第34話 リサイクルプラント4
ちょっと遅れました。
いつも24時までを目安に投稿しているのですが、これからは25時までを目安に投稿します。
エレベーターシャフトを飛び落りて、地下1階までやってきた。
この地下道を通って入り口の方まで帰り、そこから警備室前までリザードマンたちを誘導すれば作戦成功だ。
後ろのエレベーターからも、ギィィとリザードマンの鳴き声が聞こえ始め、ドンッ!……と天井に落ちたような音も聞こえた。
さて、また走るかと気持ちを切り替えたところ、ガラス窓の向こうに二つの赤い光点を見つける。
水処理場のプールの中にそびえ立つ異物。
エメラルドグリーンの皮膚にルビーの様な赤い瞳を持ったカエル。
だが、その大きさが異常だ。
幅5m、高さは……プールに浸かっているのでわからないが、それ以上か?
一軒家のような大きさだ。
目が合い、背筋を冷たい汗が流れる。
この威圧感……こいつがダンジョンボスか!?
巨大カエルがその口を開いた瞬間に背筋を襲う悪寒、考える間も無く体が動きその場に伏せた。
それと入れ替わりに襲う轟音!
砕かれ宙を舞うガラス片に無遠慮に地を揺らす振動!
ポッ!……と何かが発射されたような音に続いてガラスを割る音が甲高く通路に響き。
頭の上を何かが高速で通った様で突風巻き起こり、体を撫で、大砲の弾が着弾したかのような衝撃が壁の方から伝わってくる。
ガラス片がキラキラと宙を舞う中、恐る恐る見れば頭の上に太く青い柱の様な物がガラスを突き割って壁へと刺さっていた。
カエルの舌だ。
壁に張り巡らされている鉄パイプをその舌に絡めとり、バキッ!と鉄パイプごと口へと戻す。
バギッ……バギッ……と咀嚼する音が静かに響く。
な!?
こんなのまともに相手できるか!?
一心不乱に駆け出す!
ポチもそれについて来る。
勢い良く腕を振り、太ももが胸につくぐらい振り上げ、足を回転させる!
奥歯を噛んで口を引き締め、ペース配分など考えず全力で駆け出す。
地下通路に僕たちが走る足音と巨大カエルの咀嚼音が響く。
……
不意に静寂が漂い、バギッ……バギッ……という咀嚼音が止んだ。
前に体を放り出すようにして地に伏せた!
それと入れ違いに砲弾の様に打ち込まれる青い柱!
太いガラス窓を難なく突き破り、壁を抉った。
通路をガラスの割れる甲高い音と透明な花吹雪が満たす。
このガラス窓も上で見たガラスの壁と同じ強化ガラスに見えるのだが、それを一瞬で突き破るとはどんな力だ!?
対物ライフルでもここまでできないぞ。
ポチもその威力に震えている。
後ろからはペタペタ……と遅れた足音が響いてきた。
カエルの舌に触れないように立ち上がり、すぐに駆け出す!
「ワン!!」
ポチの吠え声に危機感を感じて、再度身を伏せる。
頭の上を通り過ぎる鉈のような片手剣。
後ろで青いリザードマンがこちらを睨みつけ舌なめずりする。
むかつくが今はこいつらに構っている暇は無い。
前だけを向いて駆け出す。
「ワン!!」
再度、ポチの吠え声に壁へと張り付くように身を寄せた。
体の左側をかすめる様に通っていく盾が!
後ろを向けば青いリザードマンが今度は兜をポチへと投げつけようとしているところだ。
そしてカエルの舌が鞭の先端を手元に戻すように巻き戻っていく。
ポチは兜を難なく避けたが、その横を身軽になったリザードマンが駆け抜ける!
リザードマンが僕の背へと迫り、カエルの舌は口の中へと仕舞い込まれていく。
巨大カエルの頬がぷっくりと膨らんだのを見て振り返り、構える。
リザードマンがその手を振り上げ、飛びかかってきた!
その爪に照明の光が当たり、ギラリと光る。
リザードマンの体が光を遮り、その影に正面が真っ黒に染め上がった。
その影の中に飛び込むように自分を放り込む!
風切り音が耳を掠めるが、衝撃は無い。
直後に鳴るポッ!……という発射音に大砲の如き暴威の着弾!
リザードマンの頭が一瞬で消し飛び、壁へと舌が突き刺さる。
すぐに立ち上がり、体に降りかかるガラス片を振り払いながら、通路を駆けた。
後ろではリザードマンの体を掴んだ舌が巻き戻る。
クチャ……クチャ……と湿り気を帯びた咀嚼音が地下に響く。
リザードマンは鉄パイプよりも食べ応えがあったか、先ほどよりも長い。
その間に通路を駆け抜けた。
階段を駆け上がり1階へ。
入ってきた入り口近くの場所へと出た。
最初に2階へと上がった階段の場所だ。
壁に背を預け、座り込む。
全力で駆け抜け、肺は焼きついたように痛み、足は疲れすぎて痙攣している。
「ハァッ……ハァ……、ポチ……。大丈夫か?」
「わん!」
僕は疲れきっている状態だがポチはなんでもないとでも言わんばかりに元気だ。
もう少し休んでいたいが、階段の下からはペタペタという足音が近づいて来ている。
壁にもたれ掛かりながら体を起こした。
もう少しだ、と体を勇気付けて疲れを誤魔化す。
通路を駆け、警備室の前まで戻ってきた。
その場に座り込みながら後ろを眺める。
ここまで僕を追いかけてきたリザードマンの群れが……少し減ったかな?
30体近く居たのに20体ぐらいになっている。
その顔も僕を追いかけているというより何かから逃げているような必死な表情だ。
それらに座ったまま手を振る。
リザードマンの血走った目がそれを迎え入れ。
手を鉄砲の形にして彼らに向け……
「アクセス!」
天井のガンタレットが目を覚ます。
それと同時に頭に入り込んで来るガンタレットの視界。
それとは別に僕の視界にも仮想のターゲットマークを作り出し、ホログラフィティの様に映し出す。
赤いレーザー光が銃口の下から流れた。
リンク……、ガンタレットの銃口を僕の視界に映る仮想ターゲットマークに合わせ……
心で引き金を引く。
ダダダッ!!と5mmライフル弾が撒き散らされた!
銃弾の雨がリザードマンたちへと襲い掛かる。
釘のように細いタングステンの弾頭がリザードマンたちの分厚い胸板を貫き、秒間20発の連射がミシンのようにリザードマンの群れを刺し抜いていく!
通路は青い血しぶきに飛び散った肉片、ギャァァッ!という叫びで埋め尽くされた!
疲れた頭でそれを聞きながら、タルパ君たちを呼んでこようと振り向いたところでそれを見つけた。
通路の奥から装備を投げ捨てた青いリザードマンがこちらを睨んでいる。
その口元は血が固まったのか黒く汚れ、固めた拳はわずかに震えている。
洗剤で足を滑らせて転んだ奴か。
リザードマンがこちらへと駆け込んできた!
「ポチ! 二人を呼んできてくれ!」
バールを抜き、駆け出す。
後ろではリザードマンの群れが魔素の霧へと変貌していき始めたところだ。
「わん!」
ポチは少し逡巡したようだが、すぐに警備室へと駆け込む。
前足で乱暴にドアを叩く!
「な、何にゃ!? あ、ポチ君」
ドアを少しだけ開けたリリィがポチを見つけた。
僕は警備室の前を駆け抜け、後ろ越しに声を掛ける。
「すぐにタルパ君を連れて、魔素を吸わせて!」
「え? あ! わかったにゃ!」
リリィがタルパ君を抱えて出てきた。
ポチもそれに付き添う。
ポチがこちらに視線を向けるが、大丈夫だと返す。
すぐ目の前には青いリザードマンが差し迫っていた。
二人をかばう様な立ち居地を取るが、リザードマンの目は僕だけに釘付けだ。
バールを両手で構えながら待ち受ける。
リザードマンの口元が笑う。
リザードマンが飛び掛かろうと膝を曲げた瞬間。
その後ろでガンタレットがぐるりと回る。
……ターゲットロック、引き金を引く。
ダダダッ!!と銃弾が空気を読まずに流れ。
リザードマンの足を撃ち抜く!
「ギャァァ!?」
膝を突いたリザードマンが何故?といった表情でこちらを見上げてくる。
「悪いな」
渾身の力でバールを振り下ろし、頭をカチ割った!
いつも読んでいただきありがとうございます。
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