち砕き、廊下に青い血しぶきが舞うのと同時に奥のドアが開く。

 いや、それだけではない他の部屋のドアも次々と開いていく!


「な、何だ?」


 部屋からは次々と、廊下を埋め尽くそうとするほどの数のリザードマンが出てきた。

 そして奥からは……


「何だコイツ!?」


 奥からは銀色に輝く鎧に盾、剣で武装した青いリザードマンが3体出てきた。


「上位種? 中ボスってことか、よし! 死ね!」

 武装リザードマンへと赤いレーザー光が伸び、その目にかする。


 ダダダッ!!


 カァーンッ!と甲高い音を立てながら、頭部を狙った射撃は盾により防がれる!

 運の悪いことに目に入った光をわずらわしく思ったリザードマンが盾を掲げたようだ。


「げ! 防がれた!?」


 5mmとはいえ貫通力の高いライフル弾を防ぐとは、鉄製ではないのだろうか?

 ただ単純に、防げるほど分厚い可能性もあるが。

 だが、今のやり取りで敵もこちらの攻撃の危険性を理解したようで、盾持ちの後ろへと普通の緑のリザードマンが並んでいく。

 そうはさせるか、とこちらに背を向けたリザードマンに撃ち込むが殺れたのは2体のみ。

 それを防ぐように盾持ちの武装リザードマン3体が前に出てくる。


「この!」


 ダダダッ!!……ダダダッ!!……ダダダッ!!


 撃ち込むがやはり、盾は貫通できない。

 なら、こちらにも考えがある。

 射撃モードを単発シングルに切り替える。


 ダンッ!……ダンッ!……ダンッ!


 間隔を開けながら撃ち込んでいく。

 武装リザードマンは盾を掲げ防ぎながら、じりじりとこちらに歩み寄ってくる。

 遂に、その歩みが通路の中央まで来た!


「ここだ!」

 射撃モードを連射に切り替え、先頭の盾を掲げたリザードマンたちの足元を横一文字になぎ払う!

 ダダダッ……!!!!と射撃音が狭い廊下を埋めるかの様に鳴り響いていく!

 それを歓迎するかのように、リザードマンたちの足元で青い血しぶきが舞った。

 先頭のリザードマンがうずくまり、足を止める。


「次ぃ!」

 ガンタレットの操作を切り替える。

 画面がリザードマンたちを、横から移した映像に切り替わった。


 この地下5階はT字路になっている、中央は3つの通路が繋がった場所となる。

 ガンタレットが端にぶら下がった通路の。

 中央は3つの射線に晒されるキルゾーンだ!

 武装したリザードマンの横から赤いレーザー光がその頭を撫でる。


 ダダダダダダッ……!!!!


 横から無慈悲な連撃が襲い来る!

 頭部を狙った射撃は頑丈な兜により弾かれるが、その衝撃までは防げない!

 弾頭の重量はわずか4グラムでも、時速3000Kmで飛べば、その威力はハンマーだ。

 カカカカァーンッ!!と甲高い音を立てながら、横合いからその頭部を撃ち叩いていく!

 叩かれ、横へと曲げた無防備な首元へライフル弾が滑り込む。

 首元を引き裂かれ、派手な血しぶきが盾の内側を染め上げていく。

 武器を手放し、首元を押さえてるが致命傷だ。


「これでトドメだ」

 もう一度ガンタレットの操作を切り替える。


 今度は画面が、リザードマンたちを後ろから移した映像に切り替わった。

 リザードマンたちは盾の後ろに身を寄せ合うように並んでいる。

 狙いを定めるまでも無い。

 消滅するまで撃ち込む!

 ガンタレットからフルオートで撃ち込まれつづける!

 廊下は青い血しぶきに飛び散った肉片、ギャァァッ!という叫びで埋め尽くされた!

 5秒間、100発の連射が終わった後には動くものは無い。

 廊下は濃い紫の霧が充満している。


「全部殺ったか?」


 霧の中へ、単発で3発撃ちこんだが反応は無い。

 意を決して、魔素を吸いに行く。

 おそるおそる、気配を探りながら魔素の霧へと近づく。

 霧の中に手を入れる、最初の時と違い肌から吸収しているようだ。

 魔素が腕に纏わりつき、消えていく。

 体ごと霧の中へ入れば、掃除機のようにすごい勢いで吸収されていく、その時!

 足首を掴まれる。


「うわぁぁ!?」


 死に損ないがいたようだ、その黒い瞳を憎悪に滾らせ睨みつけてきた。

 慌てて蹴り剥がすがその際に爪で引っかかれる。


「痛ぅっ!」


 足首に痛みが走るがそれに構ってる暇は無い。

 リザードマンはゆっくりと這いながら、こちらに近づいてきている。

 霧の晴れた廊下にはたくさんの緑のウロコと1枚の青く輝くウロコ、銀色に輝く剣と盾が1つずつ落ちている。


「お! 武器をドロップしたか!」

 すかさず剣を取り上げるが。


「ぐっ!……、重い……」

 剣1本で20kgほどありそうだ。


 なんとか剣を上段に持ち上げ、振り下ろす!

 剣の自重だけでの遅い振り下ろしだったが、一撃でリザードマンの頭をカチ割った!

 その時、胸の奥が熱くなってきた。


「はぁはぁ……、ようやくか」

 マグマの様に熱い血がドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッと全身に流れていく!

 レベルアップの様だ。


 廊下に落ちてるドロップを全て拾い集め、コントロールルームに戻る。

 剣と盾の他に緑のウロコが25枚、青のウロコが1枚手に入った。

 そしてステータスを確認する。


 ステータス


 Name  アルス・クレート

 Age   16

 Lv   15    (+10)

 HP   150   (+75)[生命力]

 MP  1640  (+100)[魔力量]


 Str   22   (+10)[筋力]

 Vit   24   (+10)[耐久力]

 Mag   48   (+20)[魔力制御力]

 Dex   24   (+10)[器用さ]

 Agi   24   (+10)[素早さ]



「おお! 一気に上がった!」


 腕を曲げて力こぶを作る。

 服の上から触るが……あれ? あんまし変わらないかな?

 だが、レベルが上がって体が強化された実感はすでにある。

 20kgの剣や盾を片手で運ぶことが出来たのだ。

 昔の僕では絶対に無理だ、そんなことしたら関節をおかしくする。

 今は体の内側から力が湧き出てくる感じがする。

 足首のキズもふさがっている、レベルアップしたからか?

 骨や肉が新しく生まれ変わったみたいだ。

 調子に乗って重い剣を振り回そうとするが。


「ぐぬぬ……! これはさすがに無理か」

 先ほどよりかはマシだが、剣を上段に構えただけで疲れる。


 そのまま振り下ろすが遅い、剣の自重だけで落ちる速度だ。

 素早く振りたかったが、剣の重さを支えるだけで筋肉の力を使い切ってしまう。

 振り下ろしを加速させる程の余力は無さそうだ。


「まぁ、これはこれで筋トレにはなるか」




 コントロールユニットの画面を覗く。

 あれから新しいリザードマンは出てきていない。


「よし、今がチャンスだな。今のうちに食料と何か使えそうな道具を見つけてこないと……」

 もう一度、廊下へと出る。



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