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第39話 邪魔者の掃討

 レイダーたちの残した車は4台。

 1台は魔術で止めた為、離れた荒野に放置してあったがマイルズさんたちに頼んでも運んできてもらう。

 ショートサーキットはスタンさせるだけで破壊するわけじゃないのでエンジンは掛かるだろう。

 車にはそれぞれ予備のガソリンタンクが付いていた。

 中はほとんど空に近かったが、本体の方はそれぞれ8割以上に残っている。

 本体からの移し変えをリリィたちに頼みその間、僕とポチは再びダンジョンへ。

 リサイクルプラントの地下にダンジョンコアがあり、その前をダンジョンボスが守っているようなのだが。

 ガンタレットの映像を見る限り、どんどんリザードマンが増えてきている。

 シェルターに居た時のようにダンジョンコアが魔物を生み出しているようだ。


 僕とポチはリサイクルプラントの中へ。

 ガンタレットの映像ではリザードマンたちは浄水槽と思われるプールから離れた通路、階段付近へと群がっていた。

 息を潜めながらもう一度、映像を確認する。

 映像にはプールとそれに浸る大きなカエル、その奥にある扉が映されていた。

 地下1階の水処理プラント奥、ダンジョンボスの居るプールを映した映像だ。

 扉から何か出てきた。

 2体のリザードマンだ。

 緑色のウロコに照明の明かりが反射する。

 2体がプール脇を通り、通路の方へと歩いているところ。

 ビリッ!と画面が揺れ。

 そこに撃ち込まれる砲弾の如き一撃!

 片方のリザードマンの頭が潰された。

 カエルの舌の一撃だ。

 残りのリザードマンは腰を抜かして座り込んで、それを見ている。

 舌がゆらり……と動いたと思ったら、残った胴体に巻きつき、伸びたゴムが戻るように舌が収縮した。

 リザードマンの胴体が重さを感じさせない動きでカエルの口へと吸い込まれていく。

 残された片方のリザードマンが我を取り戻し、慌てて走り去った。

 その形相は必死だ。

 カメラを変え、階段付近を映したところ。

 そこに必死に走りこんで来たリザードマンが膝を突き、息を荒げていた。

 それをその場に座り込んだリザードマンたちが空虚な目で見ている。

 またビリッ!と画面が揺れた!

 壁に何か打ち込まれたようだ。

 それが合図だったか、階段に一番近いリザードマンがプールの方へと歩いて行き……一瞬で消える。

 それをまた、その場に座り込んだリザードマンたちが死んだ目で見ている。

 その目は死刑を宣告され、ただ待ち続けている死刑囚のようだ。

 ……なんか哀れだな、こいつら。



 思わぬダンジョンの裏事情を知って、同情しそうになった。

 が、やることは変わらない。

 地下へと続く階段をバールで叩く!

 ガン!ガン!ガン!と音が響き、地下へと続く階段の踊り場の影からリザードマンがひょっこりと顔を出した。


「ギィィィ!?」

 こちらを見つけ、その瞳が赤く照明の反射を返す。


 すぐに僕とポチは振り返り、その場を離れた。

 下からドタバタと床を鳴らす音が響く。

 1階の奥へと向かって通路を駆けた。

 後ろからはギィィ、ギィィとうれしそうに鳴くリザードマンたちの鳴き声が聞こえ、同情した気持ちが失せていく。

 通路の二股に分かれた所まで走り、そこで待ち受けた。

 後ろからは20体ほどのリザードマンに2体のリザードナイト。

 先頭のが僕たちの30m手前まで迫る!


「アクセス!」

 僕らの上に備え付けられたガンタレットがぐるりとリザードマンたちの方を向く。

 僕の指し示す方向へ掃射!

 フルオートでライフル弾が撃ち込まれる。

 耳に響く射撃音が間断無く通路を埋め、火線が空間を切り裂く。

 先頭のリザードマンがその胸をズタズタに引き裂かれ、青い血しぶきを上げるのを皮切りに次々と血しぶきが舞う。

 そんな中、キィーン……と甲高い音が響き、火花が散る。

 何も持たないリザードマンが為す術なく撃たれていくのと違い、2体のリザードナイトが盾で防いでいた。

 他のリザードマンたちがその後ろへと隠れようとする。


「ならば!」

 リザードマンたちの後ろのガンタレットも動かし、挟み撃ちだ!

 ガンタレットを動かし、狙うが……

 リザードナイトの後ろに隠れたリザードマンたちが盾となり届かない。

 後ろからも撃たれることに気づいたリザードナイトが背中合わせになる。

 残りのリザードマンたちがその庇護から外れる。

 それに気づいたリザードマンがリザードナイトへと唖然とした視線を送るが。

 リザードナイトはそれに応える余裕は無いし、僕も容赦は無い。


「掃射!」

 残弾を全て吐き出すかの如く、ライフル弾が撃ち込まれていく。

 5秒、200発の連射で全てのリザードマンが地に伏せた。

 上からは弾を吐き出した熱気がむわっと首筋を撫でる。

 残るは2体。

 横のポチの前に手をかざす。

 盾へと3連バースト!

 キンッ!と高い音が立て続けに3つ。

 終わると同時に手を挙げ……


「ポチ!」

 それと入れ替わるようにポチが駆け出す!

 こちらに盾を向けているリザードナイトへと体当たり!

 リザードナイトがたたらを踏む。

 前側のは踏ん張り倒れなかったが、背から押された形になった後ろのは前へとつんのめるように倒れた。

 その背に向けてフルバースト!

 銃弾がスコールの様にその背で爆ぜ、青い血しぶきが飛び跳ねる。


「ギィィィ!」

 残されたリザードナイトがヤケクソになったか、仲間の敵討ちか突っ込んできた!


「ワゥ!」

 ポチが横からリザードナイトへと頭から突っ込んでいく。

 その体当たりは盾で受け止められるが、体勢を崩した!

 チャンス!と思い、僕もそこへと駆けていく。

 それを見たリザードナイトの目が細められる。

 目の前に突き出される片手剣。

 一瞬、受けに回るべきかと逡巡するが、それはできない。

 あの剣の重さは異常だ、受け切れない。

 腹筋に力を入れる、上半身がぐいっと曲がる。

 急激に血圧が上がり、顔が真っ赤になり目が充血ほど頭に血が上る中、耳を掠める風切り音。

 髪が一房、ハラリと落ちる。

 姿勢を前に大きく崩し、その勢いで前に前転。

 リザードナイトの横を通り過ぎた。

 回る視界の隅にギラリと光る剣の輝き。

 体勢を立て直し、膝立ちの姿勢で敵の方を向けば、その腕を振り剣閃が僕へと差し迫る!

 咄嗟にバールを回転させ、その切っ先をリザードナイトの肘へ。


「ギィッ!」

 つっかえ棒の様にバールが突き刺さり、剣が止まる。

 リザードナイトがその首を振り返しながら、僕を睨む。

 その首元へ青白く光る4本の剣閃!

 切り離されたリザードナイトの首が宙を舞う。

 ポチの剣爪だ。

 リザードナイトがポチから目を離し、僕へと向けている間に盾を迂回していたのだ。


 全てのリザードマンたちを倒し、そのドロップアイテムを拾う。

 盾が1つに、残りは全てウロコだった。

 拾い終え、ガンタレットを使い施設の監視。

 もうリザードマンたちは居ないようだ。

 ダンジョンコアが再び生み出すのも少しの時間が掛かるだろう。

 その間にダンジョンボスの攻略だ。

 急いで外へ出る。


「待ってたにゃ!」

 リリィが出迎えてくれた。


「用意は出来てるにゃ」

 その後ろには満タンになったガソリンタンクが2つ。

 そして……。


「こっちもきれいに拭きなおしたにゃ」

 パワードスーツを指差した。


 白いパワードスーツがその前面装甲を開いて中座している。

 腕が長く、宇宙服が全身金属で出来て一回り大きくなったような無骨な外装。

 逆三角形の胸部装甲が観音開きに開いており、そこからきれいになった内部へと体を入れていく。

 装甲と面頬が閉じ、視界に映像モニターが広がる。


 --ピッ!

 --起動シークエンスを始動します


 システムチェック画面となり、文字列が下から上へと高速で流れていく。

 最後にケリュネイア連邦 第1機甲師団 特別任務大隊(ハイランダーズ)付 重アサルトアーマー兵装 《アイギス》と表示された。


 画面が切り替わり、目の前の地面が映る。

 ジーッ……と振動が来て、側面の鎖状の装甲が少し縮み、僕の体型に合わせられた。

 手を頭部のカメラアイの前に持って行き、動かしてみる。

 手がグー、パーと閉じたり開いたりする。

 僕自身の手はこのパワードスーツの前腕部の中に収納され、その動きに合わせて動くようだ。

 収納するため、このパワードスーツは腕の前腕部だけが長く出来ている。

 手の感覚は……流石に無いな。

 動きも機械的で一定の速度で動き、反応が少し遅い。


「アクセス」

 パワードスーツへと魔力を通す。

 スーツ全体に神経が通ったような感覚。

 映像も直接頭の中に入ってきて、ヘルメットを被っていないかのようだ。

 試しに土を掴んでみる。

 地面を引っかく指の感触に、土を指ですり潰す感覚が伝わってきた。

 反応もタイムラグが無い。


「テックブースト」

 全身が青く光り、装甲の上に青く光る幾何学模様が浮かび上がる。


 動きがより滑らかになり、力強く感じる。

 良い感じだ。


「おお! アルス、かっちょ良いにゃ!」


「ありがとう」

 褒められるのはちょっと照れくさい。


「わう!」

 ポチがさっき手に入れたリザードナイトの盾を咥えて運んできた。


「はい、にゃ!」

 リリィもショットガンを差し出してくる。


 右手にショットガン、左手に銀色に輝く盾を装備し、準備は出来た。

 リリィも槍を片手に、ガソリンタンクを背負う。

 ポチもハッハッ……と息を吐きながら待つ。


「リリィ、危険だけど本当に参加するの?」


「もちろんにゃ。アルスたちだけに危険なことをさせないにゃ。

 その代わりと言ってはにゃんだけど……」

 両手を組み合わせながら、上目遣いに覗いてくる。

 そのしっぽの先端が左右に不安げに揺れた。


「わかってるよ。ダンジョンコアは僕らには必要ない。

 リリィが砕いてくれ」


「やったにゃ!」

 言葉と一緒にしっぽが大きく揺れる。


「じゃあ、行こうか!」


「わん!」

「にゃー!」


 再度、ダンジョンへと戻る。

 ダンジョンボスを倒すために。



いつも読んでいただきありがとうございます。

今週の投稿はここまで、来週は休むので次の投稿は再来週の火曜日になります

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