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第3話 謎のメール

訂正

トラペゾトロンを討ち果たしてからは70年に→トラペゾトロンを討ち果たしてからは90年に


 受信タイトル : 生き残った人たちへ


 本文


「このメールは受信できる全ての通信機器に送られている。

 重複した場合は破棄してくれて構わない。

 この世界が核の炎に焼かれ、異界との融合を果たし100年。

 あの核戦争を誘発した忌まわしき悪魔、トラペゾトロンを討ち果たしてからは90年になる。

 あの地獄のような混迷期を生き抜いた諸君を私は祝福し、誇りに思う。

 地上はまだ復興の半ばで、危険な魔物共もまだうろついているが負けずに生き抜いて欲しい。

 仲間を助け、魔物を駆逐し、忌むべきダンジョンを破壊して欲しいのが私からの願いだ。

 今回の更新は情報データの更新だけとなる。

 下記のマークをクリックしてダウンロードして欲しい。」


「このメールを始めて受け取る方は下記の3つのアプリケーションデータをダウンロードしてくれ。

 ・アデプトシステム

 ・魔物図鑑

 ・崩壊後の歴史記録

 3つともこの厳しい世界で生き抜くのに必要となるはずだ。

 下記にそれぞれの概略を記す」



 ■アデプトシステム

 変化した世界に適応するためのプログラムです。

 崩壊後の世界には薄っすらと魔素、融合した世界より流れてきた超常現象を起こすエネルギーが漂っています。

 これらは人体に影響を与え、最悪魔人化を引き起こします。

 このプログラムは<機神>の属性を帯びており、その力を使いあなたへの魔素の干渉を制御します。

 制御された魔素はあなたを強化し、この世界で生き抜くための力となるでしょう。

 魔素による強化はステータス画面でチェックできます。

 魔素は強い魔物を倒すほど多く手に入ります。



 ■魔物図鑑

 現在までに確認された魔物が載っています。

 危険な魔物を見つけたら逃げましょう。



 ■崩壊後の歴史記録

 各種記録をまとめています。







 とりあえず、3つのアプリケーションデータをダウンロードしてみた。

 ダウンロードしている間にいろいろ考える。

 本当に100年後の世界だったのか?

 あのトカゲ男が魔物なのか?

 地上は一体どうなっているんだ?

 様々な疑問が頭を巡り、頭を抱えてしまう。


 ピッ! ダウンロードが終わったようだ。

 そうだ!このペイルオペレーターさんに聞いてみたらいいじゃないか。

 返信を書こうとして気づく、電波の受信状態は圏外・・になっている。


「ん? 何でだ? 今、メール来たよな?」


 試しに返信メールを書いて送ろうとしたが、送れなかった。

 何なんだ一体?

 とりあえず、ダウンロードしたデータを読んでみるか。


 この日はデータを読み解くことで終わった。





 次の日、冷たい床の上で目覚める。

 このコントロールルームにベッドは無い。

 一応、自分の下に服を敷いてみたが効果は薄かった。

 床が硬いせいで、寝ても疲れがあまり取れない。

 ストレッチをして硬くなった体をコリほぐす。


「腹減ったな……」

 持っていた食料は昨日全部食べてしまった。

 夕飯はチョコバーが無く、ゼリーと水を1つずつだったため食べ足り無い。

 食料を得るには化け物の居る廊下を越え、元居た部屋。

 冷凍睡眠室コールドスリープルームまで行かなければならない。


 部屋の名前がわかったのは昨日、この部屋を調べたからだ。

 調べた結果いろいろなことがわかった。


 ここは核戦争用に作られた避難シェルターで、地上の入り口となるエントランス階から地下5階まである。

 この核シェルターが本来なら社会の重要人物、お偉いさんが避難するために作られたこと。

 重要人物たちと奥のレーザー核融合炉を守るために防衛用の警備システムがあること。

 コレが重要なのだが、その警備システムをこの部屋で動かせるということ。


「このコントロールキーで動かせるはずだ。」

 デスクから手に入れたカードを取り出す。


 コントロールユニットにカードを差し込み、認証画面を呼び出す。


「新規管理者登録……と、良し!

 で、何ができるかな?と……」


 画面を見ればほとんどの警備システムがオフライン、使用不可になっている。

 どうやら電力が届いてないようだ。

 本来なら主電源となる核融合炉を動かさなければいけないのだが、現在は停止している。

 今使ってる予備電源はこの階、地下5階にだけ通っているようだ。

 他の階にも電気を通すにはその階の予備電源を起こすか、主電源を起こさないといけないのだが。

 核融合炉があるのはこの階のようだ。

 ここの反対側の一番奥の部屋か。


「お! 監視カメラは使えるみたいだな、どれどれ?」


 監視カメラに映った映像は大きな部屋に巨大な機械が安置してあり、その手前に紫の光を放つ宝石の様な物が浮いていた。

 その光を見た途端、背に粟立つものが走り、言いようの無い不安に駆られる。


 ドクッ、ドクッ!胸の鼓動がどんどん大きくなる……

 胸の奥が熱い……


 動悸が激しくなり、目からは涙が溢れ、耳から音が遠ざかっていく……

 ドクッ、ドクッ!


 息を吐いてるのか、吸っているのかすらわからなくなり、指先が冷たい……

 ドクッ、ドクッ! なのに胸は熱く……


 まるで冷たい水の底に引きずりこまれるかの様に、溺れていく……

 ドクッ、ドクッ! カラダが冷えていく……


 引っぱられるのは肉体か、魂か、僕の心か?

 ドクッ、ドクッ! 胸の奥で何かが蠢く……


 死の冷気に、決して失ってはいけない熱を奪われていた、その時。


 ピーーーーッ!!


 スマホから空気を引き裂くように電子音が鳴り響く!

 ハッ!として、すかさず画面を切り替えた!

 画面を切り替えると徐々に熱が戻ってくる。

 体にも、心にも。


「何だったんだ……アレは?」


 アレが何かはわからない。

 だが、一つだけ確信した。

 アレはあってはイケナイものだ。


「あ! 何でスマホが?」


 スマホを見るとアデプトシステムの画面が勝手に立ち上がっていた。

 これに救われたようだ。

 そのことに感謝し、1つのアプリを開く。


 ■崩壊後の歴史記録


 昨日、これを読んだ中で気になる項目があった。

 魔物の章、魔物は2種類の発生を観察されている。

 1つは、魔物同士による自然交配。

 もう1つは、ダンジョンコアによる作成。

 ダンジョンコアは魔素を使って、魔物を作ることができる。

 廊下に居たトカゲ男、もといリザードマンが自然交配でないのなら。


 この核シェルターはダンジョンと化している。




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