第4話 レベルアップ
4/4 今日の「ぼっちシェルター」の投稿はここまで。
続けて別のをもう1つ。
「ダンジョン……」
今、僕の居る場所のことだ。
こんな所に100年も眠らされていたのか……
「自分ごとながら良く無事だったな……。100年越しのかくれんぼかよ」
冷凍睡眠で仮死状態だったから、見過ごされたようだが。
リザードマンにコールドスリープ装置を開けるなどの知恵があったら、アウトだったな。
その可能性を考え、震える。
その時、腹の音がぐぅ……と鳴った。
「……あれこれ考える前に食料のこと、どうにかしないとな」
食料は僕が寝ていた部屋にある、多分。
だが、取りに行くには廊下のリザードマンをどうにかしないといけない。
あれに生身で立ち向かうのは無謀すぎる。
「他に使えそうな警備システムは……、あった!」
廊下にある監視カメラなのだが、これにはマシンガンも付属してあり、ガンタレットと言うようだ。
5mmライフル弾が300発装填されている。
廊下はT字状になっており、この端と中央、計4箇所の天井に配備されていた。
コントロールルームはTの字の左端で、ダンジョンコアのある動力室が右の端。
残る下の端には警備室と上に続く階段があった。
「よし! これを使ってみるか」
コントロールルーム前に配備されているガンタレットを選択する。
これをここから遠隔操作すれば安全に倒せる。
コントロールユニットにはキーボードやマウスの他に、銃の持ち手部分のようなコントローラーがデスクに付いている。
それにガントリガーと名付け、動かす。
動かす方向に合わせて画面が動く。
ガンタレットは正常に作動しているようだ。
画面を覗き込みリザードマンを探す。
中央付近をウロウロしているようだ。
ちょっと距離があって狙いにくいな。
僕は席を立ち、ドアをこちら側から叩いてみた。
席に戻り画面を覗けば、音に気づいたリザードマンがこちらへと近づいてくる。
「良し! 来い……、来い……ここだ!」
リザードマンがドアのすぐ近くまで来たところで、顔に照準をつける。
ガンタレットから赤いレーザーポイントが、リザードマンへと伸びる。
息を呑みながら、引き金を引く。
ダダダッ!!
ガンタレットから吐き出された細いライフル弾が、リザードマンの頭部を撃ち砕いた!
リザードマンは後頭部の一部を吹き飛ばされ、その穴から青い血を床へと注ぐ様に倒れていく。
倒れたリザードマンはピクピクッと震えた後、紫の霧へと変わっていく。
「あれが魔素なのか?」
画面に他のリザードマンがいないか確認し、急いでドアを開ける!
目の前には紫の霧が漂い、徐々に拡散している。
「これに触れればレベルアップなのか?」
紫の霧へと手を伸ばす。
ひんやりとしている、吸収している様子は無い。
やはり口から吸わないとダメなのか?
意を決して霧の中へ進む!
体全体が冷え、溺れる様な酩酊感……、さっきのダンジョンコアを見たときのような感覚が襲ってくる!
その時。
ピッ!
-- 魔素を検出しました --
-- これより最適化を始めます --
ポケットのスマホから音声アナウンスが流れる。
アデプトシステムが起動したようだ。
スマホを取り出せば画面に魔方陣の様なものが映っており、そこから光が放たれる。
画面から次々と光の文字が現れ、僕を囲むように飛び交う。
暖かい……、徐々に体に熱が戻ってくる。
ん? あれ?
胸が熱い……、どんどん熱くなっていく……、焼けるように熱い!
「グッ!……イタイ!イタイ!ィィィ!……」
痛みに耐え切れずにうずくまる。
ピッ!
-- 体内に異常量の魔素を検出 --
-- エラーパターン05、修復プログラム用意 --
-- プログラムに従い、さらなる最適化を実行します --
スマホの画面からさらに光の文字が飛び出してきて、僕を覆う。
胸の奥の熱が体全体に散らされるように、引いていく・・
熱が消えた頃。
ピッ!
-- 最適化終了、通常機能に戻ります --
終わったようだ。
スマホにステータスの項目が表示されている。
ステータス
Name アルス・クレート
Age 116
Lv 1
HP 40 [生命力]
MP 1500 [魔力量]
Str 8 [筋力]
Vit 10 [耐久力]
Mag 20 [魔力制御力]
Dex 10 [器用さ]
Agi 10 [素早さ]
まず年齢がエライことになっていた。
年齢の項目をタップすると書き換えられるようなので、16才に変更しておく。
数字をザッと見ていくが・・Mpだけ、なんか高すぎないか?
他の数字を見るとこれが普通には見えないのだが、なんでだろう?
ヒタッ……
「ん? なんだ?」
音のした方を見れば通路の奥から新たなリザードマンがこちらへと向かって来ていた!
「うわぁぁ!」
慌てて、ドアへと引き返す。
ドアが閉まる瞬間、さらにもう1体。
曲がり角から現れるのを見た。
敵は2体。
やってやる!
コントロールユニットの画面から、こちらへと小走りで迫ってくるリザードマンを見る。
ガントリガーを握る。
さっきは引き金を一度引いただけで3連射した。
設定で単発、3連射、連射と切り替えられるようだ。
単発に切り替え、リザードマンの動きを追う。
照準を……捉えた! 撃つ!
ダンッ!
先頭のリザードマンの顔へと命中した!
リザードマンは壁にもたれるように姿勢を崩し……、こちらへとゆっくりと近づいてくる!?
それを追い抜かし、後続のリザードマンが前に出る。
慌ててそちらへと照準を替えて、撃つが。
ダンッ!
急所を外し、肩へと当たった。
リザードマンはケガした肩を押さえると、ギラッとこちらへ憎悪の視線を向け、飛び掛ってきた。
ガンッ!
画面が揺れる!
ガンタレットを攻撃されている!?
マズイ! 壊される!?
すぐにレーザーポイントをリザードマンの胸に当て、引き金を連続で引く!
ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!
とにかく消滅するまで撃ち続ける!
リザードマンが霧へと代わる、それと入れ違いに最初に一撃入れたのがやって来る。
こいつも当てやすい胸に向かって連射!
ダンッ!ダンッ!ダンッ!
3発撃ち、様子を見る。
うずくまったが・・、まだ消滅しない。
なら、頭に照準を切り替え、3連射!
ダンッ!ダンッ!ダンッ!
頭を穴だらけにして、消滅していく。
3連射したのに、さっきみたいに撃ち砕けなかったな。
機械の速度の連射で、素早く撃ちこまないとダメなのか。
点は1つでは点、2つで線、3つで面になるからな。
素早く、線か面になるように撃ち込むことで衝撃が繋がり、骨をバラバラに砕くのだろうと思う。
画面を覗く。
「……今なら、他には来そうに無いな」
駆け足でドアに向かい、魔素を吸収しに行く。
魔素の霧の中へ入っていくが、さっきの様に気持ち悪くはならない。
ひんやりとした冷気が体の中に浸透していく様だ。
体の奥が熱い。
マグマの様に熱い血がドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッと全身に流れていく!
「アチッ!アチッ!」
これがレベルアップの感触だろうか?
魔素を吸収し終えて戻ろうかという時、廊下に何か落ちてるのに気づく。
「これ……あいつらのウロコか? ドロップアイテム?」
片手大の緑のウロコを3つ拾った。
コントロールルームに戻り、ステータスをチェック。
ステータス
Name アルス・クレート
Age 16
Lv 5 (+4)
HP 75 (+35)[生命力]
MP 1540 (+40)[魔力量]
Str 12 (+4)[筋力]
Vit 14 (+4)[耐久力]
Mag 28 (+8)[魔力制御力]
Dex 14 (+4)[器用さ]
Agi 14 (+4)[素早さ]
レベルが一気に4つ上がった!
手をグー、パーに開きながらニギニギしてみる。
心なしか強くなったような気がする。
希望が見えてきた。
レベルを上げて、ここから脱出してやる!
ぐぅぅ……
「……まずはメシからだな」
一度廊下に出て壁を叩く!
バンッ!と音が廊下に鳴り響く。
すぐに中に戻り、ガントリガーを握る。
食料を取りに行く前の前哨戦だ。
廊下に出てくる奴らを全て撃ち殺してやる!
この後、続けて別の短編を投稿します。
タイトルは「デスゲームに負けた俺は、何故か転生して畑を耕しています」
こちらも良ければお読みください。
作者の感想としては楽しく書けた作品です。
よろしくおねがいいたします。